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女子高校生は皇妃様(!?)シリーズ

嫁入り道具ならぬ嫁入り武器

作者: 雪風

遊森謡子様【武器っちょ企画】参加作品です。

●短編であること

●ジャンル『ファンタジー』

●テーマ『マニアックな武器 or 武器のマニアッ クな使い方』

「何をやっているのかな?マイスウィートハニー?」

『何って決まってるでしょ。このド変態』

 ススナは、怒りの頂点に達していた。そう、この目の前にいる夫(変態)に裁きを与えるために・・・・。

「王婿様、タカロウ。準備は、いいわね?」

後ろで、こうべを下げている二人組に話しかけた。

「もちろん、仕掛けは完璧です。ボス」

と、肘で隣の男をつつく。

「騎士団新人訓練用のモードをランクBに換えました。どれだけ足止め出来るか分かりませんが、相手に有効だと思います」

「そう、じゃあ、ランクをSの方に換えといて」

「はっああああ、なんで!?」

 顔をガバッ、上げた。

「女王陛下が入らしているわ。すぐに、突破せれてしまうからに決まってるでしょ?」

「そういうのは、こっk・・・・・」

「なんか言った?」

「いえ・・・・・」

 チラリ、と隣を見れば顔が青ざめていた。心なしか体が震えていた。


(絶っっっっっっっ対に、思い知らせてやる!!)


と、ススナは固く決意するのであった。

 この話は、クリオス王国で起きた新緑が過ぎて深緑になる頃の夜更けに起きた“嫁入り道具”と言われる一族の武器が全面的に騒動に関わった事件である。





                             ***






「おはようございございす。王婿様」

「お、ずいぶんと遅いね~」

 ニヤニヤした顔を浮かべているのは、我が女王の婿様・白郎様。畑を汗をかいて耕している。どこからともなく現れ一ヶ月前に女王と結婚した。

 申し遅れました。私、ススナ・ゼル・フェルト。クリオス王国騎士団副団長。今は、世にも珍しい黒髪と空色の瞳を持つ女王陛下の婿様。ハクロウ・サル・クリオスの護衛の真っ最中。

「それなら、王婿様はどうなんですか?」

「うっ、それは・・・・・・・」

と、声をつまらせてしまう。

「お二人さん、日が昇ってるうちから卑猥な話はやてくださいよ。まったく・・・」

 肥料を蒔きにいったタカマルが顔を歪ませて立っていた。プラチナブロンドが、土まみれになっていた。そんなことに、二人が声を上げた。

 この方は、タカロウ。周りからそう呼ばれているの私も呼んでおります。Sランクの魔獣使い。プラチナブロンドで、顔立ちはなかなかのも。ツナギを着ていても何故か似合っている。王婿様によると、“イケメンマジック”というたぐいになるらしいようです。

