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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

正体不明の姉妹

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ちょっと改装

 謎の姉妹セツナとナユタについては一旦指示とやらが来るまでおいておくことにした。
 一応ハクさんやイッテツ相手に情報収集というのも考えたけど、リンの時と違ってそれほど緊急性がある訳でもない。ここは借りを作るより自分で情報を集めるべきだろう。入手DPが0になる条件はともかく、『トイ』とかはダンジョン関係ない可能性の方が高いしな。

 というわけで、久しぶりにダンジョンの方に手を入れてみることにした。
 ダンジョンだが、現状をおさらいしよう。
 入口の方から玄関エリア、迷路エリア、元謎解きの空エリア、螺旋階段を下りて倉庫エリア。そして倉庫エリアからは3つに分かれている。
 闘技場やボス部屋に通じる新謎解きエリア、行き止まりの野営向け草原エリア、ロクコの作った火炎窟へ向かうフェニの箱庭エリアだ。
 ちなみにボス部屋の奥、コアルームには隠し天井があり、そこにネルネの研究室もあるが、それはまた別の話。

 さて、ここで今回の改修だが、今回作るのは2点。

 まずは倉庫だ。
 いままで倉庫エリアを物置代わりにもしていたのだが、今後冒険者が倉庫エリアに入ってくるのでこれはあまり良くない。というわけで、今度こそ誰も来ないところにちゃんとした倉庫を作ろうと思う。『倉庫エリア(真)』。この倉庫は完全に外部から隔離する。レイに任せているゴロツキ人間牧場と同じように。……ぶっちゃけアレもういらないよな。村できちゃっててそっちの収入大きいし。それに、今回つくるもう1個の施設があればますます不要になるんじゃなかろうか。

 というわけでもう1点。こちらは旧謎解きエリアを改装する。
 リンに破壊されてからそのままになっていた旧謎解きエリア。
 いまは丁度誰もいないので改装できるチャンスだ。以前ふと思いついたギミックをここに設置しようと思う。
 とはいっても、妨害施設を作るのではない。隠し通路を発見したという体裁で脇道に小部屋を作るのだ。しかしここ、何気に『火炎窟』にギリギリの位置なので大きな部屋は作れない。では、その小さな部屋が何かというと。

 DP回収部屋だ。

 DP回収と言っても人殺しをするわけではない。基本はただの『牢屋』だ。人が1人か2人は入れるトイレの個室程度の牢屋を複数設置した。ここにそれぞれ人を閉じ込めることで、閉じ込め効果×牢屋効果で合わせて1日あたりのDPが6倍になる。
 で、この牢屋はどうするのかというと、ここには冒険者に入ってもらうのだ。
 無論タダでこんな怪しい小部屋に入るヤツはいない。なので、報酬を払う。
 DP収入を金銭を含むアイテムで還元する。といっても返還するのはごく一部だけだ。

 もともと1日50DPのやつが牢屋に籠れば1日300DP。そうすれば銀貨1枚、100DP分くらいを還元してもこちらは余裕で儲かるのだ。まぁ1日籠って1万円。ただし居るだけで何もしてないわけだから銅貨50枚でもいいかな? 最初くらいは新装開店イベントということで高めにやってもいいかもしれない。

 というわけで、改装が終わったのでニクを連れて試運転にやってきた。
 ギルドに報告するにしても、実際に使っておけば嘘の報告にならないし、一度は自分で使っておく必要があるのだ。

 使い方が分からねば誰にも使ってもらえない。魔剣のお試し部屋の時のウゾームゾーの悲劇は十分なのだ。それに今回はお試し部屋以上に知らなければ使い方が分からない代物だ。俺が報告する必要がある。
 隠し部屋となっている壁を破壊し、DP回収部屋への道を作る。
 そこにはトイレの個室のように部屋が並んでいる。それぞれ全部牢屋だが、プライバシーを守るため普通の扉に偽装している。
 尚、使用中の扉には赤い印が出るのだが当然今は全部空き部屋だ。まさにトイレ風。

「じゃ、入るか」
「はい」

 ニクと一緒に小部屋に入る。あるのは横に2個並んだ砂時計型のタイマーと、その仕掛けによって鍵が掛かる扉だけだ。緊急脱出用の赤いボタンもある親切設計。
 で、裏でお金やアイテムをセットしたら、タイマーが時間経過だけで0になったときのみ支払い口に落ちて来る。
 支払いについては一日あたりのDPのセンサーなどというのは存在しない。なので裏でレイ達が手動で頑張ることになっている。といっても、12時間以上居ないと出さないことにしているのでチェックは半日に1回でいいし支払い計算もゴーレムの計算機を使うから受付の合間にできる簡単な仕事だ。基本は金銭、たまにアイテムだ。
 宿の運営で金も有り余ってるからな。ギルドにも貯金してるが、ぶっちゃけそんな使わない。

