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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

安定した日々?

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新人教育

ちょっと諸事情で一週間ほど投稿できませんでした。
 ちなみに、【クリエイトゴーレム】による増築だが、本来は素材全体に魔力が行きわたらないといくら【クリエイトゴーレム】でもこれほど便利には使えない。が、そもそもこの宿自体が建てる時に【クリエイトゴーレム】で素材を組み合わせて作った『宿ゴーレム』とも言える代物である。自分の魔力に満ちたゴーレムを作り直すのは、実に容易(たやす)い。

 と、先ほどから3人娘の反応が無かった。
 振り返ると、そこには目をキラキラさせた魔女見習い(ガンマ)が居た。
 他の2人は開いた口がふさがらないといった感じだった。実際ぽかーんと口の力が抜けて開いていた。俺も何も知らないで建物が3分で増築されるところ見たら多分そうなるだろうよ。

 それを見つつ反応を待つ。3人の中で最初に反応を示したのはやはり魔女見習い(ガンマ)だった。

「すごいですマスター! 何でもしますから、私の師匠になってくださいー!」

 ん? 今何でもって……って、女の子がそういう事ホイホイ言っちゃいけません。

「体でも何でも差し出しますー! ……ああ、私達は元々マスターの所有物(モノ)ですがー」
「……えと、とりあえず受付の仕事ができるようになってくれればいいよ?」
「ありがとうございますマスター!」

 ……なんか師匠することになった。
 あまりの本気っぷりにちょっと退いてしまったが、ニクとローテーションで抱き枕係とか言いつけても良かったかもしれない。いつもニクばかり抱き枕にしてるのも負担だろうし。

 いや、でも師匠っつっても俺、各属性の初級魔法1つずつと中級魔法2つしか覚えてないし、詠唱とかよくわからない翻訳機能さん任せだし、何も教えられる気がしない。それに対して抱き枕係を言いつけるってのは、一番上だけが本物な新聞紙の札束で騙すようなもんだ。俺の主義ではない。
 だから抱き枕係を命令できなくてももったいなくないんだ。もったいなくなんかないんだ。そういう目的で呼び出したんじゃないんだし良いんだよ。
 ニクには負担かけてしまうな……また倒れさせないように気をつけねば。

 と、そんなことを考えていると、他2人も再起動したようだ。

「マスターはただのニンゲンではなかったのですね……凄腕の魔法使いが転じたモンスターでしたか」
「掃除のしがいがありそうですね。もっと部屋を……」

 おい、吸血鬼(アルファ)。俺はただの人間だぞ、ダンジョンマスターだけど。
 そしてシルキー(ベータ)は家事全般が存在意義、生活魔法を使わないお掃除が趣味ということでのこの発言だろう。生まれついてのメイド服は伊達ではないな。

 とりあえず、部屋を増やすついでに、ダンジョンマスターとして新人に俺の力を見せておく目的は果たした。あとはイチカに任せて寝てていいか。俺の出番は「何か異常があれば」くらいで頼む。

  *

 で、受付の仕事というのはそれほど難しくも無い。
 一番難しいのは宿泊料の計算だろう。しかしこれも数を数えられればできる。
 日本で言えば小学生でもできる内容である。

 と、思っていた時期が私にもありました。

 この世界の基準では文字が読めない人も居れば小学生並の計算ができない人もいる。むしろ計算はできない人の方が多い。

「ニニンガシ、ニニンガシ……」
「2×2は?」
「……8?」
「たぶん正解ですー! これでマスターに魔法の修行をつけてもらえますー!」
「6ですよ、2人とも」

 3馬鹿だった。
 4っつってんのにな。完全に九九が呪文扱いで内容が理解できてないだろこの吸血鬼。

「というわけなんよご主人様。どうしたらええと思う?」
「……うん……九九が通用しないのか……」

 そうだよな、言葉が違うならリズムが違っちゃうもんな。むしろニクとイチカはよく覚えられたもんだ。多少は無理を押し通したのだろうか。

「……元々ある程度計算できたっちゅーのもあったけど、覚えないと徐々に首輪が絞まってくるからな、バッチリ覚えられたで」
「うわっ、なんかその、ゴメン……今日はカレーパン好きなだけ食っていいぞ、おかわりもいいぞ」
「おお! そいつは嬉しいわぁ」

 ニクにもハンバーガー食べ放題つけてやらないとな。

 さて、そんなわけでこいつらでも受付ができるようにしないといけない。
 幸い文字は読めるからメニューの読み上げや値段の確認はできる。問題は計算だ。

「……なら、計算機作るか」

 電卓やレジをDPで交換という手もあるが、魔道具と言い張るにも無理があるだろう。となれば、見た目的に問題ない計算機を作るしかないな。

 というわけで作った。製作時間5時間10分。

「これが『ソロバン』だ」
「どうやって使うのでしょう?」

 見た目は日本で標準的に使われているソロバンとは違い、異世界での見た目の分かりやすさを重視した1列に9珠。これを8列作った。金貨1万枚を越えなければ計算できるという寸法だ。
 しかもゴーレムということを最大限に生かして魔道具としてみた。

「宿泊5名、Dランチを4食、Cランチを1食の場合のお値段は?」
「た、珠が勝手に?! ……6、5、0……銅貨650枚!」
「これはすごいですね……銀貨6枚と銅貨50枚とも読めます」
「マスターすごいですー!」

 と、このように音声でも自動で計算してくれるのだ。
 製作時間の内訳は外装10分、宿泊とかランチの値段と計算を教え込むのに5時間だった。
 3人娘がソロバンに夢中になっていると、イチカが俺に話しかけてきた。

「なぁご主人様。これ、珠数えるんやのーて、直接数字が出るようにできないんか?」
「うん? どうやるか案はあるか?」
「こんなんはどうや?」

 イチカの案をまとめると、機械式スロットのドラムロールのように、円柱に数字を書いたものを回す形であった。……さすがイチカ、ギャンブルで破産しただけのことはあるなぁ、と感心していたのが、

「……『すろっと』っちゅーのは、何や?」
「え? あれ、スロット知らないの?」

 この世界にスロットは無かったようだ。……となると、この発想はどこから出てきたんだオイ、天才か。天才なのか。

「スロットっていうのはな……こう、ボタンを押して絵を揃える賭け事でな。絵が揃わなければなにもなし、うまく絵が揃えばアタリだ」
「へぇ! やってみたいなぁ……」

 イチカはうっとりと微笑んだ。それがスロットを思っての微笑みだと知らなければほんのりと憂いを含んだ恋する乙女の顔にも見えるだろう。そんなにギャンブル好きなのか。
 ……
 作ってみるか? 案外宿の客寄せパンダになるかも……けど先に寝るとしよう。無駄にゴーレムで自動計算するようにしたせいで5時間も仕事してしまったからな。

「とりあえず『ソロバン』はそれで使えるみたいだから、それを使って受付の仕事をしてみてくれ。気が向いたら数字式の物も作ろうか」
「「「はい!」」」

 3人とも、いい返事だ。とりあえずこれで人手不足は解消できそうだな。


(ストック……できてないです!)
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