挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン運営開始!

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

56/291

ギルドからの依頼

「……とりあえず、針罠直しとくわね? DP少し使うわよ」
「ああ、頼む」

 ロクコに罠の修理をまかせて俺は考えに没頭する。
 ……恐らく、壊れたタイミングは最初の一撃の最中だ。ゴーレムブレードが壊れて、「ただの鉄の剣」になり「部屋の鍵」として使い物にならなくなった。それで脱出方法がなくなったためにダンジョンの不思議パワーが働かなくなって針罠の強度が一気に落ち、「破壊可能オブジェクト」になった、と。
 で、そのまま鉄の剣で鉄の針を強引に折ろうとして、剣にもヒビが入った。真相はこんなとこか。

「……大体分かったけど、めんどくさいことが判明したなぁ」
「んー、なにが?」
「いや、目玉商品のゴーレムブレードだったんだけど、魔剣として使えるか? というと微妙な性能になりそうだ」

 よくよく考えれば、ゴーレムブレードを使って攻撃を防御するのは、相手からみたら剣の形をしたゴーレムに「攻撃してる」のと同じ意味になる。
 そうしてゴーレムがやられたら、その後は普通の「鉄の剣」と変わりない武器になってしまうということだ。それがたとえ戦闘中でも。

 ……前から引っかかってたゴーレムブレードの弱点は、これか。

 俺ならすぐに直せるからいいとしても、ニクやイチカはそうはいかない。そして戦闘中に前衛を務めるのは、つまりゴーレムブレードが壊れる可能性が高いのもニクとイチカだ。
 ……何かしら改良が必要なようだな。考えておこう。

 あ、それともしウゾームゾーが壊れた魔剣を台座に戻したら、手動で封鎖解除してやらないとな。

  *

 翌日、ウゾームゾーはまだお試し部屋を脱出できずにいた。DPがおいしい。
 そして、マップを見ると誰かやってきていた。新しいお客さんかな?

「オーナー! お客さんやでー」
「うん? 宿に、じゃなくてロクコに……か」
「えっ、あ、そ、そうか、私がオーナーだったわね! ……い、いいいいってくくるわ!」
「まて、その状態で行く気か……はぁ、仕方ないな」

 明らかにガチガチに緊張していたので、俺もついていくことにした。
 というか、一時的にロクコへの命令権を復活させてもらい、『おちつけ』『俺の横でにっこり笑ってろ』『「どうします、オーナー?」と話をふったら頷け』『「どうしましょう、オーナー?」だったら首を横に振れ』『それ以外で話をふったら「ええ」と返せ』という命令をさせてもらった。
 ……取り繕うためだ、仕方ない。 こういう時でも強制的に落ち着かせられるあたり、やっぱり命令権は強力すぎるな。

 で、イチカに呼ばれて見に行くと、そこにはいつもギルドで見かける受付嬢さんがいた。……背中にでっかいリュックを背負って。
 何か仕掛けでもあるのか、はたまた実はかなりの実力者なのか、軽々しく背負っている。
 ……1日当たりの入手DPをみると『80』って、おい、何だこの人すげーな。実力者の方か。

「お初にお目にかかります、オーナー様ですか。……なぜケーマ様が?」
「まぁ、パーティーごと雇われてる身なので。とりあえず秘書みたいなもんだと思ってください」
「なるほど。……少しオーナー様と話をさせていただきたいのですが」
「どうします、オーナー?」

 ロクコは命令どおりに頷いた。よし、いい調子だな。

 で、受付嬢さんの話を要約してみた。
 ・ギルドの出張所作りに派遣されて来たよ! 宿の正面空いてるし、そこに建てるね!
 ・でも暫くは仮設テントだからトイレとか貸して! 食べ物も!
 ・あ、お金はギルドが払うから! 普通に宿泊と同じお値段でいいから!

