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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

新たな力?

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訪問


 シキナが手紙を書いて数日後。ウチの宿にとあるお偉い人物がやってきた。
 で、俺は昼寝しようとしていたところをイチカに捕まって宿の受付までその人物に挨拶に出向く。

「お久しぶりですケーマさん。お元気そうで何よりです」

 がっしゃんがっしゃんと、重そうな……4、50キログラムは下らないであろう白銀のフルアーマーを身に纏った女重騎士がそこにいた。
 立てば障壁、座れば砦。歩く姿は動く城。
 帝国第一騎士団団長にして白の女神(ハクさん)直属の配下、リビングアーマーのサリーさんである。

 尚、兜はなく、人化したときのキリっとした綺麗な顔を晒している。
 ……うちで学習中の残念エルフとは空気が違う。

「……サリーさん。急に宿に来るなんて、どうしたんです?」
「なに、上司(・・)にすこし羽を休めて来いと言われまして、個人的な旅行ですよ。まぁ元部下の顔を見に来たというのもありますが」

 タイミングを見れば明らかに嘘だと分かることだ。
 しかし、それが嘘だとは断定できない状況がそこにはあった。

「ねぇサリー。ここ温泉あるんだって! 僕、温泉入りたいな。できればサリーと一緒に」
「やん、ダメですよパルメ。温泉は男女別だそうです、でも上司から聞いた話ではスイートルームには部屋風呂なるものがあるそうなので、そちらでなら一緒に……」

 そう、サリーさんは彼氏連れだったのだ。
 一見男なのか怪しいくらい華奢で中性的だが、サリーさんが照れた顔で「あ、彼氏です」と紹介してきた。……男の娘かな。セツナみたく両性(ふたなり)という可能性も?

「それにしても、そのような重々しい鎧を身に付けて個人的な旅行ですか……」
「これは私にとって体の一部のようなもの(・・・・・・)なので、むしろ落ち着きますから」

 体の一部どころか体そのものだもんな。知ってた。
 けどダンジョンと関係なさそうな彼氏が一緒という事で、一応聞いとかないと不自然だろう。

「……彼氏さんはそれで良いんですか?」
「サリーは強いし、僕も守って貰えて助かってるよ。それに、脱いだ時のサリーは僕だけが知っていればいい事でしょ? ね、サリー」
「え、ええっ! パルメは私が全力で守りますから、なーにも心配しなくていいですからっ! うふふふふ!」

 うわぁ、すっごいデレデレしてる。
 パルメの身長はサリーさんと比べてだいぶ低く、背伸びするようにしてサリーさんの頭を撫でた。もじもじするサリーさん。かしゃんかしゃんと鎧が嬉しそうに鳴った。

 スイートルームはいいけど、床抜けないよな? ……こっそり補強しとこうかな。
 と、そこに話を聞いてかシキナがやってきた。

「サリー様! ご無沙汰しております!」
「あら、こちらも元気そうですね。手紙は読みましたよシキナ」
「はっ! ――ええと、本日は、その返事、という事でありましょうか?」
「いいえ、私的な旅行のついでです。ちなみに手紙の答えは『いいえ』です。貴方には純粋に強くなって欲しい、そう考えてここを紹介したのです」

 ……嘘を見破る魔道具が今ここにあれば赤く光っただろう。
 もしや「自分はハニトラ要員ですか!?」とか手紙で聞いたんだろうか。
 あと、黙ってハニトラ要員として出した奴に、しかもターゲットの前で「お前はハニトラ要員だから」とか言うわけないだろ。

「そうでありましたか……邪推してしまい、申し訳ありませんでした」
「構いません、むしろ邪推するなんて成長した証でしょう。……あ、こちらは補充の便箋です。何枚か渡しておきますからまた近況を聞かせてください。ワタルがここに顔を見せる時にも便箋を持たせましょう。なのでひと月に1通は出してくださいね」
「はっ、ありがとうございますサリー様!」

 定時連絡するようにということですね分かります。

「……ところで、隣の女性はだれでありますか?」
「彼氏です」
「も、申し訳ありません!? 華奢で風が吹けば飛んでいきそうでありますな!」
「ええ、なのでしっかり囲って掴んで離さないようにしなければと全力を尽くしているところです」

 褒めてないぞシキナ。まぁノロケで結果オーライみたいだけど。

「おいシキナ、サリーさんを部屋へご案内して差し上げろ。スイートだ」
「はっ! 了解であります!」
「ふふ、シキナ。ケーマさんとはどうですか?」
「師匠からは色々学ばせてもらっているであります、掛け算と割り算ができるようになったでありますよ!」
「……文官にする気ですか? まぁ、できないよりは良いですか」

