挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

新たな力?

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

277/302

オフトン教の洗礼

 神の寝具を貸すにあたり、マイオドールは教会を見せて欲しいと言ってきた。
 ……まだ管理人いないんだよな……あ、でもうまくすればDP使わずに人を派遣してもらえるかも?

 そんな下心を持ちつつ、俺はマイオドールを教会に案内した。
 ニクとイチカも一緒だ。あとマイオドールのお付きのメイドも。

「これがオフトン教の教会ですか……白神教の教会とはだいぶ違いますね」
「出来立てなのでまだ内容が伴っていないのでお恥ずかしいですが……あ、よろしければどうです? 聖印」
「いえ、わたくしは白神教徒なので改宗は」
「なに、オフトン教はサブ宗教としてついでに信仰することが可能です。そして、信仰するにあたり特に強制されることはありません」
「さ、サブ宗教? なんですかそれは」

 おっと、そこから説明しないとな。
 俺はマイオドールに「ついで信仰」「いいとこどり」という説明をした。
 ちなみに信者であるために聖印が必要というわけでもない。サブ宗教であるために他宗教の聖印を持ってお祈りしても一向にかまわず、休息を愛していれば信者なのだと言っておく。

「……なるほど。つまり白の女神様を信仰しながらもオフトン教に入信できると」
「まあ、無理にとは言いませんので。無理矢理勧めるくらいなら寝るのがオフトン教ですし」
「ああ、それは良いですわね。聖王国の光神教の勧誘は強引過ぎて辟易することがあるので……ところで、クロ様もオフトン教ですの?」
「はい、ご主人様と同じです」

 ニクもオフトン教に入ってくれるようだ。むしろ入ってくれなかったらへこむ。
 イチカはどうだろう? 食の神イシダカを信仰してそうだけど。

「ならわたくしも入りますわ。婚約者と同じ信仰を持つのは大事なことですし」
「おお、ありがとうございます」

 やったぜ信者ゲット!

「では洗礼をおねがいしますわ……あ、でも司祭様はいらっしゃるのかしら?」
「ああ、では僭越ながら俺が仕切りましょう」
「ケーマ様は司祭の資格もお持ちなのですか?」
「オフトン教限定ですがね」

 司祭、そういうのも要るのか。
 ……まぁオフトン教では俺がルール。俺がOKって言ったらそれがオフトン教だ。
 つまり俺はオフトン教の司祭を名乗っても何の問題もないということ。嘘だと思うならオフトン教に問い合わせてくれていいぞ、問い合わせ先は俺な。

「ニ……クロも洗礼みたいなことはしてなかったよな、ついでにやろう。それでは復唱してください。……私はオフトン教です」
「わたしはオフトン教です」
「わたくしはオフトン教ですわ」
「ウチもオフトン教なー」
「はい、これでもうオフトン教徒です。よく眠りましょう、オヤスミナサイ」
「……えっ? こ、これだけですか?」

 ちゃっかりと入るイチカに、キョトンと戸惑うマイオドール。
 うん? 他に何か要るんだろうか。

「他の宗教は違うので?」
「ええと、聖水を振りかけて聖句を唱えたり……手足を洗う儀式をするとかいうのもありますね」
「……ふむ」

 入信は簡単な方が良いかと思っていたが、もしかしたらそういう儀式的なパフォーマンスがあったほうが信者は喜ぶのだろうか。
 となると、オフトン教典に基づいた儀式を何かした方がいいのか……。

「ではお祈りをしましょう。俺の持ってる、昼寝剣シエスタを使います」
「神具ですか」

 俺は腰にぶら下げていた愛剣、シエスタを抜く。いきなり短剣を抜いたことでマイオドールのメイドさんが一瞬身構えるが、構わず続ける。

「これは眠りを与える聖剣です。魔力を与えると周囲に眠りをもたらす効果があります。あ、メイドさん眠ると困るならもう少し離れててください。……はい、そのくらいで」
「なるほど。睡魔に耐えて祈るのですね?」
「いえ、別に耐える必要はないです。むしろ寝ていいです、それがオフトン教ですから」

