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最終関門

(急いで書いたので、後で書き直す可能性もあります)


 セツナが生まれつきアレがついてる特殊な女の子であったという事が分かった。

 ……いや、レオナがさらにそう誤認させてるという可能性も。例えば約束は守ったけど「なんとかすると言っただけで元に戻すとは言っていない」とか、そういう言い回し的な。


 まぁそこは俺には関係ないところか。別にセツナをベッドに連れ込むわけではないのだから。


「で、ケーマ。あとはどうするの?」

「セツナにレオナをぶっ叩かせる中間目標は達成したわけだからな。もうちょいレオナを楽しませたら、出て行ってもらうだけさ」


 さて、レオナをもう少しもてなしたらいよいよレオナ追い出し作戦の最終関門と行きますかね。


  *


 ドラゴン池とかいう、足場の崩れるマグマの海の関門――どういうこだわりか、ここだけは本物のマグマを使用してみたとのことで立ってるだけでもかなり熱かった――をレオナたちはそれを軽く越え、『最後の関門』の部屋に入った。

 部屋の中は真っ暗でスポットライトを浴びたゴーレムだけが見えていた。


『さぁ、いよいよ最後の関門となります。これまでの得点は……おおっと! なんと過去最高得点の960点だー!』


 ゴーレムがマイクを構えながらぶんぶんと腕を振り回しつつ言う。いよいよ最後となると、少し名残惜しいところもあるが――


「ねぇお姉さま。得点なんてあったっけ?」

「なかったような……そもそも過去最高といっても私達は新しく作ったフロアの動作確認という話だったと思うわよ、ミチル」

「まったく。2人とも、細かい事は気にしちゃダメよ?」


 特に理由のない得点はさておき、レオナたちは最後の関門に身構える。

 カッ、と部屋の明かりが灯り、最後の関門が姿を現した。


『最後の関門、それは……○×クイズ!』


 通路のようになっている先に門が2つ。それぞれ『〇』『×』と書かれた紙の扉によって閉じられている。


『これからいう問題について、正しいと思ったら〇の門に、間違っていると思ったら×の門に飛び込んでください!』

「おお……! ちなみに、外れの門を選ぶと、小麦粉? 泥水?」

『ダンジョンの外へ直通の落とし穴になっています。その先は砂なので、多分怪我の心配はないですよ。目に入ると痛いですが』


 ふむ、とレオナは何かを考えているようだった。おそらく、正解するか失敗でおいしくするかを考えているのだろう。


『そして3人中2人が正解した場合は、なんと1000点を超えるので――サキュバスの皆さんが大好きなナス1年分をプレゼント! さらに副賞として、石で作った巨大なナスの牛が贈呈されます!』


 お盆によく見る「ナスに割りばしを刺した牛」デザインの、実際に牛くらい大きな石像を台車に載せて引っ張り出す。それを見た反応は、レオナはどん引きで、サキュバスの2人は大はしゃぎだった。


「おナスですか!」

「あっ、あらやだ、あのナスの牛、……すごく大きいわ」

『ちなみにこちら、ナスケースとなっておりまーす』

「「おおー!」」


 パカ、と正面の小窓を開くと中にナスが入っており、特に何事もなくそれだけだった。


「……これは正解するしかないですね!」

「……これは外すしかないわね……!」


 ぐ、とレオナとスイラはそれぞれこぶしを握り締める。

 そしてお互いを見て目を合わせた。


「……レオナ様。おナス1年分はとても魅力的かと。毎日ナスが食べられるとか、サキュバス村の皆も大喜びでしょう」

「くっ、御免(こうむ)るわ!」

『ん? なんだなんだ喧嘩か? 折角仲良く最後の関門まで来たんだからよしてくれよ。それとも、レオナはいっそこのまま旅立つか? 今なら旅行セットをタダで付けちゃうぞ? ポータブルオセロのオマケつきだ』