 シキナはサリーさんとその彼氏を連れて宿の奥へ入って行った。
 ……
 さて、寝るかな。


  *

 起きた。あー良く寝たわー。
 と、昼寝から起きた所で宿に向かうと、レイが俺に声をかけてきた。

「マスター、起きられましたか。お客様が来ていますよ」
「ん? ああ、サリーさんだろ。知ってる」
「いえ、別件です」

 別で? 俺は首を傾げた。

「……宿泊客、ってわけじゃないんだよな?」
「はい、マスターへのお客様です。今はニク先輩が対応しています」

 1日に来客2件とは珍しいな。
 でもニクが対応? 一体誰だ。まさかサリーさんの監視でミーシャでも来たのか?

「青髪の、マイオドールという幼女でした。ツィーアから来たとの事です」
「……」

 やっべ、ツィーアの事すっぽかしてたの忘れてた。
 というか、そういえばアレから1ヵ月くらいしてたか? ということは契約完了のお知らせだろうか。

「……えーと、どこで待ってるって?」
「応接室です」
「すぐ行く」

 俺は応接室に向かった。まぁすぐ近くだけど。
 応接室に近づくと、話し声が聞こえてきた。マイオドールとニクの声だ。
 そして、マイオドールの声はどことなく上ずっていた。

「あ、あの、クロイヌ様。そんなに激しくされたら痛いですわ」
「むぅ、加減が難しいです……これはどう、ですか?」
「ぁ、だんだん気持ちよくなってきましたわ……んんっ」

 なんだマッサージか。
 俺は扉をノックして部屋に入った。

「おーい入るぞ……ッ!? す、すまんっ!」

 そして俺はマイオドールのあられもない姿を目撃してしまい、慌てて部屋の外に出て扉を閉めた。
 扉の前で一息ついてると、ドアの向こうからマイオドールの声が聞こえた。

「あ、あの? ケーマ様、どうかされまして?」
「いやその、すまな、すみません。まさか足つぼマッサージをしているとは思いませんでした」

 そう。ちらりと見えてしまったのだ、マイオドールの生足裏が。
 ……いくらマイオドールが幼女とはいえ、既に婚約ができる年齢だ。時代が時代なら、責任を取らなければいけないレベルだろう。危なかった。

「は、はぁ。……確かにはしたなかったかもしれませんわね」
「キャッキャウフフするのも良いですが、応接室ではしない方が良いですよ」
「……うかつでした。ご主人様、すぐ片付けます」
「えっ、クロイヌ様? そんなにはしたない事だったのですか?」

 戸惑うマイオドールにニクは淡々と片付けをこなしたのか、すぐに「もう入っても大丈夫です」と声がかかった。
 改めて部屋に入ると、マイは既に靴を履きなおしてソファーに座っていた。ほっ。
 あ、今気付いたけどメイドさんも一緒なんだね。まぁ幼女一人で来るってことはないか。

「……えーと、それでマイオドール様。何の御用で?」
「マイとお呼びください、ケーマ様」
「……マイ様、何か用があってここに来られたのですよね?」
「はい」

 そう言って、マイオドールは【収納】から1本のガラス瓶を取り出した。
 鮮血のように赤い薬が入っている……どことなく禍々しい。

「これは?」
「はい、ケーマ様が所望のモノだと父が言っておりました。これで問題なく婚約ができると」

 俺の所望の薬? なんのことだ一体。

「性別を混沌にする魔法薬、『フタナール』です」
「え? すみません、もう一度」
「性別を混沌にする魔法薬、『フタナール』です」
「……性別を混沌にする、えーっと?」
「『フタナール』です」

 聞き間違えかと思ったが、なにやら妙な薬を持ってきたらしい。
 しかも俺が欲しがったってどういう事だオイ、誰か説明してくれ。

(本日6月25日はだんぼる5巻の発売日です! 尚、活動報告の方にネタバレ込み感想OKのところを置いときました。返信はたぶんあんまりできないけど、感想を貰えると嬉しいです)
『このライトノベルがすごい!2018』ライトノベルBESTランキングWebアンケート、9月24日(日)23:59まで!
回答したら、抽選で20名様に全国共通図書カード(500円分)が当たるそうですよ?

https://questant.jp/q/konorano2018

よろしければ文庫1位のところに以下のように記入してみてください。

タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
+注意+
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