いつでもほほえみを(8/9)縦書き表示RDF


いつでもほほえみを
作:GUCCHON



第8話:浮き沈み


ふぅ……ただいまぁっ……と。
家に帰るなり、俺はリビングのソファにダイブした。
無駄にふかふかで俺の身体を包み込んでくるソファ。
あー……やべぇ、このままじゃ寝る……。
俺はダルい体を起こし、お茶でも飲もうと冷蔵庫に向かった。
「えーっと、麦茶麦茶……ん?」
……なんだろうな、この違和感。
特に変なものが入っているわけではないんだけど、明らかに冷蔵庫の様子が朝と変わっている。
匂いは……特に変な香りもない。
庫内にある食材は……にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、豚肉……そして、置手紙。
……あぁ、わかってたよ。目を逸らそうとしただけさ。
その置手紙にはこう書かれていた。

”今夜はカレーねっ♪ 凛”

「姉貴の奴ぅぅぅぅぅ!!」
しかも、わざわざカレーの具を強調するようにわざわざ冷蔵庫の前面に押し出している。
とりあえず俺は見なかったことにして麦茶を持ってソファに戻った。

 テレビをつけてぼんやりとチャンネルを回す。
……なんかこの時間のテレビつまんねぇなぁ……。
特に見たい番組もなく、テレビショッピングをただ眺めてみる。
 
「やぁボブ、気分はどうだい?」
「オー、聞いてくれよジョージ。また彼女にフラれちまったよ」
「ジーザス。それは残念だったな、ボブ。でも、もう大丈夫さっ!」
「それはなんだい、ジョージ?」
「これは超強力な接着剤、スグト・レールさっ! これさえあれば君とあの子は、もう離れられない……ぜっ!」
「「……HAHAHA!! ヒャーッホウっ!」」
「おいボブ、そんなことよりコーラでも飲みに……」

 ……なんだこれ?
画面の中でハイタッチしているボブとジョージを視界の外へ追い出す。
なんか凄い時間を無駄にした気分だ。
そのまま横になってうとうとしていると、ガチャリと玄関が開く音がした。

「ただいま」
姉貴が帰ってきた。
俺は半分夢の中だったから、幾分低いテンションでおかえりとだけ答える。
姉貴が玄関のほうで、さぁ、入ってとかなんとか言っている。誰か連れてきたのか?
足音が2つ、こちらへ近づいてくる。
「おじゃましまぁ……あぁっ!」
なんだよ、あぁっ! って。俺が何か……
「あっ……」
パッチリと開いた目にちょこちょこ跳ねているショートの髪の毛。
同じクラスの、頬月がそこに立っていた。
「姫野君?!」
「お、おぉ……」
やっべー、なんか恥ずかしいわっ! 俺こんなに人見知りする奴だったかなぁ……。

「何々っ? 二人は知り合い?」
急に姉貴が割り込んできた。なんだか、その興味津々な感じがやたら嘘臭く感じる。
「り、Lynnさんっ! 姫野君がいますっ!」
頬月がなんだか変なことを口走っている。いやいや、むしろ俺のセリフだから、それ!
姉貴は俺がいることを言っていなかったらしく、白々しく説明を始める。
「姉貴……なんで頬月つれて来てんの?」
……ぜってぇワザと教えてないんだろうなぁ。
姉貴と頬月が知り合う可能性なんて部活見学くらいなもんだ。
姉貴の所属するダンス部の顧問は浅岡先生、姉貴は俺が浅岡先生のクラスだっていうことは知っている。
大方、ただ頬月を驚かすためだけにつれてきたんだろう……まったく。
「あら、気に障った?」
なっ! そんなことお客の前で言うんじゃねぇよっ! 頬月に気ぃつかわせちゃうだろっ?!
「そ、そんなことはねぇよ……」
俺の言葉に頬月はあはは、と苦笑いを浮かべている。
お、俺のばか野郎っ! そこは爽やかに言ってやる場面だろうっ!! 俺が余計気ぃ使わせちゃってるじゃねぇかっ!!
「あらそう。じゃあ、夕飯の仕度お願いね♪」
おい待て……その”じゃあ”の繋ぎはおかしくないかっ?!
「姉貴っ!」
料理くらい姉貴がやれよっ! と言おうとしたけど、姉貴は既に2階へと逃げていっていた。
……はぁ、まぁいいや、頬月もいるし。
「HAHAHA!! そんなんだから尻に敷かれるんだぞ、ボブっ!」

ブチっ!