「……それもいいわね。スイラ。もし2人が正解するようなら私は村に帰らないわよ? 少なくともナスが消費され切る1年間はね!」

「安住の地を探す私たちの旅でしたが、それならこれでお別れということもあり得るのですね……!」


 ゴーレムに軽く煽られ、売り言葉に買い言葉をノリノリで返すレオナ。


『それじゃ、旅行セットをハズレの方に置いとくから好きに使ってくれ』

「ふふふ。それで、問題は?」

『おおっと! えーっと、回答はセットの都合上、一度しか回答できないので3人同時に各々正解だと思う方に飛び込んでください……それでは出題です!』


 レオナに急かされて、ゴーレムは問題を読み上げる。


『このダンジョンの名前は、『希望の洞窟』である、○か×か!?』


 さぁ回答してくれ、とゴーレムは道を空ける。

 ……だが、レオナ達3人は、仲良く首をかしげていた。


  *


 と、非常に分かりやすい○×クイズを出してみたわけだが、スイラとミチル、そしてレオナすら首をかしげていた。


『……ええと。何て名前でしたっけ?』

『知りません!』

『うん、地味に難しい問題を出してきたわね……うろ覚えよ?』


 折角、レオナが姿を消しても何ら問題は無い言質を得て、さらにレオナが自ら旅立ってくれる宣言をするという好条件に恵まれたというのにまさかの正解が分からない……だと?


「ねぇケーマ。この問題って『×』よね?」

「おう、そうだ。……まぁロクコなら知ってて当然だけど、その、そんなに難しい問題だったかな?」

「案外、自分の住んでる場所の名前って使わなきゃ気にしないんじゃない? ダンジョン内に住んでる分には、ダンジョンの名前知らなくても別に生きていけるわよ」


 そんなもんなんだろうか?

 しかしヤバイ。しまった。なんてこった。作戦の成功率がいきなり50%に落ちてしまった。これは何とかしなければならない。


『そういえば一度だけ聞いた事があるわ。このダンジョンは……うん、ナントカの洞窟、って名前だったのは確かよ』

『なるほど、つまり希望の洞窟というのは正解である可能性が高いと!』

『じゃあ私はおナスのために『〇』に突っ込めばいいんですね!』


 と、クラウチングスタートをしようとするミチル。俺は慌てて止めることにした。



  *


 今にも走り出しそうなミチルを、ゴーレムは手で制した。


『おおっと、待つんだミチル。本当にそれでいいのか?』

「えっ、どういうことですか?」

『ヒントも聞かずに、答えを決めてしまっていいのか?』

「ヒント! あるんですか! 教えてください!」

『いいだろう。そっちの2人も聞くといい――』


 と、ゴーレムは少し考える。


『――この洞窟には、様々な罠が設置されているんだ。その中でもこの洞窟の名前を決める元となったトラップが、台座に刺さった剣を引き抜くと出られなくなる部屋だ。そのトラップはとある2人の冒険者が――』


 そして、話をしている後ろ――ゴーレムが背中を向けていて見えない所――で、クレイゴーレムがこっそり現れた。

 そして、『×』の門の前に立ち、腕で『〇』を作る。

 次に、今度は『〇』の門の前に立ち、『×』を作った。


『ん? 後ろに何かあるのか?』


 レオナたちの視線を見てゆっくり振り返るゴーレム。しかし門の前のクレイゴーレムはその前に隠れて消えていた。


『なんだ、なにも無いじゃないか。ええとどこまで話したか――』


 ゴーレムが再び門に背を向けると、クレイゴーレムも再び現れて、念を押すように先ほどと同じジェスチャーをする。そして、今度こそ消えていった。


『――というわけだ。分かったか?』


 ゴーレムが念を押すように聞く。

 なるほど、とレオナは頷いた。


 そして、改めて3人は走り出し――スイラとミチルは『×』に、レオナは『〇』に飛び込んだ。



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