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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

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閑話:うちの村にある教会(後編)

(本日2本目。前話見てない人は注意です。
 あと影響はあまりないですが2話前のとこ少し修正しました)

 そして、お祈りの効果もあってか無事にアイアンゴーレムを狩った。
 ギルドで換金して3等分した結果、懐はかなり暖かくなった。

「やっぱりお祈りすると違うな!」
「コレでしばらくは遊べるなー」
「でも畑仕事はするけどな」

 俺にとって畑仕事はライフワークだ。冒険者とどっちか選べと言われたら畑を取る。今は両立してるのでとても幸せだ。――あとはこれで嫁でもいればなぁ。

「んじゃ、教会でお祈りでもしてくか」
「だな。アイアンゴーレム狩れたのもオフトン教の思し召しってね」
「そう言ってズンはスイラさんに会いたいだけじゃねーの?」
「何を言うドコ! 俺はミチルちゃんの頭を撫でたいだけだ!」
「お前ロリコンかよ」

 というわけで俺たちは改めて教会に向かった。
 時間としては夕方。夜は寝るので早めに閉じるが、今の時間ならまだ普通に開いてるはずだ。

「あ、いらっしゃいませー?」

 と、小さなシスター、ミチルちゃんが出迎えてくれた。
 そういえばこの子のシスター服にもスカートにスリットが入っている……オフトン教のシスター服って村長が用意したって言ってたよな……うん。まぁ、うん。そういうことなんだろう。
 ここまでくると、むしろ尊敬に値すると思うね。

 ズンは宣言通りミチルちゃんの頭を撫でて、とっておきのナスを渡していた。ズン、いつの間に持ってきたんだそれ。
 「わー、おっきー!」とナスに飛びつき、元気に頬ずりするミチルちゃん――何だろうこの気持ち。なんかダメになる気がする。

 ミチルちゃんにお布施を渡して、略式のお祈りをする。
 ……姪にお小遣いをあげている気分になるな。(なご)む。

「そんじゃ俺らは酒場に飲みに行くけど、ロボウもいくよな?」
「いや、俺はもう少しお祈りしてくかな。本を読みたい」
「そっか。気が向いたら来いよ。特に待ってたりはしないけどな」

 そう言ってズンとドコと別れる。気楽に付き合えるいい連中だ。
 俺は本棚から農業関連の本を一冊借りて椅子に座った。あまり難しいことは読めないが、冒険者をやっていて依頼票を確認する都合上、簡単な内容なら分かる。
 それにこの『訳:イチカ』の本は冒険者が書いたメモのようで、とても読みやすい。
 ……なになに? 肥料、畑に、貝殻をすり潰した粉……へぇ、貝殻の粉が肥料になるのか。ゴブリンだけじゃないんだな。今度パヴェーラにいく商人に持ってきてもらって試してみようか。

 俺は本を読み進めていく。内容はとてもためになる……が、日頃の疲れがたまっていたのか、俺はうとうとと――

 ――はっ! ついうたた寝してしまった。
 俺は涎が垂れていた机と本に慌てて『浄化』をかける。特殊な加工をしているのか、本もちゃんと綺麗になった。……危なかった、本の弁償なんてできないからな。
 と、ぱさりと布が落ちた。どうやら俺にかけられていたらしい。

「熱心にお祈りされていましたね、ロボウさん」

 スイラさんが、隣に座って俺にやさしく微笑んでいた。

「……ええと、この布はスイラさんが?」
「ええ、風邪をひいてはいけないので。……可愛らしい寝顔でした」

 寝顔を見られてしまっていたか。
 野営でパーティーメンバーと雑魚寝して見られるのは何とも思わないが、スイラさんに見られたと思うと少し恥ずかしい。

 と、既に日は落ち、夜になっていた。教会ももう閉まっているはずの時間だ。

「すみませんこんな時間まで。御迷惑をおかけしました」
「いえ、とんでもありません! なんならもう少し寝ていても良かったのですよ?」

 ……と、どこか残念そうな表情で、スイラさんは微笑んだ。
 ふと、ご馳走をつまみ食いしようとしたところを見つかって手をひっこめた子供を連想した――いや、何を考えてるんだ俺。気のせいだな。これだとスイラさんが俺にイタズラしようとしてたみたいじゃないか。

