尚、匿う気などさらさら無い
(ニコ生でパタリロの一挙放送のTSを見てたら予定より遅れました、すみません)
ダブり、そういうのもあるのか。
神の寝具って、てっきり某玉のように世界に1つずつしかないもんだと思ってたけど、そんなことはなかったか。
そりゃ『神の』とはいえ寝具だもん、換えもあるさ。……某玉も別の星で違う玉あったもんな。
『お、おう。神の掛布団か。あったかそうだな』
「ゴーレムに温かいも冷たいも……あるの?」
『気分の問題だろこういうのは』
いや、ダブってもロクコのとは別に俺用ってことにすれば全く問題ないんだけどさ。
2つ同時に使ってみるとどうなるんだろうか? とか言うのも気になる。
『神の寝具、他にはどんなのがあるんだ?』
「掛布団の他には、枕、敷布団、毛布、ナイトキャップ、パジャマ、下着があるらしいわ」
『えーっと、下着って寝具なのか?』
「パジャマの下はすっぽんぽんで寝るの? それはそれでアリね」
まぁ、寝具かどうかと言われたら、ギリで寝具か。〇ャネルの5番とかより寝具っぽい。
「それはさておき、私たちは防衛戦力って事でいいの?」
『そうだな、とりあえずは防衛の待機任務ということで。まぁ、いまのとこここまでくる冒険者はいないから気楽にしててくれ。ところで、念のための護衛は要るか? レオナは相当な実力者のようだから要らないか』
「そんな! こんなか弱い私じゃ不安なのでオリハルコンゴーレムの5、6体でも置いてくださいよ」
どの口がそういうのか……ちなみに今のレオナの1日当たりのDPは5000DPである。勇者4、5人分はあるな。
『さすがにそれは過剰すぎる……アイアンゴーレム10体をよこそう。ここにくる冒険者なら大体はそれくらいで何とかできるはずだ』
「鉄材欲しいから1体バラしていい?」
『……まぁ1体ならいいぞ』
設備も無いのにどうするんだろうか。そこも気になるところだな。
とりあえず会話を切り上げ、帰ることにした。
そしてロクコを見ると、マスタールームの床に突っ伏していた。
またか。
「……ロクコ、大丈夫か?」
「大丈夫……ちょっと足腰に力が入らないだけよ。むしろ血行はいいわ」
レオナめ、ロクコにまるで腰砕けになるまでマッサージをしたかのようじゃないか。一体どんな攻撃手段なんだ……。
「た、たぶんDPよ。ハク姉様にDP受け渡しの練習してもらった時の感覚と似てるわ」
「なるほど」
ますますダンジョン関係者の可能性が高くなったな。……と、そういえばセツナの親はダンジョンコアだったか、そのつながりもあるならダンジョン関係者ってのはほぼ確定でいいかな? でも、それならハクさんがダンジョンの事話すなというのはどういうことなのだろう……
俺はロクコをオフトンまで運んで寝かせてやる。といってもメニュー機能の配置でロクコの部屋のベッドまで送るだけだ。
神の掛布団ならひと眠りすれば体力魔力共に全回復するし、大丈夫だろ。
*
レオナの情報を早速セツナにリークすることにした。
見返りとしてレオナの正体について教えてもらおうじゃないか。
こっそりとセツナの部屋に「レオナの情報を掴んだ。1人ですぐ来い」と手紙を置いた所、すぐにやってきた。シフトが入っていなかったとはいえ急いできたな。
旧謎解きエリアの一角、『強欲の宿屋』の小部屋にやってきたセツナは、早速こちらの指示に従ってやってくるなりレオナについて聞いてきた。
「で、おばあちゃんの情報を掴んだ、って?」
『うむ。ずばり、レオナの所在だ』
「……それ、本当にウチのおばあちゃんのレオナ?」
『一応そっちから聞いた情報とは合致している。より詳しい情報が必要だ』
と、一応こちらで見つけたレオナの外見について説明する。
一通り聞いたところで、セツナは神妙にうなずいた。
「……ポニテかぁ、おばあちゃんの好みの髪型だね。わかった、おばあちゃんの正体について教えるから、そのレオナの目撃場所を教えて。みんなには悪いけど、場合によってはすぐに追いかけなきゃ……」
『先に居場所を教えてもいいんだが、保証が無いからな。正体を教えてくれ』
「わかったの」
こくりと頷くセツナ。いよいよレオナの正体が分かるのか……
「おばあちゃんは……ダンジョンコアなの」
『ほう、同業者だったか。……うん? でもそれは俺に隠す必要のある正体だったのか?』
「ダンジョンコアなんだけど、その、ただのダンジョンコアじゃないっていうか……えーと、その。ダンジョンマスターでもあるらしいの」
ダンジョンコアにして、ダンジョンマスター。……最初にあったときのロクコみたく、自称ってことか?