 とりあえず立ったまま寝てしまうのは危ないので、3人を席につかせた。

「それでは、オフトン教典の聖句を唱えてみましょう。目を閉じて復唱してください。……ヒツゥディガァーイッピキー」
「「「ヒツゥディガァーイッピキー」」」
「ヒツゥディガァーニヒキー」
「「「ヒツゥディガァーニヒキー」」」

 俺がやや巻き舌気味に羊を数えるのを、完全にコピーして復唱する3人。
 もしや日本語の音として通じてるのか? まさか翻訳機能さんの穴を見つけてしまったか。

「……あの、ケーマ様。これはどういう意味の聖句なのでしょう?」
「これは、安眠のための呪文なのです。『ヒツゥディ』というのは『眠りをもたらす生物』であり、その姿は主に羊とされています。『ガァー』は接続詞で、その後は1匹、2匹と数える、そういう内容です。……本来は眠りにつくまで延々と数えるのが正しい作法ですが、今回は10匹まで数えて終了にしましょう。意味が同じであれば言いやすい言葉で唱えても構いませんから、普通に数えるのもアリです」
「なるほど……では、ヒツゥディが3匹、ヒツゥディが4匹……」

 あとでまだ白紙99%の聖典にヒツゥディについて書いとかなきゃな。
 ……ちなみに聖典は【クリエイトゴーレム】を使うことにより、バインダーのように順番を入れ替えたりあとからページを差し込んだりすることもできる。
 今は枕にできるだけの厚みを持ったノートみたいな状態だ。ハッタリとかハリボテとも言うが、オフトン教的には枕にして寝やすい厚さが大事なのである。寝やすい厚さが大事なのである!

 ……おっと、そろそろシエスタを使うか。昨日も使って寝たので魔力はすっからかんだ。俺はシエスタにぐぐっと魔力を注ぎ込む……ふぁぁ、眠い。効果が出てきたな。

「け、ケーマ様。なにか眠くなってまいりましたわ……!」
「俺もです。……ふああぁ、ああ、眠い……」
「ヒツゥディが5匹……ヒツゥディが6匹……」
「くかー……」

 引き続き羊ならぬヒツゥディを数えるニクとマイオドール。
 イチカは寝たなこれ。腕を枕に机に突っ伏してる。

「うむ、大変宜しい。オヤスミナサイ」
「ケーマ様、オヤスミナサイとは?」

 む? 今のも翻訳機能さんに除外されたのか? 確かに呪文っぽく言ったけど。

「オヤスミナサイは寝る時の挨拶で、祈りの言葉です。良い眠りをという意味ですね」
「なるほど……」
「意味が同じであることが重要ですので、普通に寝る時の挨拶でも祈りの言葉となりますよ」
「ふむ、普段の生活で無理なくお祈りできるということですか……オヤスミナサイ」
「オヤスミナサイ…………すぅ……」

 あ、ニクも寝た。
 俺も寝たい……今は司祭として起きてなきゃだから、マイオドールを早く寝かせて俺も寝よう。こっそり【気絶耐性】をONにする。……眠気はあるが、これで眠らないはずだ。
 っていうか眠気はあるのに眠れないとか地獄じゃね? やっぱり【気絶耐性】はひどいスキルだな。

「ヒツゥディが……きゅう……ん、んん……すぅ……」
「……オヤスミナサイ」

 マイオドールも寝たな。シエスタの前では10まで持たなかったか。……俺も寝よう。
 俺も、適当な席について、【気絶耐性】をOFFにする。あとはこのこらえきれない眠気に身をゆだねるだけだ。

 ぽかぽか温かい光の差し込むオフトン教の教会。俺が設計から製造、監修までしただけあって実に寝心地の良い空間だ。

 そんじゃおやすみ。スヤァ。

(聖典は厚みが大事。(感想欄より採用)
 尚、聖歌「ねんねんころりよ」は、歌詞掲載の規約があるのでカット。江戸時代から子守歌なので大丈夫だろうとは思いますが念のため)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