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高校ミッション〜進路希望を提出せよ〜
作:霧想大雨


 僕にとってこれは、ある意味試練なのかもしれない。大袈裟な言い方だが、高校に入ってから、初めて壁にぶちあたった気がする。
 この、白い紙は僕に何を求めているんだ。


 僕はなにをしたいんだろう。
 なんのためにここにいるんだろう。


 進路希望の紙は、相変わらず白紙のまま。名前さえ書いていない。

 小学校から中学校は義務教育。エスカレーター式に学年のほとんどが公立の中学に入学した。一部は私立を受験したらしいけれど。
 中学校から高校は、ほとんどの人が進学した。
 ○○工業とか、××商業とかいう高校に行けば、進路はある程度絞られてくるのだと思う。あいにく僕は、フツーの進学校に在籍している。進学校だから、ほとんどが大学に進学するだろう。

 そこで思考を止め、進路希望の紙をじっくりと眺める。相変わらず、白い。
 はぁ、欝だ。
 いつまでに提出だっけ?ホームルームの時間内に提出?
 …無理無理。僕の頭に浮かぶ未来は、この紙のように真っ白なんだ。

 僕は一応優等生で、提出物を出さなかった事はないし、授業に遅れた事もない。そのかわりに、先生と仲良く話すなんてことはないけれど。
 成績は中の上。よくも悪くもない。とは言っても、高校に入ってからテストはまだ一回しか受けてない。
 先生からみれば、僕は、手のかからないその他大勢の内の一人のはずだ。
 まだはじまったばかりなのにな。こんなことで名前は覚えられたくない。

 そもそも、一年生で行きたい大学どこ?って聞かれて即答出来る人間のほうが少ないんじゃあないか。(ちなみに僕が知ってる大学は、東大、京大くらいだ。大学名は知っていても、どんな学科があるのかなんて全然知らない。)
 なんとなくでも自分の将来が描けているのはどれくらいいるのだろう。

 窓の外をみる。
 一年生の教室は、四階建ての校舎の一番上だ。学年が上がるごとに一階ずつ下がっていく。眺めは良い。
 テンションが下がってる僕の心とは裏腹に、今日は雲一つない。晴天だ。遠くのほうで海が太陽を反射して光っているのさえ見える。
 僕は、今日何度めになるかわからない溜め息をついた。


 どうすればいいだろう。僕は将来何になりたいんだろう。
 わからない。
 まだ一年生なんだから適当に書いておけばいいだろうと思ったが、その適当も思いつかない。


 僕はついに諦めて鉛筆を転がした。
 教室の生徒の様子を見る。熱心に何かを書いているやつ。もう伏せて寝てるやつ。先ほどまでの僕と同じように、鉛筆を持ったまま固まってるやつ…
 さて、僕はどうしよう。
 実家から近い大学は、下宿に親がすぐ来るだろうからいやだ、とか、北の方の学校は、冬寒そうだから嫌だとか?
 そういう学校とは関係ないどうでもいいような理由を集めてみようか。

 結構、そういうものかもしれない。
 僕はいきなり、確信めいたものを感じた。

 自分が暮らしたいと思う場所に近い大学を選べば、後悔はしないはずだ。

 何をしたいのかなんて、その場その場ですぐ変わる。どうしてここにいるのかなんて、後から理由がついてくる。
 そうだ、そうに違いない!

 書こうと思う事が決まると、急に世界が明るくなった気がしてくる。

 僕は鉛筆を持ち直し、空を見上げた。相変わらず雲一つない、青々とした空だった。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうこざいます。感想等書いていただけるととてもうれしいです。











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