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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

お見合い話

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見回り宿屋


 宿、『踊る人形亭』。ここは俺が作ったダンジョン表層の拠点だ。
 元々は【クリエイトゴーレム】で作った手作りの宿だ。メニューの『設置』で移動できるようにするため、地味にフロアとして小分けにしていたりと後々からDPがかかっている。
 今は村長邸も併設していて、そちらで寝起きしている。

『いらっしゃいまー……あ、マスター』
「おう、ネルが店番してたのか」

 ダンジョンで拾った自我のあるドール……という事にしている、フィギュアのように作ったゴーレムに、指輪で実体のないサキュバスのネルを憑依させたもの。それがカウンターに座って普通に受付をしていた。
 元々クレイゴーレムを手伝いに使っていた事もあり、その存在はすっかり受け入れられたらしく「まぁ『踊る人形亭』だもんな」で通る。

 ……安心と実績の『踊る人形亭』をよろしく!

「まぁ他に色々あるからなー。ドールが1体増えたところで見どころが1つ増えた程度やな」
『そっすね、握手求められたりはしますけどその程度ですね』
「観光名所になってんのかネル……」

 受付を通り過ぎると食堂と客室がある。客室は特に言うことは無い。素泊まりで1泊銅貨50枚程度の施設だ。オフトンと光の魔道具が置いてあるくらい。
 食堂は、まぁ食堂だ。食券システムで料理引き換え、前はDPで出した定食とかを出してたが、今はもっぱらキヌエさんが作った料理を出している。
 昼のピークはとっくに過ぎているのでガラガラだった。今日のウェイトレスのシフトは――ああ、アルバイトの2人(セツナとナユタ)か。
 アルバイトの2人はダンジョン関係の人間であることを俺は一方的に知っているが、俺達がダンジョンの関係者であることを知らない(ネルネのみカミングアウト済み)。会話は気を付けよう。

「あ、村長。お昼?」
「ん? そうだな、少し食べてくか」
「ご主人様ご主人様。ウチの分もー」

 セツナに聞かれて答えると、イチカがものほしそうな顔で催促してきた。わかったよいやしんぼめ、おまえの分も出してもらおうか。……というか従業員はちゃんと毎食出してるはずだが?

 で、軽くサンドイッチを作ってもらって食べた。
 ちなみにキヌエさんには【料理】という固有スキルを覚えさせている。家事大好きのお家妖精(シルキー)とは相性が良いスキルだった。
 ……おおう、キヌエさん、腕を上げたな。これツィーア領主の屋敷にいた料理人にも負けないんじゃないか。

 さて、小腹を満たしたところで残る宿の施設は――温泉と、遊戯室か。
 温泉は別にいいか……ゴーレムのマッサージ椅子を置いてあるくらいで、あとは普通に温泉だし。全裸入浴の文化が無いから湯浴み着の着用がデフォになってるけど――あ、でもたまに全裸で入ってるのも居るって話だったっけ? まぁいいか。

「ところでご主人様、遊戯室の視察にあたってお小遣いなんかは」
「無いに決まってるだろ」

 俺は残念そうにするイチカを連れて遊戯室に入った。
 今の遊戯室は、ポーカーやダイスなどを楽しむ台と、ネズミレースの2種になっている。スロットについては完全に酒場に持っていった。レンタル代だけで固定収入が稼げるのがいいよな。

「はーい、締め切りまでもう間もなく……あ、マスター」
「レイか。今日はこっちのシフトだったのか」
「はい。あ、賭け札1つ買ってきますか?」

 ちらりとネズミレースでスタンバってる走者(ネズミ)達を見ると、目が合った。
 ……翻訳機能発動! 説明しよう。異世界に来て身に付いた翻訳機能は、意識して使用した場合ネズミの声も聞けるのだ!

『やった! マスターきた! これで勝つる!』
『まってまって、勝つのは誰かひとりじゃん。誰が勝つのさデッパ?』
『やっぱりマスターが買った子が勝つべきじゃない? 喜ぶよきっと』
『いやまって。いつも通りやるべきじゃない? ここは』
『んー? じゃあ次のレースはこのままファイトが一着?』
『いやまって。もしマスターが外したら一着の子肩身狭くなるかな? やっぱ却下で』
『ファイト、もしかして自分が一着予定なの忘れてた?』
『そ、そんなことないよ? ボクはかしこいので!』

 うん、ネズミたちは今日も元気みたいだ。あと賭け札を買うのは止めとこう。

「今日はダイスの方で遊んでくるかな」
『『『『『えー』』』』……ほっ』

 おっと翻訳機能解除っと。
 俺は適当なテーブルに混ぜてもらおうとする。……お、小勝ちして調子のってる奴発見。身なりも良いし、この村の奴じゃあなさそうだな……よし、巻き上げたろ。

「ここ良いか?」
「ん? いいぜ、巻き上げてやる!」

 やる気満々だねぇ。だがすまんな、俺のダイスはゴーレム製なんだ。


 ふう、敵は中々運の良いヤツだった。なにせ3以下の出目が全然出ないのだ。もしかしたらスキルで【幸運】とか付いてたのかもしれないな。

「馬鹿な……この俺が負ける……だと? どんなイカサマを使った!」
「おいおい、言いがかりはよしてくれよ」
「うるさい! この俺が負けるなんて絶対イカサマだ、金は払わんぞ!」

 うわ、これ面倒くさいヤツだ。

「あー、お前この村の住人じゃないな? ……知ってるか? この村において、イカサマはバレなければ有効だし、勝負で金を踏み倒した奴は泥棒と同じ扱いだ。つまりお前が踏み倒すって言うなら、身包み剥いで奴隷落ちさせてもいいことになっている。村長(・・)に確認してもいいぞ」

 俺がそう言うと、そっと村民冒険者の1人が出入り口を塞ぐ。ナイスだ、あとでプリンを奢ってやろう。

「はぁ? まさかお前、この俺を奴隷落ちさせようってか! ははっ笑わせるな、俺はBランク冒険者――貴族だぞ」
「そう、関係ないね。で、払うの? 泥棒なの?」
「俺が泥棒なわけねぇだろ! むしろお前が不敬罪で処刑だな。今なら、お前の女を差し出せば許してやるよ?」

 あー、こりゃブラフだな。
 というかBランク冒険者ともなれば、猶更泥棒はマズイだろう。本当に好き勝手していいのはSランクの手が付けられない勇者くらい、それですらあまりにひどいとハクさんに粛清されるのだし。
 冒険者ギルドは身内の起こした犯罪に厳しい。
 ついでに言うと貴族の身分詐称は結構重い犯罪だ。

 そしてなにより、俺のモノに手を出そうとしたのでアウトだ。

「そうか、つまり払う気はないと」
「当り前だ、イカサマ野郎!」

 自称Bランク冒険者が剣を抜き、テーブルに突き立てた。
 おう弁償してもらうぞ、お前売った金で。

「……やれ。働いたやつにはプリン奢ってやる」

「ひゃっはあ! 待ってましたぁ!」
「お許しが出たぜ! 今か今かと待ってました!」
「さっき巻き上げた俺の小遣い返せよクソが!」
「なッ、ちょっ、まっ」

 俺の号令で周囲の冒険者たちが一斉に襲い掛かり、ものの数秒で取り押さえた。
 あ、3人目のやつ、その金盗ったら泥棒だぞ? イカサマでも見破れなかったら有効だからまずその男のモンになって、それから俺のモンになってるからな。

 ちなみにイチカも取り押さえるのに参加していた。お前もプリン欲しいのか。

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