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俺と目を合わせるな
作:いもっこちゃん



追う者


バイトを終え、昼まで寝て、事件の判例を読む。法律で人は守られても居るが
付け焼刃的な古い法律で、路頭に迷う人も、少なからず居る。
様々な判例を紐解くと、現在では有り得ない判決が、出ていることも多い。
現在進行中の裁判は、過去の判例を見本として、判決が出される。裁判に温情などというものは無いに等しい。裁判官も時間に制約され、法律に照らし、簡単な案件はさっさと切り捨てる。
弁護士などという者が、裁判の鍵を握るように、ドラマなどでは作られているが、弁護士は法律を知らない被疑者の、変わりに代弁をするだけであって、探偵まがいの事はやらないのが実情だ。
その弁護士を目指している設楽宏は、山ほどの矛盾点に打ちのめされそうである。
分厚いファイルをたたみ、気分転換に宏は、コンビにまで買い物に出た。数ある中の、コンビニで、例の彼女がバイトをしている店は避けた。
ここいらはコンビニの激戦区である。酷いところは道を挟んで。コンビニが向かい合わせに有る。
うつむき加減で。コンビニで買い物を済ませ。夕方の6時を過ぎているが。明るい空を見上げる。太陽のある空が好きだが、夕暮れのラベンダーに、染まった空も又美しい。

ほうーとため息をつき、深呼吸し、弁当を食べてもう一頑張りだと、言い聞かせていたら、見覚えの有る自転車が、宏の前で止まった。
自転車の主は、今日は目だし帽子を被っていない。
「バイク、乗れます?」挨拶もなしに、突然しょうこは切り出した。
「アア、乗れるけど」どこかでパンクでもしたのかなと、宏は考えた。
「それに乗って、私に付いて来て下さい」
「オレ、バイク持ってないけど」
「友達は?借りれます?」
「言えば貸してくれるんじゃないかな」
「どこにあります?」
「友達のアパートだけど・・どうしたの血相変えて。何か起きたのなら、自分ひとりでやらないで、警察を呼んだほうがいいよ、連絡しょうか」コンビニの袋を持ち替えて携帯電話を取り出そうとするが。
「乗って!友達のアパートまで道を教えてください、道中説明します!」
揉め事に巻き込まれるのは嫌だったが、話を聞くくらいならと、軽い気持ちが宏にはある。
「わかった」又もやトンボに足を掛けて、彼女の後ろに立つ事になった。
5分ほど自転車は走り、アパートの前に到着した。
友人のバイクは、階段下に無造作に置いてある。
「ちょっと待てよ。それはやっぱり警察に届けよう。昼、日中の拉致だろう?すぐさま警備体制を整えれば、見つかるのは時間の問題だ」
翔子の友人、明菜がバイト中、友人の理子が、黒いセダン乗るところを見たという。明菜は理子が軽はずみに、車に乗るとは思っていない。色つきガラスで、中が見えない乗用車が、薄気味悪く、明菜は不安になり、翔子に助けを求めたのである。
「交番には寄ってきました。誰も居ません。建設会社の事務所に。いつも止まっている車はありませんでしたし。私確認してきたんです」明菜は不審車両のナンバーを、携帯に入れていた。その車両は、兄がそばに寄ってきたら、要注意だと教えてくれていた。
「警察がどんなところだか知ってます?事件が起きないと彼らは出張ってこないのよ。その間に私の友達はどんな目に遇うと思うの?まず、19歳の娘が車で拉致されたって、どうやって証明するつもりですか?若い女の子が男の車に乗ったって、なんら悪いことじゃないわ。その相手が誰であろうとね。」翔子は説得するより行動するタイプだ。
「わからないなぁー。見覚えの無い男達なんだろう?だったらすぐさま警察に通報して、助けを求めるべきじゃないのか?」
「残念だけど、かもしれないや、もしかしたらで警察は動かないわ。せいぜいパトカーが一台見回りに出るだけだわ。今も交番無人だったのよ。そうなったらどうしたらいいの?知っている私たちが動くしかないんじゃないの。」翔子の気迫に押され、半分納得した宏は、友人のバイクとヘルメットを持ってやってきた。
「心当たりが有るんだったら、言ってくれ。探してくるよ」バイクとヘルメットの持ち主、卓也はサークルとクラブの掛け持ちで急がしい。
「大丈夫、設楽さんだけを危ない目に逢わせはしないわ」そう言って自転車のかごから、白のヘルメットを取り出した。コンビニによく買い物に来る、自転車通学の中学生から、借りたものだ。
メットさえ被っていれば、警察に呼び止められることは無いだろうと、宏も判断してモトクロス用のCRF250Rにまたがる。週末のレース用に手入れをしていた卓也の顔が目に浮かぶ。
「何処へ行けばいいんだ!」
「通り町から、観音寺まで行って。そこから細い道だから、後ろから指図するわ」
観音寺まで10分かからずに到着した。観音寺の後ろには小高い山が鬱蒼とそびえている。
「蜜柑山頂上へは、ここからはいけないぞ。車道に出なきゃ」翔子の行き先がわかった。
「わかってる!お寺の右横の参道を行って!その先に歩行者用の階段が有るわ」エンジンを軽くふかせ、周囲の壁にぶつからないように、狭い路地を登ると、真新しい階段が、ジグザグに雑木林の中に囲まれて、作られていた。
急なので、手すりも有るが、幅は1Mチョット。一人ならなんなく通れるが二人はきつい。
と、宏が思っていたら、座っていた翔子が宏の肩に手をかけ、バイクのイスに立った。
「行って!」宏は用心深くスロットルを回し、タイミングを計って、一気に30段を駆け上り、踊り場でバイクの方向を変える。一息つくとまた駆け上る。翔子はバランスのとり方が異常にうまい。
宏はバイク一台分に、少々荷物を積んだ程度にしか、重量を感じない。
そろそろ階段にも慣れ、昔のカンを取り戻しかけたころ、開けた頂上付近に出た。
様子を見に行って来ると言って、翔子はバイクから飛び降りて、展望台から駐車場へ走って行く。












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