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ええじゃないか
作:とりえなし



第七話 体育とソフト


 我が北高では体育の種目が選択制である。五月には体力テスト、夏になれば水泳が合同であるが、それ以外では一、二、三学期で一種目づつ選択して、それぞれの種目にわかれてやるらしい。一学期は義人と石井はバスケ(二人ともミニバス出身)、俺はソフトボールにした。
 そして種目にわかれての第一回。俺は知らない奴にからまれていた。
「なー、三井って室ファイターズのキャプテンだったよな?」
「……誰?」
「ひでーなー、同じクラスの清水だよ。ほら、羽田ドルフィンズのエースだった」
 ファイターズは俺がキャプテンだった、地区で一、二を争う弱小ソフトボールチーム、羽田ドルフィンズは地区で一、二を争う強豪チームだったはずである。
「……あの強いチームか」
「まあな、」
 謙遜しないのか。
「俺がいたからな」
 どうやらかなりの自信家らしい。
「……どうして俺のことを知ってるんだ?」
 チーム力の差は月とスッポンで縁なんてなかったはずだが。ついでに言うと俺の小学校時代はトラウマの宝庫で思い出したくないのだが。
「ほら、監督同士仲良かったろ。それでうちと一回対戦しただろ?」
 そういえばそんなこともあったな。三回でコールド(点差は二十点以上)になったことが。その後キャプテンだから責任取れと言われて走って帰らされたことも思い出したよ。わざわざトラウマを思い出させてくれてありがとう。
「あんときサードに強襲ヒット打っただろ」
 そんなこと俺の記憶にはないが。道に迷って帰るのが真夜中になったことは記憶にあるが。
「それで覚えてたんだよ。俺からヒット打つなんてただものじゃないってな」
 ……どれだけ自信家なんだこいつは。記憶力というか執念がすごいな。
「だから今日勝負するぞ」
「……好きにすればいい」
 トラウマを思い出して鬱になったら運動する前なのに疲れた。汗まで出てきたよ。目から。


 結局清水は野球部の打者も含めて無得点(四球はノーカンというルール)に抑えてた。ソフト経験者とか野球経験者が異様に多い(皆身体能力が異常)ので守備が良いのもあるが、球が速い。球というかむしろ弾だった。……俺は全打席三振だった。小学校時代の俺、どうやって打ったんだろうか……。謎だ。







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