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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

安定した日々?

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仮の名前と部屋の増築

(最近忙しくて執筆が遅れ気味です)
 吸血鬼が、うなだれていた。
 がっくりとして嘆いている。すっごい泣いてる。原因は自分の強さを確認して、そのあまりのふがいなさにだ。ぶっちゃけゴブリンにも負けるレベルだ。

「こ、こんなっ……くっ、ただのニンゲンより……ゴブリンより弱い吸血鬼だなんて……ッ! 屈辱です!」

 座り込んで床をぽこぽこ叩いていた。でも攻撃力0だからぽんぽんしてるだけだった。
 そしてそれを優しく慰めるシルキー……母性あるな。

「……しかもマスターはニンゲンだし……きっとモンスターとして活躍させる気なんてなくて、私を慰み者にするために弱くしたんだわ」

 そんな意図はない。ただ、モンスターとして使う気が無いのは確かである。
 と、いつまで放置しててもしかたない。俺は仕方なく命令権を発動させる。相手は召喚されたモンスター、ダンジョンマスターであるこっちのほうが上位だ。

「そろそろこっちの話聞いてくれる? 命令ね」
「「「はい」」」

 3人そろって(かしず)く。
 宿の従業員やってほしいんだけど。って言ったらまたへたり込みそうだな。言うけど。

「まず、お前たちに任せたいのはダンジョンの防衛ではない。……宿の従業員だ」
「……宿、ですか?」

 吸血鬼が不安そうに聞き返す。
 そりゃまあ攻撃力無いモンスター呼んだ時点で戦闘に使う気が無いのは、多少の知性があるなら察しが付くだろう。

「うちのダンジョンは人間相手に宿を運営していてな。接客ができる従業員が欲しかったんだ。……あ、幹部候補だからそのつもりで」

 吸血鬼は何か考えている顔、シルキーは穏やかな笑みをたたえたまま、魔女見習いは話がよく分かってないのかぽけーっとしている……大丈夫かコレ?

 と、そこにちょうど先ほど呼んだイチカが入ってくる。

「ご主人様ー、呼ばれてきたでー」
「お、ちょうどいいところに来たな。こっちこい、こっち」

 俺はイチカを三人の前に呼ぶ。

「……こいつはイチカ。俺の奴隷だ。お前たちの先輩だから従うように」
「は、はいっ? ……えっ? ニンゲンですよね? え、しかも奴隷……?」
「畏まりました、よろしくお願いします先輩」
「はー、そうなのですかー」

 吸血鬼はなんか頭が固そうだな。シルキーは1番仕事してくれそうだ。……魔女見習いはどうなんだこれ。どうなんだこれ。

 ……3人ともDPで出した存在なのに、結構な差があるんだな。種族の違い、だろうか?

「よろしゅうなぁ、3人とも。……えーと、名前は?」
「……吸血鬼です。名無し(ノーネーム)です」
「シルキーです。名無し(ノーネーム)ですわ」
「見習い魔女ですねー。名無し(ノーネーム)ですよー」
「……全員モンスターだったんか。てっきり冒険者雇ったかと思ったわ」
「ん、そういえば名前つけてやらないとな」

 俺がそういうと、魔物娘3人がこちらを見る。とくに吸血鬼が驚いた顔でこちらを見ている。

「ネームドにしていただけるのですか?!」

 ネームド。そういうのもあるのか。
 なんか特別なのか、名前持ちって。と、ロクコに尋ねてみる。

「ん? そうねぇ、特別感あるわね。名前持ってるってことはマスターにそれだけ重用されてるってことだし、特別張り切って活躍してくれることも多いわ。……ゴブ助も活躍してくれたでしょ?」

 ゴブ助、ネームドモンスター扱いだったのか。……大活躍したけどさ。

「じゃあ、考えておく。しばらく研修期間だ。見事乗り切ったらちゃんとした名前をつけてやる。……それまでは仮の名前として……吸血鬼はアルファ。シルキーはベータ。魔女見習いはガンマと呼ぶ。3人とも、いいな?」
「「「はい」」」
「適当な名前ねぇ。まぁ名無し(ノーネーム)よりは呼びやすいんじゃない」