「あのね、遊び人の人には分からないわよ」

「そうそう、ヤリ慣れている人には分からないハズですよ」

「何、意見一致させてるんですか」

 もうやったらない、そんな言葉を残して農業倉庫に行ってしまう。その様子を見送りつつ話を続ける。

「できれば、これをなんとかならないかしら?」

「俺は、『これ以上ヤると離婚‼』っていうね・・・・。ススナさんは、どう?」

「んん、そうですね。あっ・・・・!」

「ススナさん、何か思い付いたんですか!」

 白郎は、希望に満ちた目を向ける。

「『もし、男になんかされたらこれを使いなさい』って嫁入り道具でもらった物があった。王都の外れにあったはずだけど。戦争があって最近手入れしいなかったかしら?」

「そんなに巨大な物なものなんですか?」

「えええ、ご先祖様から受け継いでる物なの。もしかしたら・・・・」

 何か思いついたような顔をしていた。





 そんな様子を遠くから見ている者いた。白郎は、それに気付いてそばに寄った。

「タカロウ、今日はいつにもまして顔色が悪いよ」

「いy・・・・・・いえ、王都の外れと聞いてある噂を聞いていたのでまさか思ってるんでけども・・・。副団長様、アリシア指揮官の三人の子供うちの次女でしたよね?」

 少し悩んだ後、頷きこう言った。

「確かそうだよ。あの見た目は二十代、実際は五十代半ば。清楚で優しそうに見えるけど、お腹の中が真っ黒。旦那にゾッコン。あと・・・」

「いや。もう良いですから」

 えー、と白郎を声を上げる。このままだと永遠に話しそうだった。

「それとこれと、なんか関係あるの?」

「それはまあ・・・」

と、言いづらそうにしていた。目線を移せばススナは消えていた。周りを見渡すがいる気配はない。

「あの方?」

「さあ・・・」



 





「やっぱり・・・」

 タカロウは、頭を抱えていた。

 あのあと、部屋に戻ってこちらの文字を覚えようと練習しているといきなりススナが訪ねてきた。休みの申請と白郎の外出届けを出してきたらしい。良くそんなことが出来たものだ。そして、彼らを馬車に強引に乗せるととある目的地に行くよう指示した。

『アルバトリアス砦に』

 そして、これを聴いたことで確信した。王都の外れにある彼女の家が軍とは別に所有してる砦のこと。白郎は、これが目に張った瞬間、傲然としていた。驚くのも無理が無いと思う。

「タカロウ、嫁入り道具ってここでスケールが違うだな・・・」

「違います。後、敬語使わなくて良いですか?」

「いいよ。『解除』」

「すまない」

「で、再度聞くけど馬車の中で言ってたイーリシア一族の伝説って?」

 多分、頭を抱えていた時に呟いていた事が耳にはいっていたのだろう。どう言えば良いか分からない。

「お前は、理解力が乏しいから短く分かり易く話す。この一族は元々は一介の貴族だった。だが、あることを境に軍のトップにまでのし上がるまでに成長したんだ」

 ススナの先祖は、本当に一介の貴族でしか無かった。武芸に秀でているわけじゃない。文官に向いているわけでもない。そんな一族に転機が訪れたのだ。

 その一族は、女系一族で姉妹の仲はとてもよく。社交界では、美女姉妹と言われ注目の的にもなっていた。その中で、次女は薔薇水晶と呼ばれていた。男性からは求婚の話が絶えなかった。そんなある時、強く迫ってくる男がいた。だが、なかなか落ちず。殺してしまった。その理由は、未だにはっきりしていないが相当に複雑だったらしい。

 話を戻すが、それをした。姉妹の姉と三女・末っ子は激怒し、その家で父を除いてたった一人の長男を頼ん(脅し)で盗賊が住む付いていた砦を奪還。それの褒美としてその砦を貰い、改造した。

「それが、通称“男殺し砦”」

 タカロウは頷く。禍々し感じを臭わせる砦を見上げる。

「それから、女を大事にしない男はそこに放り込まれて帰ってこなかったらしい。つい最近で、罪人の処刑にも使われていたらしい。今は、閉鎖されているが今でもその砦の管理は、ススナの一族が担当しているらしい」

 そして、その事件がキッカケになり一族は女性を守れるような国を作るために軍を牛耳れるようにまで成長したのだ。

『二人とも聞こえる』

 どこからかススナの声が聞こえてきた。白郎とタカロウは、返事をした。そのあと、隠し通路から入ってくるように言われたので指示通りに動いた。





「で、どうするんですか。ボス」

「ボス?」

 なんですそれ、と言った目を向けるタカロウ。多分、さっきの話を聞いて今回はふざけてはいけないと感じ取ったのだろう。ススナは、その呼び名を気に入ったらしい。

「じゃあ、下僕1」

「はい、ボス!!」

「私は、中央管理室。下僕1は、地下制御室。下僕2は、制御塔の表門」

「下僕2は俺のことか?」

「だったら何?」

「いや・・・・」

 ここで口答えしないほういいと判断した。この砦の次の被害者にされそうだからだ。もし、怒られそうなら主人と計画者を質屋に売ってやると心に誓った。







 そして、冒頭に戻る訳なのだが・・・。

(どうするんだよ!?リー、とてもお怒りに見えたが・・・)

(自業自得だ。捕まって寝室から一週間は出て来るな)

(苺の世話は、誰がやるんだよ!!)

