2つ目の神の寝具
(はがオケやってたら遅れたのはここだけの秘密)
レオナを含むサキュバスを横道を使ってダンジョンに誘導する。
というわけで裏口を作ってそっちから入ってもらうことにした。
「念のため、まず様子見させてもらうわ」
『当然だな。いいだろう』
ちゃんと住居があるかをスイラ自らが確認し、裏口を戻って問題なかったことを伝える。
寝床がちゃんとしてなかったら困るもんな。
……あ、俺が騙してて『やっぱり殺す』ってなったら困るから? そっちかー。信頼度とか考えたら当然だよね。
そして今度こそレオナを含むサキュバスをダンジョンに誘導した。
前は居なかったミチルも一緒だ。レオナの服の端をきゅっと掴んでビクビクしてる。
他のサキュバス達の服はほぼ紐だから、掴めるのがそこしかないんだろうか。
と、サキュバス達は罠を警戒していたが、レオナは構わず先頭を歩く。
……罠があろうが踏み壊す勢いだな。
ちなみに罠は一応あるが、許可していないヤツが紛れ込んだときのみ発動するセキュリティ用だ。……サキュバスごと始末すればレオナを殺せたか? いや、レオナが転移系のスキルでも使って逃げたら分からないか。
「特に罠はありませんでしたね。途中に部屋がいくつかありましたが」
「ちぇ、つまらないわね」
なぜ残念そうなのか。……って、それこそ罠が来てもどうにかできるという自信の表れか。ここはまだ手を出せる状況じゃないな。
そして、草原エリアに出る。12個並んだコンテナハウスを見て、あらかじめ見たスイラ以外は驚いていた。
レオナがこちらを向いてニッコリ笑った。
「このたびはこんなに良い住居を用意していただき、ありがとうございますゴーレムさん」
『ああ、うん。何か必要なものがあったら言ってくれ。用意できるかは分からんが』
レオナ、未だに1日当たりのDP量ころころ変わってるんだけど。今は2480だが、さっきは0になった時もあった。なんだよもぉ、あまりに変わり過ぎるもんだから測定不能すぎるだろ。
というかこれ、ダンジョン関係者の線もあるよなぁ……ハクさんの知り合いっぽいし……ダンジョンのこと話しちゃいけないって言ってたけど……
「これほどまでに良い物を頂けるなんて、ああ素敵。連れ込み放題ね」
『ダンジョンだから人は来る可能性あるけどさ……まぁ、そいつらは適当に構っていい。ただし殺すのは無しだ、生かして返してやれ』
「身包み剥いでもいいのかしら?」
『……やり過ぎないようにしてくれよ? 最悪、下着だけは勘弁してやるように』
「ええっ、そこ一番おいしいトコじゃないの!」
『どういう意味でおいしいんだかは知らんが、それなら上着は残してやってくれ。意識ない状態でそこに転がしといてくれれば、ゴーレムに運ばせてダンジョン前にお帰り頂くから』
「はーい」
と、レオナは大人しく返事した。他のサキュバス達もそれに従うようだ。
『あんまり人は来ないだろうから普通の食糧も置いておく』
「ありがたいわね。……それにしても、お風呂にトイレまであるなんて至れり尽くせりね。何か企んでない?」
『今のところは別に。企むのは、これからどうサキュバスたちを運用するかって所だな』
「あらま、まさかのノープラン。そりゃこの私の目をもってしても見抜けないわけね」
レオナの赤い目がなんだって?
……うん、とりあえずセツナにダンジョン側からどうにか連絡つけて、居場所をリークするくらいはしておこうかなってくらいだ。
「そうだスイラ。お礼にアレあげちゃってもいいかしら」
「アレ、といいますと……レオナ様、もしかして」
「ええ、サキュバスの秘宝、『神の寝具』を差し上げようかと」
……『神の寝具』だと?
この前のダンジョンバトルで『父』から『神の寝具』シリーズの『神の掛布団』を貰ったのは記憶に新しい。尚、ロクコ専用のためロクコが使っている。
俺もロクコと添い寝する形で一度だけ使ったことはあるが、素晴らしい寝心地だった。
「ああ、ゴーレムさん。『神の寝具』というのは、全て集めればあまりの至高の快眠っぷりに神に至るといわれるほどの寝具なのです」
神レベルの至高の快眠……やはり魅力的だな。
これを機に集めてみるのも良いかもしれない。というわけで、貰えるならぜひ貰いたいところだ。
しかし、そんなレオナをサキュバス達が止める。
「お待ちくださいレオナ様! 神の寝具はサキュバスの秘宝、あまりに強力なアイテム故に厳重な管理が必要なものなのです!」
「そうですレオナ様! レオナ様だからこそお任せできる品なのです! それを昨日今日知り合ったばかりのゴーレムさんにお渡しするのはさすがに容認しかねます!」
「まぁまぁ。……ゴーレムには睡眠は必要ないですから、ゴーレムさんに管理してもらった方がある意味安全ではないかと思うんですよ。それに、ダンジョンの奥深くに仕舞っておく方が『それっぽい』でしょう?」
それっぽい、って。……確かにお宝がダンジョンの奥深くにあるのはそれっぽいけど。
……欲しいなぁ。神の寝具。
サキュバスの秘宝とかいうヤツは、いったいどんな寝心地なだろうか。
っと、ここでがっついてはいけない。あくまで興味がない風を装い、ごく自然な流れで神の寝具をゲットしたいところだ。
『まぁ、こちらとしてはどちらでもいいが、強いて言えば貰えるものは貰っておきたい。神の寝具とか一度見てみたいな、ちょっと興味あるぞ。というか俺でも使えるヤツなのか? サキュバス専用アイテムとかいう縛りがあって使えないとかさ、もしそういう制限があるんだったら聞いておきたいんだけど』
「うわ、ゴーレムさんすごい食いつき」
「見てくださいレオナ様、明らかに欲しがってますよ! ゴーレムなのに!」
な、なぜ俺が欲しがっているとバレた。ゴーレム越しで表情とかも読まれないはずだというのに。
『何を言ってるんだ。誤解だ、俺はちょっと神の寝具の性能と寝心地に興味があるだけで、決して悪用する気はないぞ! 純粋に寝具を使ってみたいだけだ!』
「……とりあえず、お礼にするには十分そうよね?」
「いやしかし、やはりサキュバスの秘宝ですので、安易に渡すものではないでしょうレオナ様。悪用される恐れもありますし……」
なんかサキュバスたちからの視線が痛いものになってきたぞ、使うのはダメってことか? くっ、なんということだ! 寝具は使ってこそだというのに!
「まぁまぁ、とりあえずゴーレムさんにあげたらゴーレムさんが好きに使ってもらってもいいと思うのよね、むしろゴーレムさんがどう使うか気になるし」
『……おお……! 話が分かるじゃないかレオナ』
「しかし、確かにスイラたちが言うようにまだゴーレムさんに神の寝具を進呈するには知り合って間もないし、保留としておきますかねー」
『……くっ、し、仕方ないな。まぁ今はお互い知らないことだらけだ、信用できないのも仕方がない。で、その、いつぐらいになったら仕方なくなくなるのかね?』
「さぁてね。ま、そのうち仲良くなったと実感できたら差し上げてもいいと思ってますよ?」
そしてレオナはニコリと笑って言う。
「そう、サキュバスの秘宝にして神の寝具、『神の掛布団』をね!」
ダブったー。
(略称について色々情報ありがとうございます。あ、公式では「ダンぼる」と言い張っときます。
尚、2chはたまに見に行ってますが、うちの話題はありませんので平穏なもんです)