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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン開業準備ターン

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風呂上がり

 俺は風呂上がりのコーヒー牛乳(5DP)を腰に手を当てて一気飲みした。
 衣装はもちろん浴衣である。下着はトランクスだけどな。
 (浴衣は布の服で、1着10DPだった。とりあえず俺のを含めて4人分で40DP、お安い)

 いやぁ、いいお湯だった。
 この世界きて初めての風呂だった。
 今夜もぐっすり眠れそうだ。

 と、俺はマッサージチェア(椅子ゴーレム)に座りつつ、既にまどろんでいた。
 尚、このマッサージチェアの材料は、木材とオフトンだ。実に安上がりである。
 椅子に座ると、ゴーレムによるマッサージ……とはいえ「揉み」や「叩き」は調節がかなり難しいので、使えるのはまだバイブレーション機能のみだ。ヴィィィイイイイィィン……と、振動が波のように強弱を繰り返して、これがなかなか心地よい。
 そうだ、銅貨1枚で5分動くようにして置いておこう。これは流行る、いい目玉になるぞー……すやぁ……

 なんかくすぐったい感じがして目を開けると、ニクが俺にタオルケットをかけてくれていた。
 ニクもこれまた浴衣である。尻尾穴付きのオプションがDP交換するときの項目にあるあたり、さすが異世界というべきか。

「す、すみませんっ、起こしてしまいました……」
「ふぁ……っ、ふぅ、ああ、いや、大丈夫だ、まだこれから寝るトコだし……」

 盛大にあくびをして椅子から降り、ニクを伴って部屋へ向かう。
 うーん、マッサージチェアを占拠したまま寝落ちしたお客様の対策とか考えておくべきだろうか。

「……んー、振動だけだとやっぱりちょっと物足りない感じがあるなぁ……あ、そうだニク。マッサージできるか?」
「……! はい、イチカにおしえてもらいました、ですが」

 おおっ! いつの間に。ニクは勉強熱心だなぁ。

「でかしたニク、それじゃあやってもらってもいいか?」
「あっ、で、でもその、あ、あしぶみマッサージ、なんです……」
「足踏みマッサージ……だと?!」

 足踏みマッサージ。それは、足でするマッサージだ。
 主に力の足りない、全体重をかけて丁度いいマッサージになるくらいの子供が、親に頼まれてよくやる。
 方法は簡単。いいかんじに体重をかけて踏む、以上。
 ――そう、踏むのだ。足で。
 いや踏むんだからそりゃ足だよな。足フェチの俺としてはご褒美以外の何物でもないな!

「かまわん、むしろ是非やってくれ――」
「えっ、は、はいっ えと、それじゃあ、うつぶせに」

 俺は布団にうつ伏せになる。カモン。はよう。

「あ、そ、その、し、失礼します」

 背中に、おずおずとニクの足が乗せられる。
 薄い浴衣ごしに、ニクの足裏の体温がじんわりと伝わってくる。……温かい。
 遠慮しがちに踏んでくるが、実にくすぐったい――やばい、寝落ちそうなのに目覚めそう。
 たどたどしい足づかいも悪くはないんだが。

「おぅふ……もうちょっと体重掛けてくれ、くすぐったすぎる」
「は、はい、失礼しますっ」

 お。さっきよりぐっ、ぐっと力がこもってる。いい感じになってきた。
 足裏全体で圧迫するのもいいが固くこってるところを重点的にやってもらいたいところでもある。

「もっとこう、固くなってるところを、カカトやつま先でぐりぐりと……」
「はいっ、こ、こうでしょうか?」
「あー、いい、そこそこ……ふぉぉ、気持ちええぇ……」

 つま先でぐりぐりと抉るようにしたり、カカトで撫でまわすように踏んでくるニク。
 ああ、実に足踏みマッサージだ。
 寝ながら足踏みマッサージ。やばいコレ、夢がかなった感があるな……!