(俺に、決まってるだろ。それに、お前。俺を“従属”にする契約の時に言っただろう?『自分が嫌だと思うことは絶対にやらせない』。俺、この砦の次の被害者になりたくないし。そうならば、あれでしょ。お前を質屋に入れれば俺の身は保証される。だがら、質屋に行け。そして、高額で売れてこい)

(薄情者ー!!)

「内緒話をしてないで早く持ち場に着きなさい」

 ドスのきいた声が聞こえてくる。二人は振り向くとそこには、ススナが後ろに立っていた。目がヤバイ。あれは、誰かを殺る時の目だ。二人は、慌てて持ち場に移動する。

 






「で、なんで曰く付きの“嫁入り道具”が稼働してるんだ。パルレロ、始末書ものだぞ。これ」

 騎士団長ことススナの上司、シング・ソズナールは蟻地獄から助け出されているところだった。

「いや、申し訳ないに実は私も何でこれが稼働してから理由がサッパリで・・・・」

 現在、リーこと女王陛下、騎士団長・シング、聖剣士・パルレロは、地下練習場にて蟻地獄の罠に遭遇。戦闘をおこなっている。


 ギシャシャシャシャシャシャシャアアアアアアアアアアアア


 蟻地獄の断末魔が木霊す。巨大な身体が、砂の上になだれ落ちた。

「さすがですね。女王陛下は、40%の魔力でも簡単に倒すとは・・・」

「まあ、私が増量しだけはあるが・・・若干、怨念のような物が混じっているのは気のせいか?」

 質素なワンピースを着て、高圧力の魔力の武器、聖竜武。神弓戦・フロアロス、4大国の王が持つこと許されている武器。属性は風。穏やかな風は、荒々し風と化してる。見た感じ、うん。荒れてる。

「行きますよ。騎士団長、聖剣士」

 笑ってない。満面の笑み。国民がその笑顔で癒やされているが、今はブリザードだ。背筋が凍るのではない。絶対零度だ。階段を発見したので上に上がる。二人は、女王の後について行く。

 元々今日は執務を早く終わり、白郎が朝一に取ってきた苺を使ってタルトを作っていた。白郎が、「このつやつやの苺を使って大福を~」をなんて呟いていたので、もしかしたら故郷の物で何か作りたいのではと思い女王陛下自ら手作りしたのだ。あと、女王陛下の好感度を上げるべく厨房スタッフの総力を挙げて作った苺のタルトを部屋に持っていくと従属と共にパルレロの妻に連れて言ったと聞いた時、パルレロの執務室に神弓戦の矢をぶっぱなてきた時は殺気が放っていなかったら“言霊”で防御できなかった。そして、騎士団長を引っ張り出しきてここまできたのだ。

(早く王婿様を捕獲しないと女王陛下の魔力が漏れ出して、この一帯に動物が魔力酔いの被害に遭う。というか、俺がもろにくる)

(それは、シングは耐性が弱いせいだと思うが?)

(俺は、平民の出。魔窟に住んでる人間とは違う)

(だが、今回は私もキツイ。殺気が混じってて・・・)

「出口のようです」

 先に歩いていた女王陛下が上に目線を移した。縦穴らしきところに着いたらしい。梯子もある。上る順番は、パルレロ、騎士団長、女王陛下の順だ。

 上に着いたシングは、慎重に板をどかす。誰もいないようなので順番に出て行く。

「【アレク】、潰せ!!」

 頭上に影が出来る。全員の場から散らばるように離れる。三人がいた場所は、土煙が舞う。土煙の中に巨大な黒くて朱色の光が輝く影がある。それも6つ。はっとして声がした方に目をやった。

「【アレク】、戻れ」

 その声に応じるようにその影はひとっ飛びでその人物の所に着地する。巨大な四肢、真っ黒い毛、それと何より特徴的なのは三つの顔に朱色の目。煉獄の番犬・ケロベロス。その使い手はこの世で一人しかいない。

