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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン開業準備ターン

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宿を建てよう。

「ご主人様がダンジョンボスだとすれば、納得いくんよ。……目立ちたくないのも、秘密が多いんも、素性を隠してるのも」

 実際、イチカの予測はいい線いっていた。
 ダンジョンマスターはダンジョンの支配者、つまりボスと言ってもいい。
 また、ダンジョンマスターという存在は『ダンジョン学』には無い。かわりにダンジョンボスという存在がある。呼び出した強いモンスターや、コア自身がボスをする――ロクコは人間型だけど、他にはドラゴン型とかもいる――ということもある。
 さらに言うと俺はロクコの召喚したモンスター(?)だ。これはもはやダンジョンボスといっても過言ではない。

「で、俺が魔王だとしたらどうする?」
「美味いモン食わせてくれるならなんでもするで! ツィーアの町を滅ぼすんか? あ、食いモンもったいないな、征服にしよう」

 美味いごはんのためにあっさりと人類を裏切れる女がそこに居た。

「いや、あそこの町とはうまく付き合っていきたいね、死にたくないし」
「そかー。でもあれや、世界征服したら世界中の美味いモン食い放題なんやろ? やらん手はないなぁ。そのうちやろうな?」

 訂正、人類を裏切るどころか積極的に世界征服に乗り出す女だった。

「世界征服……み、魅力的な響きね!」
「せやろー? 食いたいモン食い放題やで」
「ケーマ! うちのダンジョンの目標は世界征服なんてどうかしら!」

 そしてノリノリのダンジョンコアが居た。

「いや、征服したとしてそのあとどうするんだよ……とりあえず、安全に過ごせるようにする。それ以上は無理にしようとは思わないぞ」
「余力があればするんやな」
「目立つと殺される。というわけで却下だ」

 神の先兵(勇者)がいつ来るか分からんからな。
 おそらく神様からチートの1つや2つ貰ってるだろうから、勇者=死という式が成り立つだろう。

「まぁ、今日のところは移動で疲れたから休むか。明日からまたダンジョンの改装……というか、宿を建てるぞ……あ、そうだ。飯にしようか」
「おおー。……って、ここ、室内なんよね? 台所とかはあるんか?」
「ふむ、ちょうどいい……俺の力、見せてやろう」

 俺は力を込めるフリをして、さっと『菓子パン詰め合わせ(5DP)』を出す。
 1日の収入が100DPとなったこのダンジョンには、もはやはした金、いやはしたDPよ……!
 で、ポンっと出した『菓子パン詰め合わせ(5DP)』を見せびらかす。

「なんやコレ……パン、か?」
「ふっふっふ、ニクさんや。食べさせてあげなさい」
「はいっ」

 ニクはカレーパンのビニールの包みをピッと裂き、剥く。
 カレーパン独特のカレーのスパイシーな匂いと、香ばしい油の臭いが漂い、食欲をそそる。

「なんや!? よ、よだれが止まらんッ! その、そのパンは一体……むぐっ?!」
「『かれぇぱん』です。すこし辛いですけど、おいしいですよ」

 ぐりぐりとやや乱暴にイチカの口にカレーパンを押し付けるニク。

「やぁ、こ、こんな……あむ、もぐっ……ッ ふぁ、ヤバ、この、このニオイ、頭痺れるぅ……!」
「ほら、遠慮しないでもっと食べてください、ご主人様のおなさけですよ?」
「ん、むぐ、もぐっ……ん、ああ、おいひぃ、これ、これサイコぉやぁ……♪」

 イチカは、カレーが辛かったのか、辛いけれども美味しかったのか、やや涙目で、蕩けた笑顔を見せる。
 なんかいけない事してる気分になってきた。

「ウチ、これに出会うため生まれてきたんやぁ……♪」
「良かったですね、ご主人様にしたがえば、もっとたくさんいただけます、よ?」
「う、ウチぃ、ウチ、ご主人様のいうこと、なんでも聞くぅ……だから、もっとぉ」
「ご主人様、いかがしましょう」

 いつの間にか食べきっていたようだ。
 よ、喜ぶと思ってはいたけど、流石にここまでとは予想外だったな。ちょっと引くレベルだ。

「……他にも色々あるからな? パン、だけってわけでも無いし」
「ああ……こんなん、卑怯やん……こんなん味わわされたらウチ、もう、普通のじゃ満足できひん……」
「普通のパンな、パンだよな!」
「イチカ、わたしの好きな『はんばーがー』もわけてあげます、ね?」
「ほんまかぁ? ああ、ウチ、どうにかなってしまいそうやぁ……えへへ」

 既にどうにかなってる気がするのは俺だけだろうか?
 ロクコをちらっと見ると、無視してメロンパンをもぐもぐ食べてた。

「……わ、私はあげないわよ?」

 あ、うん。

  *

 で、翌日の昼。
 ん? 朝から起きるわけないだろ? 快適に二度寝してやったわ。
 気を取り直して。今日は宿を作ることにしよう。
 場所は洞窟の入り口のすぐ横。昨日の夜のうちにテストール含む作業用ゴーレムに基礎工事のための穴を掘らせておいたところだ。
 今回は特に宿を作るわけだし、多少広めの敷地をとっている。……ああ、俺のマップから見るとイチカが侵入者扱いだったけど、コアルームにいたからかダンジョン範囲拡張は問題なく出来たよ。
 居るフロアが違うってのもあるかな? 要検証だ。

