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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

気まぐれな災厄

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レオナという存在 (1)

(今回、1話にしては長く、2話にしては短い内容に。……そうだ、間を取って2話に分けて1日で投稿しよう)

 思わず手が止まる。
 何でレオナがここに居るんだ。サキュバス達と一緒にダンジョンの奥に居るんじゃなかったのか。【超変身】は使ってなかったから、殺されたら終わりだ。とりあえず【気絶耐性】をONにしておく。

「Cランク定食お持ちしました、混んでるのでご急いでどうぞー」
「おっ! これよこれ、話を聞いて食べたかったのよねー」

 今日のCランク定食は、豚の生姜焼き。パンではなくごはんだ。
 レイが、俺の心の滝汗を知る由もなくレオナの前にCランク定食を置いて行った。「ご急いでどうぞってなんだよ適当な言い回しだな、あとタスケテ」と心の中で呟くが当然伝わるはずもない。
 そもそも攻撃力0のレイにレオナをどうこうする力はない。むしろ逃げて。

「うふふ、お米なんて何年ぶりかしら? 前に食べたのは17歳の時だから……ああ、つい最近だったわね、てへ♪」

 その17歳ネタは持ちネタなのか。
 ……と、とりあえず俺はまだレオナと直接会ったことは無い。あくまでたまたま抜け出して、偶然俺の席にやってきたという可能性があるしな。どうやって抜け出したかは知らん。現実に目の前にいる以上、とにかく抜け出したんだろう。

「で、ゴーレムさん」
「ぶごふっ」
「あ、桂馬(・・)さんのほうがいいわよね」

 うん、バレテーラ。完全に分かってるねこれ。
 名乗ってないのに名前知られてるのは村長だしまだいい、イントネーションが完全に日本語なのもギリギリ許そう。けどゴーレムさんはアウトだ。

「はっははは……命だけは勘弁してください」
「何いきなりこんな可憐な女の子に命乞いしてるのかしら? 大丈夫、今日は話をしたかっただけよ――【隔離】に【偽装】っと。はい、これで周りからは和やかに他愛のない話をしてるだけにしか見えなくなったから、ぶっちゃけ話もOKよ?」

 レオナが指をパチンと鳴らすと、周りからの音が聞こえなくなった。どうやらスキルで密談できる空間を作り出したらしい。……これは助けを呼べない、ということでもある。

「ええと」
「今日はお友達になりに来たのよ。だから敬語はいらないわ、ゴーレムさんの喋り方でいいから。……次に敬語使ったらデコピンね?」
「……わかった」

 レオナはにこにこ笑っている。いや、ニヤニヤの方が適切か?
 とりあえず、頭が消えそうなデコピンは勘弁してほしいので敬語は封印する。

「ああ、私のスキルを疑ってる? なんなら部屋に移ってもいいけど、私、初対面の男性にホイホイ誘われて部屋に連れ込まれるほどお安い女じゃないの――」
「今日は俺の奢りだ! みんな、好きに飲み食いしてくれ!」

 俺は叫んだが、食堂で飲み食いする奴らは気にもせず、何事もなく食事を続ける。

「……なるほど、反応がないな。よし、いいだろう。信用する」
「へぇ、面白いじゃない。そういう確かめ方は初めて見たわ、たすけてくれー、ならあったけど」
「で、何の用だよ。というか、俺の正体をどうやって知ったんだ?」
「あら、せっかちな男は嫌われるわよ? ……まぁ先に言っとくわね」

 レオナは、自身の赤い目を指差して言う。

「私、【超鑑定】もってるの。……全部見えてるわよ?」

 鑑定系スキル。存在はすると思っていたが、超がつくということは勇者スキルか。

「ふふふ、定番でしょ? あのゴーレムの個体名がウーマで、製作者が桂馬さんだっていうのも全部お見通しってわけよ。あと17歳の私より年上ってこともね」
「……定番かどうかは知らないが、俺は鑑定系を持ってないな」
「そ。なら【超変身】で私に変身すれば一片(いっぺん)くらいは味わえるかもね」

