ボクはカモメ。
ハトじゃない。
あんな野暮な服で街に出るなんて、
ボクには出来ない。
あの色遣いといったら!
実に気の毒で仕方ない。
まぁ、他鳥のことはどうでもいいや。
ボクは、
お日様が好きだ。
晴れた日が好きだ。
晴れた日の、
空の色も、
海の色も、
風の香りも、
みんな好きだ。
特に、
晴れた日の空の色。
あれはいいね!
ある日、
ボクは空の絵を描こうと思った。
その日の空の色は、
すっごくいい色だったから、
それを絵に描こうと思った。
残しておきたかったんだ。
絵に描き留めておいたら、
いつでも思い出せるだろ?
その空の色を。
そりゃーもう、
マブい色だったんだぜ。
だから描こうと思った。
さて、
描き始めてみると、
すぐにボクは困っちゃった。
だって、
ボクの絵の具セットの中にも、
100色セットの色鉛筆の中にも、
あのマブい色はなかったんだ。
これでもない、
あれでもない、
もうちょっと白を混ぜたらどうだろう。
いや、ちがうな。
黄色かな?
ちがうちがう。
ちがうんだ!
ボクはもう、
ほとほと困り果てちゃったよ。
もういいや。
あきらめかけたボクに、
フト名案が浮かんだ。
スケッチブックの、
白い紙の上に、
鏡をおいてみたんだ。
ホラ!
あの空の絵を描いたみたいじゃないか!
ボクはすっかり満足したもんさ。
ずっと眺めてた。
そりゃーもう、ご満悦さ!
ずっと眺めてた。
ウキウキで。
口笛なんか吹いちゃったりしてさ!
そうやってどれくらいたっただろう。
眺めてるうちに、
眠っちゃったんだね。
ハッと気づいたら、
あの空の色は、
すっかり変わってしまってた。
いまの色もきれいだけど、
さっきのあの色じゃない。
もうあの色は見れないな。
もう二度と。
お日様も、
帰っちゃった。
あーあ。
ボクはすっかり悲しくなっちゃったんだ。
泣きなくなるくらい、
悲しかった。
実際、
恥ずかしいけど、
シクシク泣いたよ、少しだけ。
でも、
思いついたんだ。
ボクがあの空を探しにいけばいいんだ!
ボクはカモメ。
こう見えても、
飛べるんだぜ、ボクは!
|