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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン開業準備ターン

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ダンジョンのアピール。

「……次はゴーレムが動き出すまで待ってくれんか? さすがに試験にならん。……そっちのイチカとやらは元Cランクだと聞いているし、やり直しはしなくて良いが……」

 ですよねー。
 というわけで、次は俺が行くことにした。
 ギルド長の出すクレイゴーレムが動くのを待って、開始だ。

「とうっ」

 だが、クレイゴーレムの動きは遅い。俺は魔石ごとクレイゴーレムを真っ二つにした。

「なッ?! ……け、ケーマ殿、合格だ」
「あざっす。よし、最後はニクな」
「かっこいいとこみせます、ね」

 すると、ニクは剣も構えずにクレイゴーレムに対峙する。
 ……何をする気だ?

「始めッ!」

 クレイゴーレムが緩慢な動きでニクに襲い掛かる。が、ニクはするりとこれを躱し、懐に潜り込んだ。
 そして、離れる。……その手にゴーレムの胸にあったはずの魔石をつまんで。

「回収しました」
「お、おう」

 しっぽをパタパタさせて、ニクが俺に魔石を渡す。
 凄い犬っぽい。思わず頭を撫でてしまう。
 魔石を受け取って、土塊に戻ったゴーレムとギルド長を交互に見る。

「…………合格だ。あ、その魔石は返してくれるとありがたいのだが」
「あ、はい」

 俺はギルド長に魔石を返した。
 ……どうやら、普通のゴーレムは魔石がなくなるとすぐ止まるらしい。
 うちのゴーレムは魔石なくても結構動くんだが、何が違うんだろうか。ダンジョンまわりの素材だから魔法に適してるとか? そういえばダンジョンの外で【クリエイトゴーレム】したことないな。

「……よし、試験終了だ。これでお前たちは全員Eランクとする。……シリア、ランクアップ処理は滞りなくしておくように」
「はい、かしこまりましたギルド長」

 3人分のギルドカードを受付嬢さんに渡すと、ランクアップ処理をしに行く。
 俺たちとギルド長がその場に残る。

「……しかし、土でできたゴーレムを真っ二つにするとは……戦闘経験はなかったと聞いていたが?」
「ええ、実は……『ただの洞窟』に行って来まして。そこでこの剣を手に入れまして」

 俺は、このタイミングで話してしまうことにした。
 ギルドのトップに直接言ってしまえば、手っ取り早いだろう。

「聞いてた情報とはだいぶ違うことになってましたね。知っての通り、かなりのゴブリンを狩れましたよ。他にも戦利品があります」
「ほう……詳しく聞かせてもらっても?」

 さぁ、ダンジョンの売り込みといこうか。


  *

 俺は、魔剣ゴーレムブレードとマナポーション2本を見せた。
 これは戦利品として『売り渡してもいいレベル』というダンジョンの戦利品だ。
 しかし、わりと高価な、小規模ダンジョンとしては『大当たり』の代物。
 魔剣はいわずもがな、マナポーションだって銀貨1枚はする。

「これは……」
「『ただの洞窟』で拾ったものです」
「あのダンジョンは確か、1部屋しかなかったと思ったが……」
「1部屋? とんでもない、少なくとも何部屋かありましたし、階段もありましたよ。この剣はそこで手に入れたんです。ゴーレムも居たので、まぁ様子見ってことでそこで帰ってきました」

 ギルド長にゴーレムブレードを渡す。

「……普通の鉄剣……ではないのか? む、魔石が埋め込まれている……?! これは魔剣か!」
「魔力を流すと切れ味が増す効果があります」
「なるほど、それでゴーレムを一刀両断できたわけか」
「そういうわけです」

 実際は布の服ゴーレムのアシストのほうが強いけど、そういう事にしておこう。

「……で、実は今回の話は俺が発端じゃないんですよ」
「ほう? どういうことだ」
「……Aランク冒険者の『白翼の女神』……たしか、『ただの洞窟』の調査依頼を受けていたと聞いていますが、分かりますよね?」
「ハク様か。……まさか、そこが発端か。どういう経緯だ?」

 ああ、ギルドのお偉いさんでもあるから様付けなのね、ハクさん。

「山中でたまたま会いましてね。『ただの洞窟』には『転換期』の予兆があったという話です。帝都のギルドからは『異常無し』と報告させた、と言っていましたが」
「……『転換期』か! しかし、なぜそれを隠して? 虚偽報告? いや、Aランクの開示権が……そもそもあのダンジョンについての依頼はハク様本人が……」
「そして宿が建っていました」
「宿?! い、一体何が起きたら宿ができるんだ……」

 不自然極まりないだろう。だがまぁ、ここはゴリ押す!