 俺の勇者スキルも看破されているとは……【超鑑定】か。恐ろしいスキルだ。
 俺の事も 『職業:村長(ダンジョンマスター兼勇者)』みたく出るのだろうか。
 使われる方としては何が何だか分からないうちに自分を見透かされてるってわけだ。隠し事ができないとか、たまったもんじゃないね。

「ああ、でも私に変身するのはおススメしないわ。多分、発狂して死んじゃうから。……Lv3なら1回リスポーンで済むかしら」
「……発狂するって、凄いな。何がどうなってそうなるんだよ」
「私の能力のこともあるけど、ちょーっと呪われててね。私は【呪術吸収】があるから平気というか元気になるくらいなんだけど、私の姿になるとその呪いがそっちに流れるってだけよ」

 マジかよ。……セツナ達の時と違って、ある程度事前情報があったから【超変身】でレオナに変身するのは試してなかったけど、助かったな。

「呪われる心当たりは?」
「あなたは自分の食べたお肉のグラム数を記録する趣味はおあり? 私は無いわ。つまり、そういうことよ。うふふ、全世界から呪われるほど想われるとか、ゾクゾクしちゃうわね」

 山ほどあり過ぎると、そうか。

「で、最近どうよゴーレムさん?」

 レオナは気安く、世間話をするように俺に質問をする。

「ゴーレムさんじゃなくて、村長さんとでも呼んでくれ……そうだな、今は目の前に放し飼いのライオンが居る気分だよ」
「まぁ、ただのライオンだなんて可愛いわね。あ、私の事も『れおなん♪』って呼んでちょうだい? 恋人のように、親しみと愛を込めて」
「れおなん、俺は恋人や年下を呼び捨てで呼ぶタイプなんだが」
「じゃあ呼び捨てでいいわ、桂馬さん」

 むぐもぐ、と豚の生姜焼きを食べつつごはんをかっ込むレオナ。

「っかぁー! やっぱりお米は日本人のソウルフードよね! なんでこっちの世界にお米なかったのかしらね? 練成しようとしても上手く行かないものだから諦めたのよ、石コロをオリハルコンにするほうがよっぽど簡単。お米は【超錬金】のLv10レシピにも載ってないのよ? 賢者の石なんかLv1で載ってたってのに。まぁ賢者の石(そこ)から派生するのが【超錬金】なんだけど」
「あー、やっぱり日本人、なのか?」
「あら。桂馬さんもでしょ? 私の目が赤いのはスキルの影響ね」
「【超マッサージ】か? それとも【超鑑定】?」
「セツナから聞いたのね。違うわ、【魔力視】系の一般スキルよ。これがあるとダンジョン領域の魔力の流れとかも見れるわ……たしかハクちゃんも持ってたわよ? ハクちゃんの目が赤いのは元からっぽいけど」

 やばい、色々知らなくていい事まで知ってしまいそうだ。このまま消されるんじゃなかろうか。

「そう怯えなくてもいいじゃない、日本人同士で話をするのが楽しくてつい口が軽くなってるだけよ。……で、桂馬さんはいつこっちにきたの?」
「……1年くらい前だな」
「私は500年くらい前かしら。けど不老だから年齢は私の方が年下だからね? あらやだ、女性に年齢の話させないでよね、デリカシーが無いんだから」

 勝手に話しておいて何をいうのか。

「レオナの年齢に興味はないから安心してくれ」
「そっかそっか。ガチロリにしか興味のないロリコンだっけ? あ、この情報はサキュバス対策のデマだって話だったかしら、すっかり騙されちゃったわ。評価大幅アップよ」

 騙した覚えはないけど、勝手に騙されていたようだ。評価が上がって良かったのか悪かったのかは分からないけどな。

「単刀直入に聞こうか。目的はなんだ?」
「私の目的? んー、そうね。教えてあげるわ」

 レオナはにんまりと笑い、少し勿体を付ける。
 その瞬間。ぞわり、と空気の色がドス黒く変わるような気配がした。


「『ラスボス』に、なりたいのよ」



(次の投稿は12時です)
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よろしければ文庫1位のところに以下のように記入してみてください。

タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
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