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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

人里、再び。

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「追加の指名依頼があります」

「本当に寝るだけやったなぁ……」

 イチカのそんなわけのわからないつぶやきをよそに宿を出る。
 出掛けの『浄化』も手慣れたもんだ。今回も部屋ごと綺麗にしてやったぜ。……漏れてねーし!最初から狙ってたし!
 あー今日も筋肉痛で手足痛いわー。つれーわー。実質9時間しか寝てないもんなー。

 ……独り言はこれくらいにしておこう。
 さて、これからどうするかだけど……今回の目的でもある奴隷も買ったし、帰るとしようか。

「あれ? ギルド行かへんの? いい依頼なくなってまうよ?」
「別に冒険者やりたいわけじゃないから適当でいいんだよ、適当で。ダンジョン潜れるくらいのランクがあれば便利だけどさ」
「ならCランクくらいにはなっとかんと。だいたいのダンジョンはランク制限かかってるからそれくらいは欲しいで?」

 ランク制限、っていうのはギルドからそれ以下のランクは入ってはダメ、って言われてるってことだ。
 勝手に行って死ぬのも自己責任ではあるが、ランクが足りないと場所の情報とかを教えてもらえない。管理されているダンジョンの場合、下手をすれば密漁扱いになって戦利品没収、さらに罰金だとか。

「ちなみに帝都の『白の迷宮』って知ってるか?」
「冒険者でソレ知らんかったらモグリやろ。帝都の中央にあるCランクから入れるダンジョンやで。周りに群生しとる他のダンジョンにはランク制限なしとかいうのもあったと思ったけど」

 ハクさん著『ダンジョン学入門』には、「ダンジョンは自然現象であり、成長するものである。ある程度育ったダンジョンはあたかも子供を作るかのように周囲に新たなダンジョンを形成することがある」とあった。新たなダンジョンはダンジョンバトルでハクさんが作ったような派生ダンジョンのことだ。
 あとついでに「ダンジョンには1日で急成長、あるいは衰退することがある。これを転換期という」とあり、メモ書きで「ここ、ダンジョンバトルのことよ」と綺麗な字で書いてあった。

「一度遊びに行こうかと思ってるから、Cランクにはなっときたいかなって程度だ」
「へぇ、遊びにね、結構な自信やん。……そういえばウチが冒険者やったころには52層まで攻略が進んどったなぁ。あれから進んだかな?」

 150層は越えてるらしいから、よくて30%ってところか。……帝都ができてからだよな? かなり鬼畜難易度なんだろうか。

「んで、どこに行くん?」
「拠点が町の外なんだよ。そこに帰る」
「……んー、町の外、っつっても南門外のスラムじゃないんやね? だったら中で一泊なんてせんし、その拠点、結構離れてたりすんの?」
「そうだな。山にあるし。走って半日ってところだ」
「だったらやっぱギルドの方には一言言っとくのが常識やで、まぁFランクじゃそれほどでもないけど」

 そういえば門番が「受付嬢さんが心配してた」って言ってたもんな。実際の態度はアレだったけど。
 前回は急いで戻りたかったからそのまま帰っちゃったけど、今回は別段急ぎの用事があるわけでもない。一言言ってもバチは当たらないだろう。

「うん、そういうの教えてくれると助かるな。ちょっと常識には疎いもんだから」
「わかった、気付いたら教えるわ」

 やはり現地の常識を持った信頼できる協力者というのは大事だな。
 ロクコはダンジョンコアで人間の常識なんて関係ないし、ニクは奴隷育ちで世間知らず。
 ハクさんは……人間の常識ももってそうだけど、気軽に連絡できる相手じゃないもんなぁ。それこそ常識的に考えて、だ。

 で、ギルドにつくと朝の通勤ラッシュ……ならぬ、依頼掲示板ラッシュが発生しており、大変混雑していた。時間をおいて出直したほうがいいだろうか。
 ニクは混雑を見て「依頼、とってきますか?」と聞いてきたけど、今回は依頼を受けに来たわけじゃない、挨拶しにきただけなのだ。
 ん? なら一言カウンターに言うだけでいいんだからたいして時間もかからないか。早く帰ればそれだけ睡眠時間も確保できるわけだし、とっとと済ませてしまおう。

