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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョンを発展させよう

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やっちゃった……

(前回が長かったので、今回短かめです)
 桁あがりのある計算を間違えて、チンピラは蜘蛛の巣トラップに落ちていった。
 ……どっちにしても『簡単』が答えだったからハズレなんだけどさ。
 とにかくこれで全員無力化できた。

 ふぅ、と息をつく。ひと仕事終わって、体に取りついていた熱が離れていく感じ。……うん、落ち着いてきた。

「ねぇケーマ。ひとつ思ったんだけど、冒険者10人がまとめて未帰還とかなったらかなり警戒されるんじゃない?」
「……ソ、ソウダネ」

 ロクコの言う通りだ。
 冷静になって考えてみたら、Cランク冒険者を複数含む10人のパーティーが未帰還とか、相当にキツいダンジョンと見られてもおかしくない。ついカッとなってやってしまった。オフトンさんを傷つけられそうになってついってヤツだ。

「……そんなにイチカやニクが絡まれたのがムカついたの?」
「いや、オフトンさんだから。俺がキレたのオフトンさんのためだから」
「そういうことにしたいなら、まぁいいけど?」

 んむ、そうなのだ。決してイチカやニクにちょっかい出されてイラっとしたわけじゃ……いや、あるな。言われてみればそうとしか思えん。ニクのためとはいえ騎士団(チンピラ)団長相手に直接釘をさすとか、俺にしては危ないことをした。
 つまりその、はい。……やばい、何にも考えてなかった。やっちまった。

「ねぇねぇケーマ。もし絡まれたのが私だったとしてもあいつら皆殺しにしてくれた?」
「何その物騒な質問。……いや、半殺しだから。半分しか殺してないから。むしろ6割生存だから」
「でもこれからDP絞るだけ絞って最後は潰すんでしょ?」
「……まぁそうなるけど」
「私のために山賊を皆殺しにしてくれたケーマだもん、きっと私が絡まれても皆殺しだったわね!」

 にこっと無邪気さを感じさせる可愛らしい笑顔をむけるロクコ。
 あれ、なんかそういう風に言われると俺、かなりアグレッシブにバイオレンスなことしてるなぁ。
 けど、すでに罠に嵌めてしまった以上、まだ生きてるヤツも帰すわけにはいかない。結局皆殺しかー……俺もかなり悪人サイドになってるな。某ゲームでいうとカオス寄りだ。適度なところで歯止めをかけておかなきゃマズイな。あくまでニュートラルに、普通に行きたいところだ。

「ご主人様。全員、牢屋への収納がおわりました」
「おう、お疲れさま。……しっかし、ニクはゴーレムの操作が上手くなってたな。いつの間にあんなに上達したんだ?」

 ニクの頭を撫でると、嬉しそうに犬尻尾をぱたぱたさせる。
 ……ニクを撫でてると心が落ち着く。もはやニク=枕=安心感という式が成り立っているんじゃないかな。
 そう、ニクは俺の大事な寝具だ。だからニクにちょっかい出されて俺がキレたとしてもなんらおかしくない! 俺はロリコンではない!

「んぅ♪……ご主人様お役にたつために、がんばってます、から。……最近暑くて、抱き枕にしていただけないこともありました、ので……はうぅ♪」

 嬉しそうに声を漏らすニクの頭を撫でていると、ロクコが『ぢー……』っと、少し責めるような目で俺を見てきた。
 ……うん、ごめん。安心してる場合じゃなかったね。10人未帰還とか完全にやらかしたもんね。

「で、これどうするの? 捕まえた奴とか」
「そうだなぁ……」

 捕虜は、自分で面倒を見るのは非常に面倒くさい。それに、色々と後味が悪すぎる。安眠に支障が出てしまう。
 よし! こういうのは、部下に任せてしまおう!

「レイ、仕事をやろう。看守として、こいつらの面倒を任せる。看守補佐にゴーレムをつけるから、適度に長持ちさせてくれ」
「はいっ! 任せて下さいマスター! あとこいつらの血を飲んでもいいですか?!」
「ん? おう。いいぞ、死なせても構わないくらいだからな」
「やった! ……あ、す、すみません、ありがとうございますっ!」

 そういえばレイは吸血鬼だったな。と今更ながらに思い出す。
 なので本来、レイにとって人間はエサだ。そんなわけで吸血鬼として人間を『飼う』ノウハウが頭に入っているらしい。
 ここにきてまさかのレイお役立ちである。吸血鬼であることが無駄にならなくてよかった、むしろ血を飲むことでパワーアップとかしちゃうかもしれないな!
 どこかにバレそうになったらすぐ始末してダンジョンで吸収できるようにしておく工夫を考えないとな。奴隷の首輪じゃなくて、囚人の首輪とかあるんだろうか? ああ、なければゴーレムで作ればいいのか。命令一つでギロチンになるような首枷とか。

「……ところで、やっぱり吸血鬼だと血が飲みたくなるもんなのか? 吸血衝動無効オプションとかあったと思うけど」
「そうですね、必要ではないです。ですが、マスターが睡眠の必要ない身体になったとして」
「あ、うん。寝る。寝るわ。絶対寝る」

 なるほど良くわかった。『必要ない』と『欲しくない』は違うものだ。ケーキが大好きでもパンがあれば別に死にはしないという感じ。

 しっかしDP収入が跳ね上がるな。
 具体的にいうと、今までで大体1日500DPだったのが、1日1800DPになる。3.6倍だ。
 捕虜6人から約1300DP。これだけもらえるのだ。閉じ込めで2倍、牢屋でさらに3倍。計6倍はマジ凄いとしか言いようがない。

「つまり今日は贅沢してもいいってことね! 今夜はメロンパンパーティーよ、異論は認めないわ!」
「ロクコ様、ハンバーガーも食べたいです。あとイチカにもカレーパンあげましょう」
「許可するわ!」

 異論は認めないとは何だったのか。まぁいいか。
 それなら今日は色んな種類のパンを提供しようじゃないか。菓子パンとかじゃなくて、最近項目が増えたパン屋のパンシリーズとか。たまには贅沢もいいよね!

「……あ、DP入った。誰か死んだわねー」
「ん? 足切り落としたヤツも傷を焼いて血は止めたから直ぐに死ぬとは思えないんだが……あ。貴族の方か」

 お試し部屋の様子を見ると、貴族……ドラサンだっけ? が、取り巻きにざっくりやられていた。そして最後まで抱えていた魔剣だったが、取り巻きの連中はこれを台座に戻して閉鎖を解除することに成功した。
 貴族の血にまみれた魔剣を台座に戻すあたりが、なんか感動的だった。困難な旅路の果てに目的をやり遂げた、そんな男の顔をしていた。
 うんうん、頑張ったな。ご褒美に迷路の封鎖を解除しておこう。
 今の俺は優しいことをしたい気分なので、このまま逃がしてやろうじゃないか。

 ちなみに助かった後、貴族が居ない言い訳はいくらでもできる。できるけど……嘘を判別できる魔道具がある以上、尋問を受けてすぐに逮捕だろうな。
 まぁそこまでは責任持てないよ? ダンジョン外のことだもの。


(というわけでケーマがやらかした結果が前回でした)
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