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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

情報は大事。これはガチ。

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ダンジョンの情報

 いつから無かった? 朝か? それとも昨日の夜か?
 ついさっきなら今から出れば冒険者を追い越せるかもしれない、途中で遭遇して戦いになるかもしれないけど。……そうなったら、勝てるのか?

「……ご主人様?」

 ちらっとニクを見る。そういえば、ニクは俺がダンジョンマスターだってちゃんと分かってるんだろうか? しっかり話したことはなかった気がする。

 ……よし、ここは、落ち着こう。
 ロクコなら大丈夫だ。俺の言った通りにやってくれるはずだ。
 情報が予想通りなら、それで問題ない。……問題なのは、俺の予想と冒険者ギルドの情報が違ったときだ。となれば、早急に情報を確かめる必要がある。
 ……寝てる場合じゃない。はぁ……

 俺はカウンターに向かう。そこにいたのはいつもの受付嬢ことシリアさん。さっき戻ったばかりですまないね。

「ダンジョンについて聞きたいんだけど、いいか?」
「そろそろ沢山の冒険者が戻ってくる頃合いだから、それまでなら……で、ダンジョンがどうしたんですか? 普通のダンジョンなら、ランクD以上じゃないと関係ないですよ?」

 なるほど、つまり『ただの洞窟』は普通のダンジョンじゃないわけか。

「ああ、それなんだけど、ダンジョン『ただの洞窟』の調査っていう依頼票があったと思ったんですが。今見たらなかったけど、ランクFから受注できるって書いてあったから気になってて」
「ふうん……まぁ、あれは基本的にルーキー用の依頼ですね。世界的にも珍しい、生まれたてのダンジョンの調査です。半月に1度くらいのペースで出しています」

 生まれたての……そういう認識なのか、それとも実際そうなのかは帰ったらロクコに聞いてみるか。

「ちなみに今回はどんなやつが受注したんです?」
「それは業務規則があるのでお答えしかねます」

 ですよねー。

「それより、奴隷のお嬢さん相手に指名依頼が2件……便所掃除ですが、来ています。どうします? Gランク依頼ですが、受注しますか?」
「……ちょっと考えさせてください」

 便所掃除……よっぽど気に入られて宣伝でもされたんだろうか。もっとも、今はそれどころではない。

「折角なので聞いておきたいんですが、ダンジョンってどういうところなんですか?」
「……ダンジョンは、モンスターやトラップ、そしてお宝がある場所です。一攫千金を狙うならダンジョンに潜れ、とよく言われています。まぁ、あなたみたいな常識のない人はそんなことも知らないでしょう?」
「さ、さすがにそれくらいは知っていますよ?」

 知らなかった。イヤミなんだろうけど、常識的な事から教えてくれるのはありがたいな。

「ではダンジョンボスやダンジョンコアのことは?」
「……えーっと、コア、は、ダンジョンの心臓部、ですよね」
「ええ、そうです。コアを破壊すると同時にダンジョンの崩壊が始まります。ダンジョンボスはダンジョンの最下層で、コアを守っている存在です。ダンジョンボスとダンジョンコアは同一であるという説もありますね。……過去、魔王を倒した際に魔王城が崩壊した、という話があり、魔王城がダンジョンで、魔王がダンジョンコアを兼ねたダンジョンボスであった、という説が有名です。まぁ私は単に魔王が悪あがきで道連れを狙ったものだと見ていますが」

 魔王がダンジョンコア……ロクコが魔王やってるような感じだったんだろうか。
 少し想像してみたら、想像の中で魔王のロクコがマントを踏んでずっこけていた。
 うん、締まらないな、ロクコに魔王は似合わないだろう。

 ダンジョンコアがなくなるとダンジョンが崩壊するのは、壁とかをダンジョンコアが維持しているんだろうか。しかし、ダンジョンボスとかダンジョンマスターとか、色々あってどういうのが常識なのか分からなくなるな……

「ちなみにダンジョンについて知りたいのであれば、ダンジョン学という学門があるので、本を買えば良いかと……、本は高いですが、情報料として考えれば十分な内容だと思いますよ」

