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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

勇者、来訪

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勇者と『だが断る』

(10/10に、前話を大幅修正しています。ご注意ください)

「……ロクコさんを賭けて勝負だ、ナリキンさん!」
「お断りします」

 2回目を言ってもダメなものはダメだ。

「なぜですか?!」
「こっちにメリットが無さすぎるからに決まってるじゃないですか。先ほどの話を合わせると、ようは自分の失恋のためにこちらを巻き込もうっていう『はた迷惑な行為』以外の何物でもないように見えますが?」
「うぐっ! 確かに!」
「いーじゃないの、勝負、受けてあげましょうよ」

 なぜかロクコがノリノリだった。

「ただし、もちろんこっちが勝ったら何かメリットはあるのよね、勇者サマ?」
「えっ、あ、えーっと、そうですねぇ……じゃあ、ナリキンさんが勝ったら日本人ってことは黙っておきますよ? っていうのはどうでしょうか」
「………………それ、私が日本人だと言っているように聞こえるのですが?」
「違いましたか?」

 いや、合ってる。合ってるけど、ここでそうだと言ってしまうのは、ただ認めるだけだ。違うといっても、もし嘘を判定できる魔道具や魔法を使ってたら、これもまた自白と変わらない。俺にできるのははぐらかすことだけだ。

「仮に私が日本人だとして、それを話されてなにか困ることがあるとでも?」
「困ることがあるから、顔を隠しているんでしょう? そうでないなら日本人同士顔を見せて話をしましょうよ」
「単に醜い傷があって人に見せたくない、そういうのもあるでしょう。……あまり詮索しないでいただけますか?」
「そっ、それは失礼しました! 思い至りませんでした!」

 と、ワタルは素直に頭を下げて謝った。思いのほか素直な奴だよホント。

「いや、てっきりここの宿を建てたのがナリキンさんで、名前も『成金』なんていかにも冒険者になって成り上がりましたーって感じの名前で、いやはやホントてっきり」

 惜しい、そっちじゃない。将棋の駒にちなんだ方だ。本名が『桂馬』だから、裏の名前は『成金』にしたんだ。当然言ったりなんかしないけど。

「そういうことでしたか。名前は……まぁ、たまたまでしょう。勇者様からみれば、変わった名前なのかもしれません。あと、この宿は、昔の勇者様の立てたという宿を参考に建てたものでしてね。それと、ここのダンジョン『欲望の洞窟』で産出した珍しい魔道具を置いてあったりします。そこの『マッサージ椅子』とかね」
「ははぁ、そうなんですね。……解体してみてもいいですか? なんなら買い取りでも……」
「予備はハクさんに献上してしまいましたから、諦めてください」
「むむむ、この洞窟で見つけろってことですね……」

 まぁ見つかるかどうかは運次第、ではなく、俺のさじ加減なんだけどな。今のところ。

「……では、そうですね。こちらが勝ったら、嘘を見抜ける魔道具――これが欲しいです。それであれば勝負をうけることを検討しましょう」

 5万DP、金貨で手に入れるなら50枚をDPにすればいい。スイートは1泊金貨25枚なので2泊分だ。余裕で手に入れられる。……そろそろ手に入れておいて、実際にどういうモノなのか確認しておきたいのだ。
 ついでに、どのくらい手に入りやすいものなのか確認できれば――まぁ、十分な成果だろう。

「あ、そ、それは、その、私もそういう魔道具の話は聞いたことあるのですが……すみません。持ってないです。その手の魔道具は国に強制的に買い上げられるそうですよ?」
「Sランクの冒険者様であっても、ですか?」
「……はっ! そうか、僕いまSランクだから可能性はある……! ああいやでもでもハク様の許可とかいるんじゃないかな……あ、あ、でもロクコさんなら許可がでるかも……えっと、だ、打診してみますが、ダメだったら他の事でってことでお願いします」

 ま、ダンジョンマスターの俺は持ってても別に問題ないだろう。
 しっかし真面目な奴だなホント。調子が狂う。ちなみにまだ『検討』なのでやるとは言っていないぞ。

「で、どーするの? 受けるの?」
「ちなみにこちらが負けた時はどうするんですか?」
「……えー、そのときはロクコさんにアプローチするのを許してください」

 あ、そこは謙虚なんだ。てっきり『ロクコさんは僕が連れて行く!』くらい言うもんだと思ってた。

「まぁ、ロクコの自由意思を尊重するのであれば」
「ええ、そこはまぁ。……まだロクコさん小さいですけど、もう一人前のレディーだと思いますし?」

 ちらりとロクコの方を見る勇者ワタル。ロクコはニマニマしている。……うん、さてはレディーって言われて喜んでるなこいつ。しかし疑問形だったぞ? いいのか?

「まぁ、勝負は受けません。やはり受ける理由が無いですからね」
「そうですか、残念です」

 そういうわりに、あまり残念そうではなかった。……何か企んでるんじゃないだろうな。
 俺は少し怪しく思ったが、その日のところは何事もなく終わった。

 ……とりあえずは、ナリキンは仕入れとかに出かけて行ったということにしよう、1週間ほど。そうすればこれ以上ややこしい話しなくてもよさそうだしな。
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