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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

気まぐれな災厄

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レオナという存在 (2)

(本日2話目。前のを読んでない人は注意ね)
「『ラスボス』になりたいのよ」

 大事なことだからか、レオナは2回言った。
 どういう意味だ。と、尋ねようとしたところでレオナは言葉を続ける。

「私はね、私の持つ力を好き勝手に自由気ままに身勝手に無慈悲に無責任に、何の謝罪も理由も代償も迷惑も都合も何もかも考えずに、使いたいの。私が楽しむ、ただその一点だけにね。……つまり、この世界で一番好き勝手できる、ラスボスになりたいのよ」

 ふふふっ、とレオナは嬉しそうに笑う。そして、まだ止まらない。

「近年、ラスボス側にも事情があって『実は良いヤツだった』とか、『仕方がなかった』とか、『悪いのは人類側だった』とかあるじゃない? アレはダメね、私の好みじゃないわ。ラスボスっていうのはね、もっと欲望の赴くままに力を振るうのが良いのよ。敵対者は(ことごと)く蹂躙し、侵し、犯し、奪って食い散らかして、通った後にはエノコログサすら生えない。そんな絶対者に私はなりたいの」

 つまり、完全なる私利私欲の結晶。それがレオナのいうラスボスという存在らしい。

「この世界には魔王も居るし、神だっている。まぁ魔王といってもダンジョンコアだし、破壊神が光の神で闇の神が邪神だし、創世神は何もしない。あいつら全然ラスボス感ないでしょ? じゃあ私が成ってもいいよねって。そいうこと」

 そいうことらしい。まぁ、理解はしない方がよさそうだ。

 ……って、光の神は破壊神で、闇の神が邪神ってなんだよ。初めて聞いたよ。創世神とかも居るのかよ。実在するレベルで。さらりととんでもないことを言うなぁ。

「ああ、私にもポリシーはあるわよ? 多少の縛りプレイはゲームを楽しくするもの」
「……一応聞いておこうか。どんな縛りプレイをしてるんだって?」
「うふふ、色々あるけど簡単にいえば……気に入った子は可愛がる(・・・・)ようにしてるの。殺したりなんてしないし、むしろ死なないように祝福をかけちゃうくらい」

 呪いの間違いじゃないのかな。

「その子が強く賢くになるように手間暇かけて教育だってしちゃうわ。いつか私を殺せるといいわねって。で、私を殺せるくらい強くなったら、収穫するの。……ああ楽しみ! いつか私を殺せるほど強くなったお気に入りを、私に怨嗟(えんさ)のこもった罵詈雑言を放つ以外なにもできないペットにするのが夢なの! そこからとろける程に愛したら、どうなっちゃうのか見たいわ……ハァハァ」
「ぶっ飛んだ愛情だな、ドン引きだよ。そういうのヤンデレっていうんだっけ」
「桂馬さんも私のペットに立候補するなら、極限まで強くしてあげるわ。どう、契約する?」
「生憎だが俺は遠慮しておくよ」
「そう、残念。悪魔に魂売ってでも強くなりたい人って意外と多いんだから。私が話を持ち掛けて契約を結ぶ確率、80%よ? あ、約束は守るわよ私。それも私のポリシーだから」
「……レオナは悪魔なのか?」
「あらやだ、こんな可憐でか弱い人族の乙女を悪魔だなんて。褒め言葉よ。まぁ一部の邪教では『混沌神』とか呼ばれて(あが)(たてまつ)られたりしてるから、悪魔で間違いないかもね」

 だめだこいつ、早く何とかしないと。……でも、何も手が出せなくね?

「じゃあ、次は桂馬さんの番よ。私と同じような立場のあなたは、この世界で何を望むの? 世界の半分が欲しいなら私の仲間にしてあげてもいいけど」

 同じような立場というのは、ダンジョンマスターで勇者という、本来敵対するはずの2陣営に同時に属している状態の事だろう。
 しかし俺の望みか。そんなの、決まっている。

「世界の半分だなんて、そんな大それたモンはいらないさ。俺は心穏やかにぐっすり寝たいだけだ」
「あら素敵。素朴でいい夢だと思うわ、クッソつまらないという点を除けば」
「そいつはどーも。レオナの夢も非常にはた迷惑だという点を除けば最高な夢だとおもうよ」
「言われてみればそうね。私達、友達になれそう! むしろもうマブダチよね!」
「友達料は払わないし契約もしないぞ?」
「あら残念。まぁ、ハクちゃんがせっせと払ってくれてるからいいか。ここはハクちゃんのお気に入りだから壊したりはしない約束してるし」

 友達料、払ってるのかハクさん……ああ、もしかして昔言ってたダンジョンを襲わないと狩られるから、って言ってたの、もしかして……いや、止めておこう。俺の勝手な想像に過ぎない。

「それじゃ、しばらくはあそこ借りて生活してるから。たまにこうして出歩いたりするけど、文句ないわよね?」
「……レオナは一応人間みたいだから出歩くのは構わないけど、トラブルになりそうな余計な事は言わないでくれよ? レオナの孫たちにもな」
「サキュバスたちも、いろいろ隠せば人間と変わらないわよ。そこのウェイトレスさんみたくね……あら。攻撃力0とか何あの子、すっごい面白そう」
「やらんぞ」

 と、レオナは再び指をパチンと鳴らした。周囲の喧騒が戻ってくる。

「それじゃ、ご馳走様。今度の差し入れはお米がいいわね」
「考慮しておこう」

 食べ終えた食器を返却口に運び、レオナは食堂から出て行く。

「……っぷはぁぁあ、死ぬかと思った……」

 どっと汗が噴き出る。
 【気絶耐性】がOFFだったら倒れてたかもしれない。
 ……今後は宿内でも【超変身】を使っておくようにしないとな。俺は冷めてしまった晩飯を食べ切って、部屋に戻った。

 ちなみに、サキュバスの餌食となったセツナとナユタは、翌日の朝、虚ろな目をしてダンジョン前に転がっていた。まぁ転がしたのウチのゴーレムだけど。風邪ひくなよ?

(レオナの狂気に触れてしまったあなたはSANチェックどうぞ)
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