「あ、俺が寝ちゃったら適当なところでやめていいからな」
「はい。……えいっ、やっ」
「おー、そうそう、ストンピングもいいねー」

 トンットンッと足裏で腰を優しく踏みつけられる。
 ふぁ、規則正しいリズムで背中トントンされていい感じに眠くなってきた……これいいな、またやってもらおう……すやぁ……

  *

 起きると、いつも通りニクが抱き枕になっていた。
 ほんのりと女の子特有の甘い匂いがする。

「……あ、おはようございます……」

 俺の目が覚めるのに合わせたかのようにニクが起きる。

「おう、おはよう……うーん、よく眠れた。こんなに寝起きにスッキリした感じなのは珍しいな」
「……お役に立てたのであれば、うれしいです」

 ニクはうっすらと微笑む。
 ……俺は、頭を優しく撫でてやった。

「またマッサージ頼むわ」
「は、はい、おまかせください」

 さて、ニクのマッサージのおかげで珍しく気力が充実してる感じだ。
 どうすっかなー。宿の建築も終わったし、今日はダンジョンの内装かなー。

「あ、そうだ。マッサージが気持ちよかったからニクにご褒美をあげよう。なんか欲しい物とかしてほしい事とかあるか?」
「ふぇ?! ……そ、そんな、えと、そのっ、よ、よろしいんです、か?」
「おう、何でも言ってみろ。ご褒美にできる範囲だったら叶えてあげようじゃないか」
「ほ、ほんとですか?」
「なんだ、俺を疑ってるのか?」
「! め、めっそうもないですっ」

 と、ニクがあわてて首を振る。ちょっとからかいすぎたか。
 俺はニクが希望を言うのを待つ。さて、なんと言われるだろうか。ハンバーガー食べ放題とかだろうか。
 少しして、ニクは口を開いた。

「その……踏んでくださいっ」
「えっ」

 え、何この子、どういうことなの。

 話を聞いて俺なりにまとめてみたところ、マッサージとはいえ踏みつける行為はニク的に上下関係をとても意識する行為であるようで、本来最上位の立場の者……俺を踏みつけるのは精神的に非常にキツいようだ。(尚、イチカ相手では後輩の奴隷なので遠慮なく踏めたとか)
 で、精神的にバランスをとるために俺に踏んでほしいとのことだった。
 もちろん嫌ならやらなくてもいいらしいけど、できれば踏んでほしいらしい。
 しかもできれば顔を踏んでほしいらしい。
 可能なら蹴り飛ばしてほしいらしい。

 さすがにそこまではできねぇよ?!
 ということで、土下座をするニクの後頭部を足の裏で少し撫でる程度で勘弁してもらった。

 顔を上げたニクは、満足げであった。

  *

「ってことが今朝あったんだけど、獣人的には普通なんだろうか」
「せやなぁ、普通やろ」

 困った時の常識枠、イチカ先生に相談したところ、どうやら普通のことらしい。
 獣人は順番とか上下関係とかをものすごく気にするタチで、さらに言うと奴隷として育ったニクは、自分が最下層だと教え込まれているだろうから尚更だろう、ということだ。

「物理的に上に乗っかったり踏んだりっちゅーんは、獣人的に上下関係のアピールやからね。有名なプロポーズが『俺のすぐ下に居てほしい』とか、『俺をすぐ下に敷いてほしい』やからね」

 それ、プロポーズなのか?

「普通のプロポーズもあるんやけどね。『俺の狩った獲物を毎日食わせたい』とか、『この拳にかけて、お前の腹を満たしてみせる』あたりはちょっとキュンっときたわ」

 こっちはまだわかるな。食に困らせないアピールだ。この手の内容ならイチカには効果抜群だろう。

「ほかにも『俺のしっぽをブラッシングしてくれ』とか、『お前以外に腹は触らせない』ってのもあるな」

「それ、もしかしてイチカが昔言われたことがあるとか?」
「あはは、んなわけあらへんて。冒険者の弟分に獣人のヤツがいて、ちょっとからかわれたくらいやな」

 っと、話がズレたな。

「てか、ご主人様はニク先輩にそこまで好かれてるっちゅーこっちゃろ? よかったやないか」
「まぁうん、そういう事にしとくか……」

 あ、そういえばまたマッサージしてくれって頼んじゃったっけ。
 でも実際気持ちよかったんだよなぁ、うん、ちょっとアレだがまたやってもらおう。
 その代償としてまた俺がニクを踏めばいい。……いいのかなぁ?

 ……はっ、まて、まだニクが同好の士(足フェチ)という可能性があるぞ……?!

 いや、ないか、ハハハ。……別途報酬にハンバーガー用意しとこ。
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