 うるせぇよジョージっ! 俺はボブじゃねぇ、笑だっ!
俺は少し乱暴にテレビのスイッチを消した。
……まったく……なんてタイミングで言うんだよ、ジョージ……。

夕飯の準備を済ませ、皿を取りだす。
……頬月、大丈夫か?
ふと、不吉な予感が脳裏を過ぎった。
姉貴は一度気に入ると手加減を知らないからな……。
昔、飼っていた猫をノイローゼにしてしまったこともあるくらいだ。
俺はあくまでも手は動かしながら、少しだけ、聞き耳を立てる。

「エミちゃんはウチの笑のことを好きでいてくれるのね?」
「もちろんですっ!! 大好きですよぅ♪」

 がっしゃぁぁぁんっ!!

 な、な、何言ってんだぁっ?!
あまりの驚きに、皿を盛大に落してしまった。
俺のことが好き?
……い、いや、もう俺は騙されないぞ。姉貴の謀だこれはっ!
まぁいい、とにかくカレーも出来たし、腹も減ったし、姉貴たちを呼ぶか。

 おーい、と呼びかけると、間もなく姉貴と頬月が階段を降りてくる。
なにか、大丈夫おまじないは成功よ♪ とか何とか姉貴が言ってるけど……なんだ、ほんとに?
その姉貴は、リビングに入ってきて俺の顔を見るなり、ぐっと俺の肩を引き寄せた。
「エミちゃん、あんたに嫌われてると思われてるみたいよ? 好かれてるみたいでよかったわね♪」
ふふふ、っと笑いを浮かべて、席に着く姉貴。
あー……なるほど。それならあの頬月の様子も納得できる。
さっきから頬月はちらちらとこちらを見てしょぼーんとしている。
何だか捨てられた子犬みたいだ。
少し申し訳ない気分になりながら俺は頬月にカレーをよそう。

 ぴくっ!!

 おっ? なんか反応した!
頬月の顔がどんどん緩んでいく。
……かと思ったら、ブンブンと首を振ってこっちを見て再びしょぼん。
けど顔が緩む……の繰り返し。

 ……お、おもしれぇ……!!

 本当はすぐ誤解を解こうと思っていたけど、この反応があまりにも面白いもんだから、もうちょっと観察していることに決めた。
姉貴も、俺と同じ考えのようで、頬月の様子をほほえましく眺めている。

 黙々と食べる俺達3人。
ただ、状況がわかっていないのは頬月ただ一人。
一口食べるごとに顔が緩み、はっとしてはちらっとこちらを見る。
そしてしょぼんとしたまま一言、頬月は言った。

「……おかわり」

 もぉだめだぁっ!
「はっはっはっはっはっ! やべぇっ! だめだってっ! そこでおかわりは反則だって頬月っ! はっはっはっ!」
はぁぁ〜うけるっ! 頬月の中で食欲が勝ったっ!
頬月は俺の様子にただきょと〜んとしている。
だけどやがて、俺が怒ってないことに気づいたのか気づかないのかわからないけど、頬月はえへへぇ、と笑った。

 ……ふぅ、腹いっぱいだ!
さすがに夜も遅くなってきたし、頬月が帰るとなった時、姉貴が俺に向かって言う。
「ほら笑、あんたエミちゃんをちゃんと送ってきなさいよっ!」
まぁ、言われなくってもそのつもりだけどさ。
頬月はおじゃましましたっ! と先ほどのテンションとは打って変わって大きな声で言った。
俺もそれに続いて外に出る。

「はぁ〜、食ったなぁ」
「うんっ! わたしもうお腹いっぱいっ♪」
そりゃあそうだろう。あの後4杯もおかわりしたんだから。
まぁ、あまり笑ってやるのもかわいそうだから言わないでおこう。
「しかし、まいったよなぁ、クラス委員なんて……」
「うーん……そうだねぇ……」
俺の言葉に、少し頬月の声のトーンが落ちる。
ホントになんでも顔に出るやつだなぁ。いや、わかってたけど。
……こいつとなら、楽しくやっていけるかもな。
「まぁ、決まったもんはしょーがねぇっ! これから1年、よろしくな、頬月っ!」
「うんっ! こちらこそっ!」
そう言って、俺と頬月は握手を交わす。

 ははっ! 落ち込んだり笑ってみたり、本当に面白いな、こいつっ!
そんな頬月の様子に、気づけば俺の頬は緩んでいた。






こんにちはっ! 第8話お届け致しましたっ!
やったーっ! 修正完了ですっ! ……と言いましても、文の未熟さはそのままですが……。この話は頭の中に大体の構成が固まってたので、すぐ書けるっ! と思っていたのは間違いでした(^_^;)ぜんっぜん書けない……。
 大体以前の話数の半分になって、一話の文字数が大体倍になってます。そんで、話も結構変わってて、修正と言うか、書き直しですね(^_^;)
 さぁ、以前から読んでくださっていた皆様、本当にお待たせいたしました。次回、ようやく新展開になりますっ! 頑張りますので、暇な時にでも読んでやってくださいっ! 宜しくお願いしますっ!






ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「いつでもほほえみを」に投票

よかったら覗いて見てくださいっ! GUCCHON'S LOCKER ROOM





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう