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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン開業準備ターン

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ちょっとランクアップしてくる。

「そうね! 1万DPガチャが浪漫よね!」
「やろ? やるならでっかく一発や!」

 緻密な30秒の話し合いの結果、ロクコのDPの使い道が決定した。
 いいのかおい。まぁ、好きに使えって言ったの俺だけどさ。

「じゃあさっそく! 1万DPガチャ実行ぉ!!」
「おいまて俺の部屋でやるな! マスタールームでやれ! 万一ドラゴン出たら潰れる!」

 だが俺の叫びも虚しくロクコは既にDPを使ってしまった。魔法陣が「ヴォン」と展開される。……おい、部屋はみ出してるぞこの魔法陣って大丈夫かコレ?!

「おおっ、さすが1万DPね!」
「でかいの出ませんようにでかいの出ませんように……!」

 せっかく作った宿ねどこがつぶされない事を祈る俺。
 はしゃぐロクコとイチカ。ニクは俺を庇うように前に立つ。

「どーらーごん! どーらーごん!」
「ドラゴンでるんか?! 今夜はステーキやな!」
「食べないわよ?!」
「……しっぽくらいならまた生えてくるやろ?」
「ダメよ?!」

 そして、魔法陣が回転しながらぎゅぎゅっと収束する。部屋のサイズに納まる大きさになる。

「む、むむ?」
「おりょ、小さくなったで?」

 さらに徐々に魔法陣が小さくなる。
 俺はほっと胸を撫でおろす。これなら宿が壊される心配もなさそうだ。
 と、さらにさらに小さくなった。
 ……うん、ずいぶん小さい。

 …………うん、両腕で抱えられるくらいの大きさになったな。

「おぉー……」
「あ、アカンのか? これアカン奴なんか?」

 露骨にテンションの下がるロクコとイチカ。
 ニクはまだ俺を庇う位置で警戒している。
 そして、魔法陣が消えて、手のひらサイズの箱が残った。

「……何コレ?」
「開けてみればわかるんちゃう? ロクコ様、はようはよう」
「え、ええ」

 恐る恐る箱を開けるロクコ。
 箱の中には、卵がひとつだけ入っていた。しかもうずらの卵くらいの。

「……卵、よね?」
「卵焼きにするん? きっとものすごく美味いのかも……」
「しないわよ!? ……なんなのよこれ。うーん、でもきっとすごくイイものに違いないわ!」

 とりあえず部屋が無事で済んでよかった。

「で、これなんなんだ? 解説書とかついてないのか?」
「…………とりあえず温めておけば孵るんじゃないかしら」
「かなりいい加減だな。……せっかく1万DPもかけたんだ、潰すなよ?」
「う、うん……」

 結局手に入ったこれは何だったのかは、その日分かることはなかった。
 とりあえず温泉の余熱で温めておこう。温泉卵にならないように、人肌というか、孵卵器的な感じで。


  *


 ダンジョンの準備も整った。さっさと人里に向かうとしよう。
 串焼肉の約束もあるしな。
 で、今回はなんと乗り物を用意した。

「なぁご主人様。これ、なんなん?」
「……ゴーレム馬車、かな?」
「馬いないやん! 車輪ないやん! 足はえてるやん!」

 そう、今回用意したのは四角い箱に6本の足を生やした悪路走行用のゴーレムだった。
 正面にはマナポーションの瓶を素材に使ったフロントガラスがついている。まぁ自動操縦だから必要はないんだけどね。
 足は馬足を参考にしたので結構速い。

「いやぁ、まぁええんやけどな? 楽やし速いし……」
「箱型にして完全カバーすることで森の中もすばやく移動できるからな。使わないときはバラせば【収納】にぎりぎり入るし」
「……ニク先輩も【収納】使えるんやね。ウチも覚えたいわぁ……」
「歩く食糧庫になりそうだな。まぁDPに余裕ができたらいいけど、それをするにはまずは冒険者を呼び込まないとな」

 有名になりすぎない程度に冒険者を呼び込む必要がある。さじ加減が難しそうだ。

 で、ゴーレム馬車を使うことで、なんと2時間でツィーアにつくことができた。
 ある程度離れた所でパーツ別に解体し、【収納】にしまい、そこから徒歩で移動したにもかかわらずの2時間だ。素晴らしい。これなら今後増える冒険者を考慮して、人目につかないよう遠回りしても余裕だろう。