「まさか、“従属”の奴かッ!?」

「正解だ」

 元中央司令室がある塔の正面の門の前、手に召喚カードを持ったタカロウがいた。おのおの、武器を構える。

「あのさ、ここで女王陛下にしつもーん!!」

「何?」

 感情もない目でタカロウで見つめる。

「今、質屋では質の良い品が入ったんだけど、買う?何のことだが分かるだろ?」 

 多分、この場に白郎がいたら「売りやがって!!!!!。覚えてろォォォォォォォォ」なんて言いそうだが、今自分の身が大事。売るのも当然だと思う。

「・・・買うわ。貴方の身の安全は保証するわ。場所は?」

「白郎、地下。パルレロの奥方様は中央管理室。ゴーレムがいるとけど今のあんたなら木っ端微塵だな」

と、言って横に移動する。

「シング、パルレロと中央管理室。私は地下」

 頷くと元中央司令室がある塔に入った。



                            ***



「というわけ一件落着」

「終わるな!!」

「タカロウ!!なんで売ったの!!」

「四日ぶりですね。元気にしてましたか?白郎様、ススナ副団長?」

と、何ごともなかっようにとぼけて話すタカロウ。現在、朝からやっている畑の雑草抜きから帰ってきた所をドアを壊す勢いで二人は入ってきた。そして、見越してお茶とお菓子をスタンバイして、ケロッとした顔で二人を部屋や招き入れた。

「とぼけるな!!俺たちを質屋に売っただろう!!」

「そうよ!!いつの間にか休暇届けが出てて一日中ベットで寝てたのよ」

「まあ、二人とも愛を深めたと言うことでいいではありませんか?」 

 落ち着かせるような答えを返すタカロウ。

 その瞬間、二人の顔が沸騰するような勢いで赤くなった。ウブだな~、なんて思いつつ事の顛末を思い出す。

 あの後、白郎は速攻で捕まり、ススナも同じように捕まった。というか、パルレロと対峙中に気配を消していた騎士団長に後ろから鞘で頭を殴打された。気がつけば家で裸にされていて、後は言わずも知れている。次に起きたのは次の日の昼。パルレロに、何故こんな事をやったのか問われて白状するも。変な事を抜かしやがる始末。

 そして、今日出勤してきた。腰が立たなくなるほどで辛い。

 色々と後悔がつきない。

 ススナは同じように捕まった白郎の様子を見に行くと、王婿様の部屋の天蓋付きのベットで白郎が精気を抜けた状態になっていた。もう、ゲッソリした感じでいつもの元気が無かった。そして、こんな事になった元凶でもあるタカロウに問い詰めに来たのである。

「でも、結局は同じことになるんですから、結果オーライですよ」

 お茶を飲みつつ、答えた。ガミガミ、と二人が文句を言っているがスルー。

「第一、あれ、“嫁入り道具”と言うよりは“嫁入り武器”と言うべきですね」

「それは、私の家に対する侮辱?」

「まさか、あんな嫁入り道具持ってる家なんて副団長様の一族だけで十分ですよ」

 タカロウは皮肉で返す。でも、頭に血上ってそれどころでない。

「この減らず口が!!」

 心にあった怒りが爆発して、一触触発状態になる。

 そのあとに、タカロウに挑発に乗って「表に出ろ!!」と喧嘩でよく言う言葉をはくのであった。










 では、皆さん。これにてこの話は終わりだよ。

 しかし、この砦って嫁入り道具というよりはあれだよね。嫁入り武器、って感じ。

 人間の考えることは時々解らないね~。度が過ぎる感じだよね。

 えっ、私ですか。

 うーん、どう言えば良いのか分からないけど・・・。

 この劇中で私の名前が出てるんです。

 ついでに、私。

 無機物じゃなくて有機物だから!

 物でないし。

 また、どこかで会いましょう。

 貴方に会えることを楽しみにしてるよ。

 

ギリギリだぜ!!

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