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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

第三次ダンジョンバトルの準備ターン

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閑話:お土産と技術革新

「……おおおおー! これは素晴らしいですー!」

 帝都観光のお土産に、『永久万年筆くん』をネルネにあげたら、そりゃもうものすごく喜んでくれた。

「ぐぐぬ、分解したい……けどこれ、プロテクトがかかってて、分解したら魔法陣が消失する仕掛けがあるそうです……!」
「そんなのがあるのか?」
「説明書のスミにかいてありましたー! さすがは『勇者工房』ってことですねー」

 神の尖兵、勇者のチートスキルというやつだろうか。

「ふーむ、それだと同じのを作るのは無理そうかな」
「魔力を流せばインクが補充されるようですねー。水、と、黒い……土、かしらー?」

 ちなみに万年筆の横面は透明な板がついており、そこでインクの残量が見えるようになっていた。
 ついでに言うと、インクの色は黒だけではなく赤、青、緑といったカラフルなものもあった。今回買ったのは一番ベーシックな黒だけだけど。

「インクって水で作るのか?」
「ちがうんですかー?」
「いや、知らんけど。油とか使うんじゃないか?」

 ちなみに普通のインクは? というと、これまた『勇者工房』製の『インクメイカーくん』という魔道具を使って作るらしい。どこが普通なんだ……

「……つまり、その『勇者工房』ってところがひたすら技術を独占してるってことかな」
「ですねー。あるいは、他は誰も真似できなかったとかー」

 数百年とか工房を存続させてるあたり、『魔道具を作る魔道具』とか作ってそうだよな。あるいは、まだ本人が生きてたりして。
 ……深く考えないようにしよう。

 ちなみに『薪要らずの鍋』や『加熱鍋くん』は買わなかったが、そういうものがあると話した。

「前にマスターが言ってた『コンロ』のほうが使い勝手いいですねー。普通の鍋でも使えて、交換も簡単ですしー。魔道具なら鉄板一枚ですから場所もとりませんよー?」
「……いわれてみれば便利だな、コンロ」
「あ、そーだ。ガー君、試作の火16番もってきてー……はーい、ありがとー」

 助手のガーゴイルが無言のままサッと箱を持ってきて、ネルネに渡した。
 ガーゴイルから箱を受け取ったネルネが頭をなでると、ガーゴイルは満足したのか部屋の角に戻っていった。
 箱の中に入っていたのは、魔法陣が刻まれた素焼きの板だった。

「こちらが試作コンロですー。試作なので土製ですが、以前のコタツを作ったときのダイヤル魔法陣をつかってるので、強弱の調整もできますよー」

 試作コンロには、ダイヤルと、鍋を置く五徳(ごとく)がわりに5個の突起がついていた。いつの間にこんな便利グッズ作ってたんだお前。
 冒険者のたしなみとして俺用にひとつ作ってもらおうかな。一応Bランク冒険者になったんだし、そういうお役立ちグッズは欲しいところだ。

「さすがネルネ、そんなの作ってたんだな」
「……マスターのおかげですよー。土で作ってるからカバンにいれて持ち運ぶと割れますけど、マスターなら鉄板で簡単に量産できますよねー?」

 鉄板で量産するのはできなくはないが、面倒くさい。とても。
 それに使ってるうちにコンロ全体が熱くなりそうだ。
 それならとりあえず持ち運びを考えずに、その素焼きの板使ってひとつ作ってもらおう。試作品の一品モノとかいいじゃないか。

「そうだな、素焼きの板をハメ込める木の土台は作れるか? 突起部分は強度ほしいからそこだけ穴開けて鉄板刺そう。えーっと、……ここは穴開けても魔法陣に影響ないよな?」

 俺は素焼きの板をちょいっと預かり、【クリエイトゴーレム】で余白となっている部分を削り、突起の部分を穴にする。あとはこれに合うように木の板を作って、鉄板刺すだけで完成するだろう。
 うん、薄型コンロ、良い感じになりそうだ。

「……それなら持ち運ぶとき、木でフタすれば割れる心配も減りますねー。それなら土製のままで、ご主人様の手を煩わせることなく私でも作れますよー」
「お、いいね。さすがネルネだ。じゃあそれで作ってくれ」

 おっ、フタまで作ってくれるのか。やっぱりうちの研究員は優秀だな。
 俺は魔法陣の描かれた素焼きの板をネルネに返した。完成したらゴゾーに見せびらかしたろ。

「私が優秀なんじゃなくて、ご主人様のおかげですよー」
「謙遜するなよネルネ。これからも期待してるぞ!」
「……謙遜でなくですねー? アイディアがですねー」

 はぁふ、とネルネがため息をつく。

「魔石使い放題で、土で魔法陣作っていいとか、カンタラ師匠が聞いたら目をむいて気絶するレベルですからねー?」
「あっ。そういえばオーブンにタイマーつけたいんだけど、ゴーレムタイマーと連動するようにできる? ひねって元の位置に戻るまでONにしておく感じのスイッチがあればいいんだけど」
「ほらまたそうやって技術革新するー!? うわあああん」

 ネルネがぽかぽか叩いてきた。
 ははは、ういやつめ。ちょっとだけ痛いからそのくらいにしておくれ。


 尚、後日「それで作って」が「その方針で量産して」という意味に伝わっていたらしく、差し当たって10個の薄型コンロが完成した。
 量産可能になっただと……1つで良かったのに。

 ネルネにはボーナスとして研究室用に卓上オーブントースター(不死鳥の卵殻製)をあげることにした。コンロと不死鳥の卵殻を【クリエイトゴーレム】でコネコネして作ってみたらそれらしいのができたからな。
 これでトーストとかも食べ放題だ。喜んでくれるだろうか。

「……カンタラ師匠、悶死レベルですねー。いや、研究室で簡単に素焼きできるし、ますます(はかど)りますー」
「あ、そうなるんだ」
「はいー、ありがとうございますー。……あと卓上オーブンとか、また新しいですー」

 ……まぁ、喜んでくれたようでなによりだよ。
 とりあえず残りのコンロはキヌエさんに1つ上げて、あとはダンジョンの宝箱に入れようかな。大当たり枠で。

(何気に高性能すぎる薄型コンロ、末端価格金貨十数枚とかになりそう。
 これで鉄性だったら耐久性が跳ね上がってさらに……!)
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