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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョン開業準備ターン

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拠点(ダンジョン)

(閑話:冒険者ギルド受付嬢 を隔離しました)
 町から離れたところで【収納】を使って野営装備をしまいこみ、ほぼ手ぶらで山道を走る。
 唯一布の服ゴーレムのアシストのないイチカだが、流石は元Cランク冒険者、しっかりついてくる。

 途中暗くなってきたところで「そろそろ野営の準備した方がええんちゃう?」というイチカの的確なアドバイスをスルーして、あらかじめ持ってきていた光の魔道具を使って視界確保して進む。
 『ただの洞窟』につくころには、すっかり日が落ちてしまっていた。

「ニク、タイムは?!」
「えっ、かかった時間ですか?! えっ、えっと……6時間32分、です!」

 ポケットから取り出したゴーレム時計を見てしっかりと答えるニク。……ボケたつもりが普通に返されてしまった。というか、ちゃんと時間見てたんだ、すごい。

「やっぱり暗くなってから移動速度が半減したのが痛かったな。せめて自転車が……いや、山道だとむしろ駄目か。 ……ん? 別に乗り物で自転車にこだわる必要もないのか」
「ごーしゅーじーんーさーまー。ウチおなかすいたぁ、野営の準備しよーやー?」

 おっと、先にお家に入ってからにした方がいいな。というか、イチカには目的地のこと言ってなかったっけ。

「野営の準備は必要ないぞ。ちゃんと目的地ついたしな」
「……ここがご主人様の拠点なん? てっきり村か何かかと思っとったけど……」

 連れて来てから思ったんだけど、これなんて説明したらいいんだろうか。……ここがウチです!とか?

「……ここがウチです」
「ただの洞窟やん」

 そうだった。外見は山賊が居たころから全然弄ってないもんな。
 ……これから宿にするとなると、いろいろ変えないとなぁ。ダンジョンを客寄せパンダにするには、見栄えもいい方がいいか?

「まぁいい、さっさと入るぞ」

 光の魔道具で照らしつつ、ニクとイチカを連れて洞窟に入る。通路の途中からは石の床板が敷いてあるし、『ダンジョン照明用松明(50DP)』が中を照らしていた。
 (尚、この『ダンジョン照明用松明』は設置場所から動かさなければなぜか燃え続けるという不思議な松明だ。多分マナを燃料にしているんだろう)

「ちょ?! ここダンジョンやん!」
「ダンジョンだよ?」
「拠点はどうした?!」
「ここが拠点だよ?」
「ダンジョンやん!」
「そうだね、ダンジョンだね。……あ、そこ落とし穴あるから気を付けて」
「うおっホンマや、あぶないなっ?!」

 メニューを開いてマップをみると、イチカが侵入者扱いになっていた。
 あれ? おかしいな。イチカも俺の奴隷なのに……ああ、ニクは抱き枕(アイテム)扱いだったな、俺の中で。
 最近は俺もニクもすっかり慣れたもので、ニクを抱き枕にして寝ているが特にやましい気持ちはない。
 人間は抱き枕に向かない……そう思っていた時期が私にもありました。最初こそ戸惑いや不慣れなことによる欠点・問題点が山ほど出てきたが、それさえ越えればあとはかなり快適な抱き枕だ。……夏は暑そうだけど。
 今は結構涼しいんだが、これから暑くなるそうだし、どうしようかなぁ。

「はぁー、しっかしなんやね、ウチ斥候やのにこんな落とし穴にも気づかんとは……てか、落とし穴あるようなところようサクサク進めるなぁ、ニク先輩も」
「このダンジョンの落とし穴はすべて、はあくしてます。ふふん」

 自慢げだ。そうだな、落とし穴作ったのニクだもんな。

「すべてか……あれ、でもここってもしかして『ただの洞窟』ちゃうん? ギルドで情報聞いとったけど……なんかだいぶちがくない?」
「そりゃ、ギルドの情報は古いからな。ありゃ1カ月以上前の『ただの洞窟』の話だよ」
「へえ、ということは今は……ごらんのとおり、と。たぶん変革期があったんやな」

 変革期、というのは『ダンジョン学入門』にもあった、急激なダンジョンの成長のことだ。
 ハクさんの追記によるとダンジョンバトルの影響を隠すためにそう言ってるだけだが。

「物知りだな」
「そら、情報は大事やさかい。前にダンジョン学勉強してるヤツに聞いたんよ」
「これからは頼りにしてるよ、ホント」
「任せとき! ……って、そういえばご主人様? ウチって雑用奴隷として買われたんよね? 雑用ってのにダンジョン攻略の肉盾とかはいっとるん?」
「入ってないよ。イチカに頼みたいのは宿の仕事であって冒険者の手伝いじゃないから……あ、そこ槍出てくるから触るなよ」
「うぉっちょ、まってぇなご主人様! くぅ、確かにここに拠点を張ってるってのは本当みたいやな……知ってなきゃこんなサクサク進めへんわ」
「ご主人様は嘘はつきません」

 イチカの前をすいすい歩いていくニク。罠の位置は完璧に覚えてるな。
 ……ふと思い至った。ダンジョンコアキャスリングさせれば別にゴブリン部屋からでも入れたじゃないか。
 いやむしろ、ロクコに頼めばコア部屋まで回収してくれるじゃないか。
 うーん、頭鈍ってるなこりゃ。

「おーい、ロクコ。 聞こえてるかー? 聞こえてたら回収してくれー」
「ロクコ? ご主人様の仲間か? どこかにいるん?」

 イチカが尋ねると同時に視界が光に包まれる。若干の浮遊感がすると、視界がブレて、いつのまにか白い部屋にいた。
 そう、マスタールームだ。どうやらロクコが回収してくれたらしい。
 もちろん、ニクとイチカも一緒だ。……俺のマップだとまだ侵入者表示なんだけどな、イチカ。

「おかえりケーマ!」

 声がした方を振り向くと、金髪幼女型ダンジョンコアことロクコが、笑顔で腕くんで仁王立ちしていた。

「ただいま。なんかすっごい久々にロクコの顔見た気がするなぁ」
「そぉ? 1日や2日くらいどうってことないでしょ?」

 あっさりした返事だ。
 ロクコはダンジョンコアだから寿命も長く、時間の感覚が人間である俺とは違うんだろうか。ハクさん百年は生きてるって言ってたもんな。

「で、ケーマ。そっちのが新しい奴隷よね?」
「ああ。イチカって名前だ。まぁ仲良くしてやってくれ」
「はーい、よろしく。私はダンジョンコアのロクコよ」
「ちょ、ちょっとまって、頭追いつかんわ……ダンジョンコア? このかわいいお嬢様は人間じゃないんか?」

 イチカはこめかみを押さえていた。

「人型のボスモンスター一体型コアっちゅーことか……? そんなん、聞いたことも……いや……?」

 自身の持ち得る常識でどうにか測れないかと必死に考えているようだが、そもそも前提として常識の情報が間違っているんだから仕方ないな。
 俺は見かねて声をかける。

「なぁイチカ」
「なぁ! もしかしてご主人様は……魔王なんか?!」

 なんでそうなった。

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