 で、カウンターにはいつもの受付嬢さんが……違う人だ! 違う人初めて見た!
 俺はギルドカードを見せつつ、さくっと挨拶することにした。

「あのー、Fランク冒険者のケーマなんですが、ちょっと町の外行ってきます」
「はい。……あ、担当の者を向かわせますので、そちらでしばらくお待ちください」
「え? あ、はい」

 なんか待つように言われたのでおとなしく待つことにした。
 イチカが「何しでかしたん?」と聞いてきたが、特に心当たりは……俺がダンジョンマスターとかギルドにバレてないよな?
 少し待っていると、いつもの受付嬢さんがやってきた。

「おはようございます」
「あ、はい、おはようございます……なんでわざわざあなたが?」
「……そういえば言ってませんでしたね。私、専属なので以後よろしくおねがいします」

 専属とは専属受付嬢のことで、特別な冒険者に対しての優遇措置らしい。書類が必要なこととか、専属受付嬢がいれば一言伝えるだけでちょいっと代わりに処理してもらえる。それと、専属受付嬢はほかの冒険者より専属相手を優先して対処する義務があって、カウンターに並んでるのを見かけたら声をかけに行って処理したり、とかもあるそうだ。
 お得な情報やアドバイスを教えてもらえたりもあるらしい。
 この受付嬢さんは奴隷に対する姿勢はともかく、仕事自体はいい仕事をするので専属というのはまぁ問題ない。
 しかしそこまでされる心当たりは……あ、あったわ。ギルド長がニクと俺のこと「孫かも」とか言ってたっけ。

「それで、本日は町の外へ行ってくるとのことでしたが……」
「ちょっと山にこもって修行してきます。いずれ『白の迷宮』に行くのを目標にしようかとおもいましてね……そういえば『ただの洞窟』ってFランクでも行けるダンジョンなんですよね、行ってみても問題ないですか?」
「修行ですか。わかりました。……あと、確かに『ただの洞窟』はダンジョンですが、期待されているようなモノではないですよ。ダンジョンコアしかない、ダンジョンとも言えないようなダンジョンですからね。先日も調査の結果『異常無し』でしたし」

 行くこと自体は問題ないらしい。

「……ま、なにかあったら教えてください。それと、ダンジョンコア本体には決して手を出さないようにお願いします。ダンジョン学的にも大変貴重で、保護対象となっていますので。……もし手を出した場合、とあるAランク冒険者が暗殺に向かうと宣言されています」

 あ、それたぶん知り合いですわ。……Aランク冒険者の肩書をつかって脅すことでロクコへ被害が及ばないようにしてたんだな。
 場所を尋ねると、メニューのマップで見たことある割とおおざっぱな地図を広げて「このあたりです」と指差すだけだった。

「ああ、そういえば追加で指名依頼が来てましたよ」

 思い出したかのように受付嬢さんは依頼票を出す。
 また便所掃除かとおもったら違った。ウサギ肉の調達だった。

「なんでも、ケーマ様の納品した肉で串焼肉を作ったところ、生臭くなく、おいしいと評判で……とてもよく売れ、昼過ぎには完売したそうです。次からは最高銅貨12枚、『いつでも1日6匹までなら買い取る』と豪語しておりましたね。できれば秘密を教えてほしいそうですが」

 そういえば昨日食べた串焼肉は別の屋台だったか……。
 たしかに依頼の時に『肉を使うのは来週』とかいってたし、昨日がちょうどその日だったのだろう。
 その屋台へ行けばそのおいしい串焼肉が食べられたかもしれない。
 まぁ、昼過ぎには完売したみたいだからイチカは食べられなかっただろうけど。

「ほう! 美味い串焼肉やて?! そいつは見逃せんな。な! ご主人様!」

 あ、ウサギ狩りの指名依頼を受けることになりそうだね?
 別に急いで帰る必要もなかったからいいんだけどさ。

なんか日刊ランキングはいったみたいでPVが爆上がりしてました。わぁい
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