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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

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ケーマ、決意する。


 マイオドールの持ち込んだ性別を混沌にする魔法薬、『フタナール』。なぜツィーア領主ボンオドールがこれを俺に寄越したのか。

「なぜこれを俺が欲しいと?」
「お気になさらず。ほんの、結納品みたいなものだそうですわ」

 話がかみ合わないな。別にこんな薬いらないんだが。
 何か? 俺に飲めと? 誰得だよ。

 そうだ。誰得か、だ。
 少し考えよう。ボンオドールはなぜこの薬を用意したのか。
 要するに、これを誰に使えと言っているのか。

 効果は性別を『混沌』に……つまり、両性(ふたなり)にするという魔法薬。そして、「これで問題なく婚約ができる」というのがポイントになる。つまりこれは、婚約話の決め手になるもの、という事だ。だとすれば――

 ニクに使えと、そういうことではないか?

 なるほど、娘の婚約者が女だとバレた時にマズイから、対抗策として物理的に生やせる薬を用意しておこうというわけか。
 でもそうなるとやっぱり俺が欲しがったという意味が分からない。一切欲しがった覚えはないぞ。
 けど考えてもニクかマイオドールにしか使い道ないしなぁ……マイオドールに使うなら俺に見せる必要無いし……消去法的にやっぱニクだよな。

 というか、性別を変えることができる薬があるとか、この世界すごいな。
 しかも名前が『フタナール』って。これ最初に作ったヤツ絶対勇者(日本人)だろ。

 ――ふと黒髪ポニーテールに赤目の災厄、永遠の17歳が頭をよぎった。

 まさか、この件ってレオナの仕業か? 一体何のために?
 いやアイツなら特に理由なくても「おちょくるため」とかあり得るから困る。むしろ男女性転換じゃなくてフタナリ化っていう所がレオナらしいじゃないか。
 ……まぁ、警戒しとこう。

「あの、ケーマ様?」
「おっと、すみません。少し考え込んでおりました」
「そうでしたか。……あの、ケーマ様。これからは義父様とお呼びしても?」

 ん? そろそろ期限の1ヵ月なんだけどなぁ。

「まさかマイ様、仮の婚約者であることをお忘れですか?」
「ええ、ですのでケーマ様と正式に縁を結ぶためにこの魔法薬を用意したのです。ケーマ様のむす……身内であるクロイヌ様とわたくしが婚約することで、それは完璧になるのですわ」
「はぁ……しかし1ヵ月の期限は守っていただきますよ」
「つまり1ヵ月で1度契約は打ち切り……改めてということですわね。ではこの薬もその時に」

 そう言ってマイオドールは魔法薬を【収納】に片づけた。
 まぁ、こちらで持ってても仕方ないしそれはいいか。無駄に入手困難っぽさそうだし、きっと高い。
 下手に受け取れば、それを口実になんやかんや言ってくるに違いない。ならむしろマイオドールが持っている方が良いだろう。

「それで義父様」
「まだその呼び名を許可した覚えはないですよ、マイ様」
「しかたないですね……ケーマ様」

 さりげなく義父様よばわりされるのを阻止しつつ、話を続ける。

「あの、それで……しばらくこちらでの滞在をしたいのです。お部屋をお借りしても?」
「はあ、ならまぁ宿の方で好きな部屋を使ってください。今お客様が泊まっていない部屋であれば、宿泊料さえ払っていただければ問題ありません」
「は、はい! ありがとうございます」
「あ、スイートはお客様が泊まってるので一般部屋になります。そこはご了承を」
「む、仕方ないですね……しかしさすがに宿泊費が高いですから、諦めておりましたし」

 さすがにタダで泊めたりはしないぞ。

「まぁ家ができるまでのつなぎですしね」
「……マイ様の家はツィーアにあるでしょう?」
「婚約者の近くに別宅があっても良いと思いませんか。もっとも、既に手配はしてありますし、数日後には完成しますよ」

 マジかよ。住宅地にある家のどれかか……止めようもないな。
 ……ツィーアから釘を刺されていると見て間違いないだろう。監視が目的か? 税金関係ってどうなってるんだろ、脱税してないよな? 後で確認しとこ。

「それでは婚約者との親睦を深めようかと思います。ね、クロイヌ様」
「……はい?」
「仲良くしましょうということですわ」
「……ええと」

 俺を見るニク。……婚約者としてとなると少し引っかかるが、普通に女の子同士が仲良くなるのは悪くないと思う。

「そうだな。まぁ、仲良くする分にはいいと思う。普通に友達になってもらえ。……ああマイ様、さっきみたいなはしたないことはなるべくしない方が良いと思いますよ」
「え、ええと。ただのマッサージだったのですが……」
「やるにしても、鍵のかかる部屋でした方が良いですね」
「はぁ、まぁ、ケーマ様がそう仰るなら、気を付けますね」

 うっかり覗いて責任取れとか言われたら困るもんな。
 ……み、見たいわけでもないよ? まだまだ子供だしな。

 と、ふと思い出したかのようにマイが口を開いた。

「ところでケーマ様。この村に教会は無いのですか?」
「教会ですか?」

 そういえばマイオドールはハクさん――白の女神を(まつ)ってる、白神教の教会に通ってたな。
 今の所要望は出てないが、村民たちの心の安寧のためにも作るべきだろうか?

「ウチの村には無いですが……そうですね。作っても良いかもしれません」
「でしたらやはり白神教でしょうか? ゴレーヌ村は冒険者の村ですし」

 ……本人がたまに来るんだよなぁ。
 あれ、それ考えるとウチの宿って聖地巡礼? もしかして信仰対象になる?
 だとしたらなくても良い気がする。作るのも面倒だし……

「……白神教の教会は別に建てなくても良い気がしますね」
「となると、ケーマ様の信仰されているオフトン教の教会を?」

 ……オフトン教の……教会……?

 何かが俺の中で弾けた。
 これは……建てねばならない。そして、祀らねばならない。天啓だ。

「それはすばらしい。早速建てましょう。すぐ建てましょう。今から建てましょう」
「えっ、ええと、それなら是非ツィーア家からも建築費を出させてくださいな」
「いえ、ここは俺が建てることに意義があるのです。なにせ、オフトン教ですから」

 下手に口出しされたくないもんな。そもそもオフトン教の信徒はぶっちゃけ俺だけだ。つまり俺が教祖。建てて、そして信徒を増やすのだ!
 ビバ睡眠! 至高の睡眠を求めて! お祈りは睡眠! 毎日何時間もできる簡単なお祈りです。
 宗教的な理由といえば二度寝や昼寝してても全く問題ないよね?
 やべぇ、これ大発見だ。絶対建てなきゃ。建てねば、建てる時、建てろ? ええい建築だ!

「それでは急用ができましたので、俺はこれで」
「あ、はい」

 そして俺は部屋を出た。
 ……作るぜ教会! どデカい奴をなぁ!
(5巻が発売されたわけですが、公式アンケートの「好きなキャラ」で5巻表紙のハクさんより得票数が多い作者がいるらしいですよ。誰の仕業だ)
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