「お、久しぶりだな」
「またすぐ山籠もり行きますけどね」

 いつもの門番さんに銅貨を3枚支払い、まずはギルドに向かう。
 串焼肉の約束は明日だし、さっさとランクアップしたいからな。
 今回はいつもより早めに着いたわけだが、朝のラッシュはもう済んだのだろう、人はそんなに居なかった。
 そしてカウンターにはいつもの受付嬢さんが座っていた。いつもいるけど、働き者だなこの人。

「どうも。一週間ぶりですね。本日はどんなご用件で?」
「ああ、まずはこれをお願いします」

 そう言っておれは45個のゴブリンの耳……DPで交換したものだ。これを提出した。

「……イチカから聞きましたが、これでランクアップの試験が受けられるんですよね?」
「ゴブリンの耳は……ふむ、すべて問題ないですね。しかし、ゴブリンをこれほど……一週間の山籠もり、となるとこのくらいは狩れるものですか、それともゴブリンのコロニーでもありましたか」
「似たようなものです。時間かかりそうなのでランクアップ試験の手続きを先にしてもらっても?」
「……しばらくお待ちください」

 ゴブリン討伐報酬の銀貨2枚と銅貨70枚を受け取ったのち、ランクアップ試験手続きの確認のために受付嬢さんがカウンターから離れる。
 しばらくして戻ってくると、なんと今日このまま試験が受けられるとのことだった。
 本来は試験官の都合をつけたりするので受けるまでに数日準備が必要らしいが、専属受付嬢がいる俺達は優遇措置のひとつとしてすぐに試験を受けさせてくれるらしい。

 受付嬢さんに連れられて訓練場に行く。
 すると、そこに居たのはいかつい爺さん。……ギルド長が待ち受けていた。

「……ギルド長?」
「うむ、久しいの。我が孫たちよ」

 老人には到底ふさわしくない鍛え上げられた筋肉を前に、俺は訓練場に入るのに二の足を踏む。
 ……ゴーレムアシストがあっても勝てる気がしないな。
 そして俺は確実にあんたの孫じゃないんだけどな。

「え? なんなん、ご主人様とニク先輩、ギルド長の孫だったん?」
「髪が黒いからその可能性があるってだけの話だ」
「はっはっは、他人行儀な。別に儂のことはおじいちゃんと呼んでも良いのだぞ?」
「遠慮しておきます。……で、ギルド長がここにいるというのは……」
「ああ。儂が試験官だ。なに、こう見えて昔は冒険者だったからな」

 マジか……まぁ、あくまでEランクへの昇格試験だし、ギルド長に勝てとかいう話じゃないだろうけど。

「儂が魔法でモンスターを作るから、それを倒せばよい」
「……魔法でモンスターを?」
「少し珍しいスキルだが【クリエイトゴーレム】というものがあってな。魔石を使うしクレイゴーレムしか作れんが、この手の試験にはとても役立つのだよ」

 あ、俺そのスキルよく知ってる。めっちゃ使ってる。
 というか、魔石使うのが普通で、しかもクレイゴーレムだけなのか。
 使う魔石はビー玉サイズの、大体20~30DPで手に入れられるものか。

「では早速だが、誰からやるかね?」
「じゃ、ウチからいってエエか、ご主人様?」

 イチカが名乗りを上げる。

「ああ。包丁さばきを見せてやれ」
「――ええんやな? 了解やで」

 イチカは、俺の作った魔剣ゴーレム包丁を取り出した。
 ギルド長も魔石を取り出して、土むきだしの地面に落とす。

「準備は良いか? いくぞ。……土塊よ、姿を変え、従者となりて我に従え、【クリエイトゴーレム】」

 ギルド長の詠唱の後、魔石が光り、もこぉっと土が膨れ上がった。
 2秒ほどで、そこに普通のクレイゴーレムが現れる。……早いな。俺の場合は1回発動するのに10秒はかかるんだが……使い込むと発動が早くなるとかあるんだろうか。

「では、始めッ!」
「ほいっ」

 ギルド長の開始の合図と共に、イチカの包丁が、クレイゴーレムの胸に光っていた魔石を砕いた。

「…………」
「どや?」

 クレイゴーレムは動かない。というか、ただの土塊に戻っているようだ。

「イチカといったか。Eランク昇格だ……」

 おい、今のでいいのか。

(新作も作りたいなぁ。あ、累計ランキング300位入りました)
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https://questant.jp/q/konorano2018

よろしければ文庫1位のところに以下のように記入してみてください。

タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
+注意+
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