 それはまさに俺が求めている情報だった。ダンジョン学、そういうのもあるのか。
 貴重な情報だ。ぜひ欲しい。

「まぁ、『ダンジョン学入門』でも金貨1枚しますが」

 ……手持ちが足りないな。銅貨1枚が100円として、100万円相当じゃないか。
 一度ダンジョンに戻って金目の物を持ってくる、っていう手もある。
 うん、ダンジョンに戻った方が良い理由が1つ増えた。

「そろそろ良いですか? 人が増えてきました」
「ああ、すみません。お手数をおかけしました」
「いえ。冒険者へのアドバイスも仕事のうちなので……邪魔なのでどいてくれます?」

 受付嬢さんの仕事に対する徹底した姿勢は信用できるな。嫌いじゃないよ、そういうの。
 俺は、ニクを連れてカウンターを後にした。

  *

 とりあえず、『ただの洞窟』については、俺が帰らなくてもコアが破壊されることはないだろう。多少部屋が増えたのは、ダンジョン学的に貴重なサンプルとして調べられそうではあるが。
 で、単純にDPのことを考えた場合、生活費的なDPの消費がない分、戻らない方が安上がりだ。このままツィーアの町を拠点に冒険者生活というのもアリといえばアリだろう。

 だが、俺は単純に『オフトン』が恋しい。公園のベンチや『眠れる小鳥亭』の木箱に布を敷いた自称ベッドでも寝れなくはないが、快適さが段違いだ。

 最低限の情報は入手できたと思うし、一度『ただの洞窟』に戻って、金目の物を持って来るのもいいかもしれない。ダンジョン学の本はぜひ手に入れたい。……だが金貨1枚の商品だ、すぐに見つかるとも限らないけどな。
 ……って、まてよ? もしかしたら、その本、DPで交換できたりするんじゃないか?

 DPカタログを見ると、確かにあった。情報を聞いたことにより項目が増えたのかもしれない……えーっと、『ダンジョン学入門(100DP)』……って、100DP?!
 金貨1枚、100万円相当の本が100DPって、どういうことだオイ。
 ……たしか『銅貨5枚(5DP)』だったと思ったんだが、どういう換算になってるんだ。

 ともかく、ダンジョンに戻って『ダンジョン学入門』を手に入れるのがよさそうだ。

「ニク、一度ダンジョンに戻るぞ」

 空はもうすっかり夕方だ。早くしないと門の出入りができなくなるかもしれない。
 俺はニクを連れて、急いで西門へ向かう。
 西門には、俺たちが来た時に案内してくれた門番がいた。

「おや……こんな時間にどうしたんだ? もう少しで門を閉める時間だぞ?」
「ちょっと山の方に用事ができまして。何事もなければ2日くらいで戻ると思うけど」
「……そんな軽装で大丈夫なのか? みたところ、ろくに荷物も無いようだが」

 おっと、そういえば準備を忘れていた。どうにも拠点に戻るという意識があったから、荷物は特にいらないだろうと思ってたけど、普通の冒険者は山に拠点なんてないもんだろうし。
 かといって、毎回ダンジョンに帰るために準備万端にするのもあれだしな……

「ちょっとだけですし、今回必要なものは現地調達できるので大丈夫ですよ。身軽な方が移動にはいいでしょう?」
「そうか。それであれば問題ないな」

 我ながら苦しい言い訳かと思ったけど、あっさり納得してくれた。
 うーん、今度から南門から出てみるか? 近づかない方が良いとは言われたけど、自然に門の外に出るにはそれがいいかもしれない。金を節約してスラムで寝泊まりする、って感じで言えば不自然じゃないだろう。嘘を入れないで言うなら、外で寝泊まりするので、になるかな。

「それで、用事とは薬草採取の依頼か何かか? 依頼書はあるか?」
「いや、依頼じゃないです。銅貨を払いますよ」
「そうか。……夜の山は危険だ。十分気を付けるといい」
「ええ、ありがとうございます」

 ギルドカードを見せて、通行料にニクの分も併せて銅貨2枚を支払うと、門番はすんなり門を通してくれた。
 さて、急いで戻るとしよう。
 門番が見えなくなったら布の服ゴーレムに頼んで全力疾走だ……筋肉痛で足が痛くて涙出そうだわ。

今回で2章は終了です。1話閑話を挟んで3章になります。GWに書き溜めた分がなくなりましたので、投稿ペース落ちるかと。
閑話は隔離されました。シリーズからどうぞ。
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