 ロクコにはどう翻訳されたかはわからないけど、そのうち同種が増えたら部隊名にしようとかちゃんと考えてるんだぞ。

 俺はDPを使ってうちの宿、『踊る人形亭』の制服である『メイド服』を出し、それぞれに手渡した。……一応シルキーの分も。サイズは目測で適当だ。

「それじゃイチカ。まずは受付のやり方を教えてやってくれ」
「了解やー。ほな、お金のやりとりの勉強からはじめよかー」

 イチカが魔物3人娘を連れていく。
 受付の教育が済めばイチカが食堂のフォローに回れるからな。……そしたらイチカにも【収納】覚えさせたほうが良いな。そろそろ残りDP的に考えて、金貨とかをDPに変換したほうがいいだろうか。

 とりあえず、新人教育はイチカに任せてしまおうと思う。イチカも九九とかちゃんと覚えたし、十分教えられるだろ。……よし、あの3人娘には、受付に出られるようになったら名前を与えることにしよう。それまでにちゃんと考えておかねば。

「そういえばケーマ。あの3人も宿で寝泊まりするの? それともダンジョン内?」
「……忘れてた。ロクコはよく気付いたな、さすが俺のパートナーだ。よーしよしよし」
「ちょ、ニクじゃないんだから頭撫でられてもそんな嬉しくなんかないわよ、子供じゃないんだから」

 何言ってんだこの金髪ロリめ。あと口の端がにやけてきてるあたり十分子供だお前は。

 さて、従業員用の部屋か。……増築する形でどうにかしよう。
 イチカが新人教育している間に準備しておかなきゃな。

  *

「ここを3人の部屋にする」

 俺はロクコと新人3人を連れて、宿の外側に来ていた。入口から見て横、ダンジョン側だな。

「野宿させるの? モンスターだし体は大丈夫だろうけど。……で、なによその仮面」
「いや、さすがに従業員を野宿させるのはちょっとな。というわけで、ここに部屋を作る」

 これから建築をするにあたって正体を隠すためのナリキン仮面なのだ。宿の向かいにギルドの出張所とかあるし、万一見られても大丈夫なようにって措置なんだ。……だからそんな可哀想なものを見る目で見るなよロクコ。

「私共のためにDPをお使いになってくださるのですか、ありがとうございます」
「えっ? そんな勿体ない。お前たち召喚するのでDPかなり使ったから節約するに決まってるだろ」
「えっ」

 俺はロクコと3人娘の前で作業を開始した。
 まず宿への通路を作る。【クリエイトゴーレム】で木造素材を操り、ただの壁だったところに穴を開け、通路に作り直す。さくっさくっとね。

 で、次は部屋だ。……あらかじめ壁と屋根を作っておき、現場で組み立ててくっつけるだけという一夜城方式を考えていたのだが、そもそも廊下と部屋を丸ごとダンジョン内で作っておけば、あとはダンジョンの機能で移動して宿に連結するだけでいいということに気が付いた。
 つまりモジュール方式だ。宇宙ステーションみたいだな。

 というわけで、今回の部屋は3人娘がイチカの新人教育を受けている間にダンジョン内で作っておいた。内装? ベッドとタンスがひとつづつの1部屋2畳程度の個室だよ。もちろんこれも【クリエイトゴーレム】製。いやぁ便利便利。
 部屋モジュールをダンジョンの機能で『設置』し、【クリエイトゴーレム】で素材を操って接着。増築分なのに、あたかも最初からあったかのような一体感を演出して……完成。
 総合作業タイムは約3分。多分これが一番早いと思います。

「……よし、完璧だな」

 ……誰かに見られても大丈夫なように仮面装備してたんだけど意味なかったかな。
 このモジュール方式なら宿の部屋も営業を止めずにポンっと増築できそうだ。

「ケーマってあいかわらず便利よねー。……で、その仮面、何?」
「便利なのは【クリエイトゴーレム】だな」

 もっとも、本来はクレイゴーレムしか作れない魔法スキルのところを、俺が神様からもらった自動翻訳能力と日本で培ったイメージのおかげで好き勝手に魔改造しちゃってる。だから俺が便利ってのも間違っちゃいない。

「あと今の俺はナリキンだ。この仮面をつけているときはそういうことで……」
「……ああうん。わかったわ」

 あ、やめて。そんな頭の痛い子を見るような目で見ないで。
(とりあえず、仮の名前は募集した中から採用しました)
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