「よーし、それじゃあ……基礎から作るか」

 基礎がしっかりしてなきゃ不安でしっかり寝てられないからな。俺の寝床にもなるわけだし、気合を入れて作ろう。
 俺は【収納】から石をざらざらと出す。

「石塊よ、姿を変え、従者となりて我に従え、【クリエイトゴーレム】」

 石に魔力を流しつつ、先日のダンジョンバトルで何度も唱えた呪文を唱える。
 別に呪文なしでキーワードだけでもできなくはないのだが、呪文の詠唱はちゃんとした方が魔力の消費は少なくて結果的に楽なのだ。
 【クリエイトゴーレム】の凄いところは、あらゆる素材の形を好きに加工できるということだ。人型にするのも板にするのも思いのまま。魔力を素材に流しきると粘土みたいに形を弄れるし、直接手をでこねたりしなくても好きな形に加工できる。銅貨を何枚か集めて捏ねて1つの銅インゴットにすることも可能だ……普通にインゴットのほうが安いからやらないけど。
 一応できたものはゴーレムになるわけだけど、命令無しであればただの物体とまったく変わらない。
 今回は石をこねくり回すようにして一枚の大きい石板にし、穴に流し込むようにして敷き詰める。
 実際の工事とかはどうやるのかよく知らないが、とりあえずコンクリートの代わりだ。あとは鉄筋コンクリート代わりに棒状にしたアイアンゴーレムをぐさっと刺し、混ぜて外れないようにして支柱とする。
 ……風呂も作る予定だから、排水管とかも要るな……まぁ、ゴーレムなんだし後から穴を通せばいいか。なんなら風呂のスペースは新たにとってもいいんだし、まずは適当に、しかし壊れないように作る。
 それから普通のクレイゴーレムに手伝わせて、板材にしたウッドゴーレムを敷いてみたり、張り付けたり。まるでブロックを組み立てるかのごとく宿を作っていく。……【クリエイトゴーレム】で素材を混ぜるようにして接着するから、釘要らずだ。接着面は完全に一体化するので、とても頑丈だ。
 一応外から見えるところにはちゃんと釘状にしたゴーレムを打ち付けてそれっぽく見せておくとしよう。
 しばらく作業して、外側の壁がある程度できた頃、イチカとニクが洞窟の中からやってきた。落とし穴とか罠の位置を教えていたようだ。

「お、ご主人様なにしとるん――って、マジでなにしとるん?!」
「え? 宿作ってんだけど」
「いやいやいや、なんやそれ、おかしい、おかしいやろ。ゴーレムが手伝っとるんはまだいいとして、昨日来た時こんなもんなかったやろ……ダンジョンマスター、やっけ? それはこんなこともできるんか……」

 いや、ダンジョンマスターの機能ではこんな建築は……DPカタログでみると『家(20万DP~)』はある。宿もありそうなもんだが、条件が足りていないのか少なくとも今は無い。

 あ、一応イチカにもダンジョンマスターのことについて簡単に説明しておいた。
 とはいっても、『自分のダンジョンをDPってのつかって色々できる職業だよ』ってくらいの説明だ。詳しくは……いや、本当は飯食いながら話そうかと思ったんだけど、昨日あれだったからね。落ち着いてから少ししか話せなかったんだよね、俺も運動して眠かったし。

「ああ、そうだニク。木材が足りなくなりそうだから、そこの木を適当に切って持ってきてくれ」
「わかりました」
「ちょ、ご主人様、木を切る道具は? 斧なりノコギリなりはないんか?」

 俺は無言でイチカの後ろを指さす。
 イチカが振り向くと、そこには直径30cmはあるかという木に向かってゴーレムブレードを横に構えたニクが居た。
 ゆっくりと刃を押し付けて切りかかると、「キィイイイイイイイン!」と、チェーンソーの音というよりも歯医者で聞くような高い音を立てて木が切断されていく。
 1回、2回、と切りかかり、3回目に反対側から切りかかったところで、メリメリと音を立てて木が倒れた。
 あとは倒れた木をゴーレムに回収させるだけだ。

「おぅっふ、何やソレ……魔剣を木を切るために使うとか聞いたことないわ」
「便利だろ?」
「いや、そうやけど、あ、あかんやろ。魔剣を、あんな……壊れても知らんで?」
「あー、実際何度か壊れたな。もう今は切り方確立したから大丈夫だけど」
「マジか?! ……うわぁ、勿体な!」

 とはいっても、ゴーレムブレードは魔剣(自称)で、本当の魔剣じゃないからな。
 機能も振動して切れ味を増すだけで、ダンジョンバトルでクロウェが使っていた本物の魔剣(槍)のようにキーワードで魔法が使えるような本物の魔剣とは比べ物にならないだろう。
 実際材料費しかかかっていないからすごく安いし、壊れても俺ならタダですぐ直せる。素材が消えるわけじゃないからな。刃がつぶれたのを直すくらいなら10秒もあればできるし。

「てか、ニク先輩がつかってる魔剣って何本もあるんか?」
「あー、総鉄製の完全版は俺のとニクので2本……劣化版入れれば10本くらいはあるかな?」
「そんなにあるんか?! もしかしてそれ、ウチも1本もらえたりするんか?」

 ……ああ、そういえばイチカの武器も作ってやらないとな。

日間ランキング2位かぁ……いっきにPVふえた……(汗
『このライトノベルがすごい!2018』ライトノベルBESTランキングWebアンケート、9月24日(日)23:59まで!
回答したら、抽選で20名様に全国共通図書カード(500円分)が当たるそうですよ?

https://questant.jp/q/konorano2018

よろしければ文庫1位のところに以下のように記入してみてください。

タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
+注意+
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