 まぁざっくばらんに言うと、そういうことだった。
 宿に泊まる分には全く問題ない。問題があるとすれば出張所を洞窟の入り口を挟んで宿の正面に、とのことだが、これも断りようがなかった。……ここらの土地は、まだ誰のものでもないのだから。

「ご協力いただけるようで何よりです。……ちなみに宿泊の料金は、お幾らでしょうか」
「……1泊銅貨50枚、食事は別で銅貨1枚から金貨1枚までですね。連泊割引は今のところないですが、どうしましょう、オーナー? ……ああ、ダメですね、まだ値段設定が煮詰まってないですからね」

 せっかくなのでもらえるだけもらうスタンスでいってみよう。

「金貨1枚、ですか。どんな食事ですかそれは」
「Aランク冒険者様をおもてなしするのにふさわしい食事となりますが、何か? ああ、詳しくはこちらの料金表の通りです」
「……銅貨1枚の、Gランクの場合の食事は?」
「通常のダンジョンに来れるのがEランクからとのことなので、そこは奴隷用を想定していますね。黒パンのみです。……その一つ上、Fランクは駆け出し用で、白パン2個となります。Eランクはちょっと変わり種のパンですね、当宿屋のオリジナルです。日替わりですがね。……Dランクは、少し稼いでる冒険者向けですね、白パンとおかずのセットになります。デザートも付きますよ?」

 目線が料金表をなぞるのに合わせて説明をする。……Cランクの説明は、いらないかな?
 受付嬢さんは少し目をつぶり、答えた。

「ではEランクでお願いできますでしょうか」
「承りました。変更するのであればいつでも言ってください」
「銅貨50枚……かなりしますね」
「山奥なので輸送費がどうにもかかりまして……でしたよね、オーナー?」
「ええ」
「……まぁ、仕方ないですね。山奥ですし、街道がつながっているわけでもないですから」

 よし、1日銀貨1枚だな。

「ああ、それとケーマ様にギルドから指名依頼を出したいのですが、話を聞いていただいてもよろしいでしょうか?」
「うーん、今は雇われてる身ですしねぇ……どうします、オーナー?」

 とりあえず話は聞いてみてもいいだろう。

「先日、ギルドからここのダンジョン……新しい名前は検討中ですので『ただの洞窟』としておきますが、『ただの洞窟』の調査依頼を出したのです。……その冒険者が未帰還でして」

 ああ、ウゾームゾーね。今はお試し部屋でふて寝してるよ。

「Cランクで、引き際をわきまえているダンジョン攻略に慣れた冒険者だったのですが……それが未帰還となると、かなり高難易度のダンジョンと予想されていましてね」
「……ふむ、それで?」
「このダンジョンの生還経験のあるケーマ様にも調査依頼を受けていただけないかと……それで、もし未帰還の冒険者がまだ生きているようであれば救出していただければと思います。……まぁ、生きている可能性は低いですが」

 ばっちり生きてるよ! と、今この場で言うわけにもいかない。

「もしこの依頼を受けていただけるのであれば、……この『ただの洞窟』攻略時に限りCランク相当と認める、という許可がギルド長から出ています」
「ほう、受けるだけで、ですか」

 確かにCランクが未帰還なのにEランクをホイホイ入れるわけにはいかないもんな。生還した実績があるなら確かに条件付きでCランク認定してもいいだろう。
 この時点で受けない理由はないな。……ていうか、受けなきゃEランクの俺たちはダンジョン入れないよってことだし、受けざるを得ない。

「……報酬は?」
「調査依頼は銀貨5枚、有用な情報には追加報酬を出しましょう。ダンジョンで得たものは、こちらに一度見せていただければ好きにしていただいて構いません。救出に成功した場合は、ギルドからは追加で銀貨5枚、それと当人と交渉してください」

 受けざるを得ないが、十分な報酬が期待できそうだ。ウゾームゾーもまだ生きてるし。
 あまり難易度高く設定されて強い冒険者しか来ないとかいうのもダンジョン突破されそうで嫌だし……それに、この宿の初めてのお客さんが未帰還というのも縁起が悪いもんな。

「……受けたいと思いますが、宿次第ですね。どうします、オーナー?」

 この依頼、受けることにした。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