とりあえず、ダンジョンマスターの名称が出る時点でダンジョン関係者であることは確定か。
「で、凄く言いにくいんだけど……勇者でもあるんだって」
なるほど、勇者か。
……まて、勇者とダンジョンマスターなら分かる。俺がそうだからな。
けど、ダンジョンコアで勇者ってどういうことだ?
『勇者を自称しているのか?』
「ううん、ちゃんと神様から認定された本物の勇者らしいの。黒髪がその証拠だって言ってた……ダンジョンコア相手にボクが勇者の子孫っていうのは、その、あれだけど。き、危害を加える気はないから」
『まぁそれはいい。こっちを信用してくれているのは分かってる。……で、勇者の子孫、じゃなくてか? 勇者は黒髪黒目だと聞いたが』
「目の色は、所持スキルの副作用で赤くなってるんだって」
『へぇ』
目が赤くなる副作用のあるスキル、か。どんなスキルだろうか。見る系っぽいか?
……あ、もしかしてハクさんの目が赤いのも? いや、今はいいか。
『なんてスキルだ?』
「【超マッサージLv10】だって言ってた」
『……は?』
【超○○】て付いてるってことは勇者のスキルだとして、マッサージて。しかもLv10て。ふざけているとしか思えない。
「本当かは分からないけど、勇者のスキルらしいよ?」
『本当だとしたら、よく分からんが怖いな……なんでそれで目が赤くなるんだ』
「相手のコリを視れるらしいよ?」
『お、お、おう』
デマであって欲しい所だが、レオナと会話した後のロクコの様子を思い返すと何とも言えない。
『で、その、勇者でダンジョンコアでダンジョンマスターっていうのはどういう意味だ?』
「なんでも、スキルで【超錬金】っていうのがあるらしくて……その、混ざってひとつになったらしいよ? 勇者と、ダンジョンコアが」
『……は? な、何でそういう事になるんだ』
「どうしてかは知らないけど、そう言ってた」
つまり、レオナは――セツナの言っていることが本当なら、ではあるが――光と闇が文字通り合わさり、とりあえずヤバい存在、という事か。
俺の上位互換かな? はっはっは、はぁ……
「で、おばあちゃんの所在は?」
『ああ。先日このダンジョンに来た。……今はここのエリアよりさらに奥に住居を作って、住まわせてる』
「……え? ここに、いるの!?」
セツナは驚愕で声を荒らげた。無理もない。
『いる。ぶっちゃけ出ていって欲しいんだが、お前のことを考えたらその方が良いと思ってな。足止めしている……今は大人しいが、いつまで足止めできるかは分からん。会いに行くなら早めに会いに行け。ナユタと2人で行く分には邪魔しないでやる』
「わかった。……おばあちゃんが居るとしたら準備に少し時間がかかるけど、2日以内なら」
『ついでに、足止めしてるんだ。サービスでお前の目的でも教えてくれ』
「わかった。ボクの目的はね、おばあちゃんにボクの体を元に戻してもらうことなの」
そう言ってセツナはにっこりと笑った。
(あ、4巻表紙を公開。活動報告に上げときました)