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ええじゃないか
作:とりえなし



第五十二話 準決勝と相手


「お前らぁーーーっ!!準決勝だ!!覚悟はいいかーーーっ!!」
「「「おおおぉぉぉーーーっ!!!」」」
「相手は二年一組!!理系だが勝機は十二分にある!!」
「「「おおおぉぉぉーーーっ!!!」」」
「そしてなんと!!我らが担任健三さんが!!応援に来たーーっ!!」
「「「おおおぉぉぉーーーっ!!!」」」
 ……来るのが当然だと思ったら負けなのだろうか。
「絶対勝つぞ!!先輩方に遠慮すんな!!」
「「「おおおぉぉぉーーーっ!!!」」」
「オーエスッ!!」
 何そのかけ声!?
「「「オーエスッ!!!」」」
 なんでみんな揃ってるの!?今までそんなのなかったじゃん!!
「前期クラスマッチソフトボールの部、準決勝第一試合を始めます。先攻、二年一組<真っ赤な弛緩>、後攻、一年七組<流血のピッコロたち>のメンバー!集合!礼!」
「「「お願いします!!!」」」
 そして、激闘が幕を開けた。


 相手チームは五人の野球部を擁し、他のスタメン四人も野球経験者らしい。初回からヒットが飛び出し、四球も絡んで二死一二塁のピンチ。バッターは五番。ここまで全員が野球部だ。
「清水、落ち着け!」
「お前の球はそうは打たれん!」
 最初に打たれたのも、打者のカウント有利だったから、思い切って振ったのが当たっただけみたいだしな。
「うおらあああぁぁぁっ!!!」
 清水が吠えた。投げた球はキャッチャーミットに吸い込まれ、三球三振。
「よしっ!!」
 序盤のピンチを無失点に抑えた。おそらくあの五人が野球部員だろう。その五人を無失点に抑えたのだ。清水がこの試合の主導権を握ったといっていいだろう。
「この試合、勝てるぞ!!」
 手を痛がらせながらも、捕手の深谷が嬉しそうに言った。


 一回の裏。一番バッターは俊足柳。
「それゆけ!ヤナギンマン!」
 なぜアンパンマン風に応援!?
「ゆっけーゆけーえ、やーなぎー、みつばちやーなぎー」
 柳はミツバチじゃないよ!
「あーあ」
 残念ながら柳はショートゴロ。さすがの俊足を見せたが、ショートの強肩が勝った。内野はすごい堅守だな……。
 次打者は二番、大きいのに小坂。
「アイル、ビー、バック」
 こっち戻ってきたら駄目だよ!打ちとられるってことじゃん!
「よしっ!……あああぁぁぁ」
 なかなかのいい当たりは右中間を破るかと思われたが、センターが回り込んで捕球。外野守備も堅い。隙はあるのか……?
「俺の出番だな……」
 三番清水。
「清水君、がんばってー!」
「いよっしゃあああぁぁぁ!!!任せろおおおぉぉぉ!!!」
 訂正。三番、座右の銘<七転び八起き>、清水。多くなった観客の女子の声援を受け、さらにパワーアップしたようだ。
「ほんだらあああぁぁぁ!!!」
 カウント1-2からの直球をフルスイング。打球はレフトの頭上を越えた。誰が見てもそれとわかる、ソフトボールの球の飛ばし方を理解しつくしたホームランだった。
「本当に勝てる……」
 現実を見ることに定評のある、原君もつぶやいた。俺もそう思う、勝てるぞ……!


 得点は清水のソロのみのまま四回の表、二死まできた。この回はランナーが出ていない。準決勝は五回までやることになっているので、あとアウト四つで俺たちの勝ちだ。
「三井っ!」
「うわっ!」
 油断が生じたところで、左打者の引っ張った打球が飛んできた。清水の球威に負けたのか、ぼてぼての当たりだ。このままじゃ内野安打になる……!
「三井っ」
 カバーに入ろうとする清水にトス。ぎりぎりのタイミングだと思ったのか打者はヘッドスライディングをする。危険だ!
「うっ」
「清水!!」
 ヘッドスライディングの手をよけた清水はバランスを崩して転倒。皆が清水のところに集まる。
「大丈夫か清水!?」
「怪我は!?」
「……右腕が……」
 ……!やばい、右腕が青くなってる……!素人目にも無事でないことがはっきりとわかる。
「……悪い清水……俺が油断してたから……」
「……気にするな……」
「どうすればいい?」
「とりあえず保健室に」
「でも投手どうするんだ!?」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろう!」
 清水の離脱は痛すぎる。今のプレーで二死ながらランナー一塁。相手バッターは野球経験者ばかり。しかしこの怪我じゃどうしようも……
「ラッキーラッキー」
 そんなとき、相手のベンチから声が聞こえた。人一人が大怪我しているというのに、相手はその程度の認識しかしていないらしい。そうか、相手はそういう態度をとるんだな。それなら
こちらもそれ相応の対応をさせていただこう。
「投手はどうする!?」
「誰かいないのか!?」
「もういい」
「……三井?」
 いいだろう。相手が相手だ。やってやる。

「俺が投げる」


一話完結じゃなくてすいません。






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