 砂時計タイマーを2個ともひっくり返す。砂時計は小さいが、くびれの所にゴーレムの仕掛けがあり1つ12時間で砂が落ち切る。一度に砂が落ちる砂時計は1つだけ。なのでこれで24時間となる。延長する場合は落ち切った砂時計をさらにひっくり返すのだ。
 あんまり複雑にすると冒険者が覚えきれ無さそうなのでできるだけ簡単にしたつもりだ。
 今回はテストとして24時間のんびりする予定。
 俺は個室の中にオフトンを敷く。ギリギリ敷けるように設計した。そしてニクを抱き枕にいつものように横になった。
 腹が減ったら【収納】にあるご飯を食べるとしよう。スヤァ……

  *

 しまった、トイレがなかった……これは重大な欠陥である。
 さすがの俺もニクに起こされた。
 今回はロクコに一旦回収してもらい事なきを得たが、人間は、24時間もトイレを我慢できないのだ……

 部屋の中に汚物処理用のゼリーを入れたツボでも置くか? ボトラーならぬ、ツボラー? あ、しまった。ゼリーはモンスターだから安全地帯に入れないんだった。どうしようトイレ。
 ……安全地帯を撤去するか? トイレには代えられないし。
 とりあえずトイレ休憩挟みつつ24時間どうにか経過。ドアのロックが開くと同時に砂時計の下にある受け取り口に銀貨3枚がチャリンと落ちてきた。
 仕掛けはちゃんと作動してるみたいだな。……ちなみに今回、俺の分は考慮していない。俺はDP入手量が0だからな。

 とりあえずこれで一度出来上がりとして、冒険者の意見も聞いてみよう。

「というわけでこういう施設作ったんだけど、イチカ先生はどう思う?」
「なぜに先生……まぁエエけど、まず稼ぎが悪い。ここに入るくらいなら普通に稼いだ方がいいと思うかなぁ」

 早速のダメ出しである。
 言われてみれば、迷宮エリア突破できる実力があるならアイアンゴーレム狩った方が収入でかいな。

「小遣い稼ぎにしかならんし、それで狭い部屋に閉じ込められるのは地味にキツイ。1人で12時間何もしないとかどうにもなぁ」
「……別に寝てても良いんだぞ?」
「そんなに寝られるのはご主人様だけや。12時間は長すぎやで。安全地帯は外さん方がええな、さもなきゃダンジョンの中じゃ安心して休めないし」

 ……言われてみれば、俺は自分の家みたいなもんだからいいけど、他の奴にとってはいつ何が起こるか分からないダンジョンで12時間だ。安全地帯でもなきゃ心休まらないか。

「トイレに困ると思うんだが」
「トイレはツボにでも出して『浄化』すればエエやろ」
「え、それでいいの? 『浄化』便利だな」

 まさかの『浄化』万能説。トイレも『浄化』でいいのか……

「まぁ、稼ぎ悪いっちゅーたけどな、たまにアタリが出てくる、となったら話は別や。ご主人様ならアレがあるやろ? この間もウゾームゾー兄弟にやっとったアレが」
「そうか、ゴーレムブレードを餌にするのか」
「せやせや。12時間休んでいるだけで魔剣が手に入る、かもしれない。こうなったらだいぶいい話に聞こえてくる。――実際、魔剣は金貨で取引できるしな?」
「ククク、イチカ。お主も悪よのぉ?」
「ご主人様程やあらへんて」

 クックック、と笑い合う俺とイチカ。
 魔剣をばらまくと価値が下がるのは問題だが、需要はまだまだ高いらしくこの程度なら問題なさそうだ。
 しかもゴーレムブレードは通常の剣に近く、消耗品だ。核となっている魔石に魔力を注げば多少は回復するけど、そのうち壊れるから2本目3本目があっても良いのだ。他の魔剣もわりとそういうの多いらしいからこれも問題ない。

 そして、俺はギルドに新しい施設を見つけたことを報告に行った。
 砂時計を回したら閉じ込められたが、赤いボタンを押せば直ぐに出られたこと。
 砂時計が落ち切るまで待ったら銀貨が手に入ったこと。
 砂時計は1つで12時間、2つで24時間になること。
 以上の情報で銀貨10枚の情報料となった。

 翌日にはギルドの方からそこの調査依頼が出ていて、数人の冒険者が暇つぶしの道具をもってDP回収部屋に向かっていった。
 数日がかりの調査の結果、無事に「半日か1日待ってたらお金やアイテムがもらえる所」という認識となったようだった。中には魔剣を手に入れた幸運な者もいたらしい。そいつは食料を買い込んで早速2回目に入っていったそうな。
 2回目の結果? 銅貨20枚だったってよ。

 そんなこんなで、この小部屋は『強欲の宿屋』と呼ばれることになった。なんだかんだで閉じ込められる12時間を寝て過ごす人が多かったからだ。
 危険を冒すことなく魔剣が手に入る可能性があるということで、そこそこ人が入り、そこそこのDPをもたらす施設となるのであった。

(今回の改装分は以前感想で頂いた案を採用しました)
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