「――そういえばこの教会に個室があるのはご存知ですか?」
「個室……ですか?」

 俺が聞き返すと、スイラさんは優しく微笑んだ。

「ええ、信者の方が1人1人落ち着いて祈りを奉げられるように――ああ、もちろんオフトン教のお祈りですから、ゆっくり眠れるようにと言う意味ですが――宿のようになっている部屋があるのです」

 当然、中から鍵も掛けられます。とスイラさんは笑う。
 そして、俺の耳元に顔を近づけて、(ささや)くように言った。突然のことに耳がぴりりとくすぐったくなり、脳がじんわりと心地よく痺れる。これが耳が幸せってやつなんだろうか。

「その――銀貨2枚のお布施をいただければ、個室で、2人きりで特別なお祈りをしてもいいですよ……?」
「なっ……ぎ、銀貨2枚、と、特別なっ!? 2人きりで!?」
「ふふふ、いかがしますか? 熱心にお祈りを奉げていた、あなただから……ですよ?」

 あなただから――そう言われて、俺はごくりと唾をのんだ。

 艶っぽく微笑むスイラさん。シスター服に似合わない――背徳的な雰囲気が、そこにあった。
 財布の中身は……いける! 俺は、迷わず頷いた。

「では、こちらへ……」

 銀貨を渡し、やわらかな手に引かれて個室へ向かう。
 そこは、狭いがお布団が敷いてある、まさに寝るためだけの部屋。

 ここで俺は――




 ――スイラさんに膝枕してもらった。

 うん? いや、そのね? 期待してたのとはちょっと違うけど、これはこれで凄く良い。っていうかむしろいい。いやぁ、たかが銀貨2枚でスイラさんと、その、期待してたことをできるだなんておこがましかったよ、ハハハ。はぁー……

「このまま寝てしまっても構いませんよ。途中で私は退室しますが、決して祈りの邪魔をしないようにいたしますので」
「は、はい」

 さわさわ、と髪を撫でられる。あ、気持ちいいわこれ……っていうか匂いがもうヤバイ。スイラさんめっちゃ良い匂いする。――オフトン教特有のお香か何かかな?

「目を閉じて、体の力を抜いて……いいのよ、ゆっくりと、深呼吸して――私がついてますからね……」
「――……」

 スイラさんの言葉に耳を傾けていると、ふらりと眠気が押し寄せる。
 俺は、そのまま朝までぐっすり寝た。
 さすがに朝起きた時、スイラさんはいなかったが――

 ――膝枕してもらったせいか、スイラさんとイチャイチャする夢を見てしまったのはここだけの秘密だ。
 ……朝起きて、反射的に『浄化』をかけたのもここだけの秘密だ。……ガキのころにおねしょした時以来かもしれん。

 ともあれ、一晩寝てスッキリした俺は、部屋から出ると朝の掃除をしているスイラさんに出くわした。

「ああ、ロボウさん。昨晩はご馳走様で――じゃなくて、熱心な祈りを奉げられましたね。気分はいかがですか? 体調は?」
「はい、お陰様でスッキリしまして、快調ですよ。なっはっは」
「それはなによりです」

 にこり、とスイラさんは微笑んだ。

「昨晩の事は、秘密にしておいた方が良いんでしょうか?」
「ええと、いえ、信用できる方になら話されても良いですよ。ただ、こちらも個室の数に限りがありますし、対応できないこともありますし、シスターに乱暴するような方はお断りさせていただきますから」
「なるほど……」
「……ちなみに、また夜にお祈りしたくなったら、今度は銀貨3枚の添い寝コースを……」
「また来ます!」

 俺はスイラさんの手を握り、言った。
 頬を赤く染め、照れたように目を逸らしつつも、ちらちらと俺の顔を見るスイラさん。
 そして、きゅっと俺の手を握り返して口を開いた。

「……絶対、ですからね? また来てくださいね……?」

 くっそカワイイ、惚れるわこんなん。


 とりあえず、ズンとドコには教えてやろうかな。今頃は酒場で酔いつぶれてるだろう。
 俺は「でもまずは畑の様子を見てからにしよう」と、畑に向かった。
(この小説は間違いなく健全です。そしてこっそり6巻作業に入りま……あ、0時あたりに特撮ヒーローの方を更新です。こっち、いい加減タイトルから(仮)を取りたい……)
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