「何が起きているのかは関係あるんですか? ハクさんが知り合いに建てさせたとのことで、考えるだけ無駄かと……」
「……あの方の考えることは分からんからな……『ただの洞窟』に手を出してはいけない、と通達もあったが……うむ、考えるだけ無駄か。となると、今はそれをどうするかを考えたほうが良いわけだな」
「ええ、まぁ、俺もなんやかんやあってその宿で働かされる事になりましてね……今後、俺の活動拠点はそこになるかと」
「……そうか。わかった」

 よし、ゴリ押し成功!

「では、ツィーア冒険者ギルドの出張所もそこに建てようか」
「……は?」

 ……出張所?

「うむ、報告ありがとう。特別に調査依頼を達成したことにしておこう」
「あの、出張所って?」
「出張所は出張所だ。ダンジョンが成長したなら冒険者が集まるだろう、ならその場で物資のやりとりができたほうが便利だ。宿もあるならなおさらだろう?」
「え、ええ、まぁ、そうですね」
「ダンジョンの規模によっては村ができそうだな……追加の調査が必要だな、出しておくか」

 村、だと?!

 冗談じゃない、そこまでの規模は想定していない。
 人が集まりすぎたらゴーレムが畑仕事できなくなってしまうじゃないか……!
 やばい、ダンジョンの中で農業とかできるようにできるのか?
 特殊ゴーレムも使いにくくなってしまう。

 と、そこまで考えていたところで受付嬢さんがギルドカードを持ってきた。ちゃんとEランクに更新されていたが、いまはそれどころではない。
 俺は適当に挨拶を済ませてギルドの外に出る。

「……ニク、イチカ、ちょっとマズいことになりそうだな」
「串焼肉は?!」
「そ、それは食べていっていいから。今から行って無ければ一泊だな……宿代にもなるしウサギを狩って届けようか……」

 結論から言うと美味しい串焼肉は明日とのことで、軽く6匹分のウサギをお届けし、銅貨72枚分の報酬を受け取った。宿代の銅貨35枚をとりおいて、大体は串焼き肉を報酬としてもらったので、今日の晩飯は肉パーティーだな。

 ちなみにこれは指名依頼扱いで処理されているらしい。元々ウサギ肉の依頼はある程度まとまった金をギルドに預けておいてそこから報酬を出している。今回はその場で受け取ったので、既に現金及び現物支給した、と注釈つきの依頼票をもらった。
 届ければいつでも達成になるんだそうな。

  *

 いつもの『眠れる小鳥亭』を後にして、さっそく串焼肉の屋台で美味しい串焼き肉を購入することとなった。
 起きたのが昼間なのでちょうどいいだろう。

「ほお、なるほどこりゃ確かに、昨日の串焼肉より美味いな!」
「だろう? 次もまた一週間後に来てくれりゃ出せるぜ?」
「むむむ、悩ましいなぁ、ご主人様ー?」
「だめだぞ、色々忙しくなりそうだから約束できない」

 俺は串焼肉にかぶりつきつつ答える。

「……はぐ、はぐっ」
「嬢ちゃん、美味いか?」
「はい。……はぐっ」

 ニクも美味しく串焼肉を頂いていた。
 確かにハンバーグより味付けははるかに薄味だが、素材の味がとても力強い。
 生臭さの少ない分、それがはっきりとわかる。なんていうかこう、野性的?
 これはこれで美味い。

「……この肉でハンバーガーとか作れたら最高とちゃう?」
「たしかに……イチカの意見に賛成です」

 ……レシピとか調味料とか探してみるかな。


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