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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

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閑話:うちの村にある教会(前編)

(思いのほか長くなったので、前編と後編に分けます。後編は本日12時にうpします)
 俺はロボウ。ゴレーヌ村に住む、しがない冒険者だ。

 俺がこのゴレーヌ村に来たのは昨年の冬のこと。ここにあるダンジョンからアイアンゴーレムが獲れると聞いて、金を稼ぎにやってきた。

 で、気が付いたら畑を貰って定住していた。

 元々俺は農家の五男で、自分の畑というものに憧れを持っていた。
 実家の畑は長男が全部継いだ。奴隷のようにこき使われるよりは、と冒険者になったわけだが、そんな俺が自分の畑を――それもダンジョン近くの一等地に貰えるとは思わなかった。
 感慨深いものがあるな。おっと、雑草が生えてる。ダンジョン近くの畑は作物が早く育つが、雑草も早く育ってしまうからこまめに抜いてやる必要があるんだよな。

 俺も農家になったな、と思わず笑みがこぼれる。

 畑を手に入れてからはアイアンゴーレムより畑の肥料になるゴブリンを求めて狩りに行くことが多くなった。
 たまに贅沢したい時なんかは同じ村人冒険者と臨時パーティーを組んでアイアンゴーレムを狩ったりもする、という程度だ。

 日課の手入れも終えてから特に用事もなくニヤニヤと畑を眺めていると、ズンとドコの二人組が話しかけてきた。

「おーい、ロボウ。また畑みてニヤついてんのか、きもいぞ」
「そんなに畑が好きなら畑と結婚すればいいんじゃね?」
「うっせ。お前らだって自分の畑見てる時はだらしない顔してるだろ。つーか結婚できるならしてるわ、俺は畑を愛してるからな」

 ははは、と俺たちは笑い合う。
 この二人組もゴレーヌ村で畑を貰った仲間だ。そして、俺がよくパーティーを組む相手でもある。気の合う良い奴らだ。

「なぁ、これからアイアンゴーレムを狩りに行くんだけど一緒にどうだ?」
「今日はパーッと酒を飲みたい気分でさ。ロボウも一緒だと心強いんだけど」
「行く。どうせ暇してたし。荷車は?」
「ズンが用意した。装備だけでいいぞ」
「あいよ」

 俺は一度家に戻り、装備を引っ張り出した。こちらの手入れも怠ってはいないから、すぐに準備は整った。

「今日はお祈りしてくか?」
「当然」

 と、ダンジョンに行く前に俺たちはあるところに向かった。
 白い壁に青い屋根の清楚な建物。

 そう、教会だ。

 ゴレーヌ村に突然現れた――ケーマ村長曰く、知り合いの建築魔法使いに依頼したらしい――オフトン教の教会は、今やこの村に欠かせない存在となっていた。

 曰く、オフトン教でお祈りしたらアイアンゴーレムに会えました。
 曰く、教会で聖句を唱えてたら不眠症が治りました。
 曰く、シスターが可愛くてモヤモヤしてた気持ちがなんかスッキリしました。

 特に不眠症に対しての効果が素晴らしいとかで、ツィーアの領主様もオフトン教に入信してお祈りしているんだと。
 その影響か、ツィーアにもオフトン教の波は広まりつつあるらしい。

 かくいう俺もオフトン教徒である。
 元々は冒険者らしく白神教を信仰していたのだが、サブ宗教? とかいうのでついでにオフトン教を信仰し始め、毎日お祈りを奉げているうちに気分的にはもはやオフトン教の方が上になっていた。

 なにせ、オフトン教のお祈りって寝る前に「オヤスミ」って言うだけだし。むしろ言わなくてもいいらしいし。
 さらには何もしないで畑を眺めてニヤニヤしてるのもオフトン教的にはお祈りになるらしくて、俺に最適な宗教とも言えよう。


 俺たちは教会の扉をくぐった。

 清潔で落ち着く雰囲気の内装に、色ガラスから差し込む暖かな光。
 ほんのりと柔らかさを感じる、乾燥しない程度の湿度。
 教会内を風がふわりと空気をかき混ぜ、体の熱を適度に散らしてくれる。思わずあくびが出そうなくらいのんびりした空間がそこに広がっていた。

 礼拝堂には数人の信者が居て、本を読んだり寝たりしている。
 ……無料で本を読ませてくれるとか、太っ腹すぎだよな。ケーマ村長の寄贈だっけ?

 と、シスターが近づいてきた。シスター長のスイラさんだ。
 ピンク色の髪がふわりと揺れ、近づくだけで良い匂いが漂ってくる。
 清楚を旨とするシスター服を着ているのにセクシーな体型が全く隠せておらず、かえって艶めかしい。
 動きやすさを重視しているのかスカートにスリットが入っており、そこから見える生足がエロい。歩くたびに胸がぽよんと揺れて目が吸い寄せられる。形のいいお尻なんて、叶うなら撫でまわしたい……はっ! いかんいかん。俺は変態かよ。村長じゃあるまいし。

「あら、ロボウさん、ズンさん、ドコさん。お祈りですか?」

 声もサワサワと背中を撫ぜられるような色っぽさだ。
 正直、スイラさん目当てに入信した奴が何人いる事か。
 もっとも、スイラさん以外にもシスターはいるし、皆魅力的だ。女性として。
 ……シスターがそれでいいのか?
 いやまぁ、若くて綺麗なシスターの方が信者(こっち)も嬉しいけど。

「はい、お祈りです。シスター」
「スイラさん、今日も綺麗ですね!」
「あ、これお布施です。どうぞ」

 と、ドコがちゃっかり自分の畑でとれた野菜をシスターに渡していた。

「まぁ、美味しそうなニンジンですね! ありがとうございます」

 頬を赤らめ、愛おしそうにニンジンに頬を当て、軽く触れるようなキスをするシスター。あそこまで愛されるなら野菜も本望だろう。きっと美味しく頂かれるに違いない、羨まし……いやなんでもない。
 ドコ、お前は何で前かがみになってんだ。いや言わなくても分かるけどよ。

「見た所ダンジョンに潜る準備をしている様子ですし、お仕事前のお祈りですね。お急ぎなら今日は略式にしますか?」
「はい」

 俺たちはシスターに銅貨を1枚ずつ渡す。別にお布施は必要ないのだが、やっぱり渡した方が効果がある気がする。
 神様だって何もくれない人よりは何かくれた人に加護を与えたいだろう。
 あと渡した時にスイラさんの手に触れるし渡さない理由がないね。

「それでは……よき眠りのために、今ひと時だけ働きましょう――オヤスミナサイ」
「「「オヤスミナサイ」」」

 胸の前で手を組んで祈るシスターに、聖句を返す。
 まぁ略式なのでこれだけだ。

「それでは、行ってらっしゃい」
「おう、行ってくる!」
「稼いでくるぜー!」
「お土産期待しててね、スイラさん」

 シスターに行ってらっしゃいと送り出されるのは良い。とても良い。
 なんなら教会に来るたびにお帰りなさいを言ってもらいたいくらいだ。

 俺たちは清々しい気分でダンジョンに向かった。
(尚、ロボウ・ズン・ドコの3人の名前は公式アンケートでクロスワードパズルの回答つきのから採用しました。
 そして、そろそろ書籍作業の方入りますのん。可能であれば週2更新という感じになるやも)
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