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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

第三次ダンジョンバトルの準備ターン

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帝都観光(6)

 今日は平原だ。
 軍隊の演習にも使う、かなりの広さを持った平らな土地だ。
 そして今日はハクさん、そしてなぜかミーシャが一緒だった。
 ミーシャは大きい日傘を持ってハクさんとロクコが日陰になるようにしていた。
 そういうのはクロウェさんの仕事じゃないのか?

「クロウェは書類を処理できますが、ミーシャはできない。そういうことです」

 そういうことか。
 散歩しつつ、うふふと笑うハクさん。そしてハクさんと仲良く手をつないでいるロクコ。まさにピクニックだな。

「しかし演習にも使うので、ここにダンジョン作られると少し困りますけどね。どちらかというと国境付近の方が……」
「そっちは明らかに戦場として使ってますよね?」
「あら、その方がDP収入になっていいじゃない。それに、アンデッドが安いわよ?」

 先ほどから始終笑顔だな。よほど仕事が片付いてロクコと一緒にお出かけできるのがうれしいようだ。
 ちなみにこの草原でDPカタログをチェックしたところ、バッファローとかボアとか、4足歩行の動物が安くなっていた。ウサギも居るな。

「さて、それじゃあ今日はミーシャと模擬戦しましょうか? ケーマさん」

 ぽふ、と手を合わせてにっこり笑顔のハクさん。何を言ってるんだ。

「現役Aランク冒険者のミーシャが直々に模擬戦をしてくれるというのです、涙を流して喜ぶところでしょう?」
「いや、俺はダンジョンマスターなので。奥に引っ込んでないといけないんで」
「Bランク冒険者に相応の腕を身に着けていてもらわないと困りますし」
「だってよロクコ?」
「ロクコちゃんはいいのです。だって可愛さはSランクでしょう? それにダンジョンコアを危険にさらすとは、無能ですか」

 俺のときとロクコのときで態度が違い過ぎるのは……今更だからもういいか。ロクコもBランク冒険者だというのに。

「じゃあ、間をとってミーシャとニクで模擬戦ね」

 と、ロクコが折衷案を出した。
 ちらりとニクを見る。……ふんす、とやる気に満ち溢れていた。

「はぁ、じゃあニクに稽古つけてやってください。お手柔らかに」
「お願いします、ミーシャ様」
「うむ! 任せたまえ! ですよ」

 ミーシャは胸を叩いた。ゆれた。

「それじゃ……種よ芽吹け。萌えよ。伸びよ――【グロウウッド】」

 ハクさんが呪文を唱えると、そこに1本の木が生える。
 ミーシャは日傘を【収納】にしまい、代わりに取り出した布を木陰に敷いた。
 ……日傘代わりに木を生やすとか、どういうことなの。

「さ、ロクコちゃん。私たちはここで観戦しましょ」
「はい、姉様」

 俺も木陰に行く。布に座らせてはくれなかったけど、木陰に入るのは別に文句言われなかった。

 ニクは手にゴーレムナイフを持ちミーシャと対峙する。
 対するミーシャは素手。グラップラーであるということは、先日闘技場で見せてもらったばかりだ。
 模擬戦だが、武器は真剣だ。普段使っているものを遠慮なく使えというハクさんのお達しで、ミーシャも余裕だとOKした。

「では――いつでもいいですよ?」
「はい」

 ミーシャは構えも取らず無造作に立っていた。そこに、いきなりニクは切りかかる。
 が、すっと手でナイフの側面を押して、一歩も動かずに回避した。

「ふむ、いい剣です。それに、腕も悪くない。これは伸びますね。ささ、遠慮なくどうぞ。私は一歩も動きませんよ?」
「……はっ!」
「おっと」

 ガキィン! と、重量ある鉄同士がぶつかったような音がする。
 音源は、ミーシャの足とニクのゴーレムナイフ。
 よく見ると、ミーシャの体を覆うオーラがナイフを防いでいた。

「ふふふ、一歩も動かないと言った途端に足を狙うとは……飼い主の躾がいいんですね」
「防がれてしまいました……か」

 すたっとバックステップで距離をとるニク。ミーシャはぽりぽりと頭をかいている。攻撃する気がないようだ。

「何ですかアレ?」
「【硬気功】ね。すごく硬くなるのよ。……ミーシャ、一歩でも動いたらあなたの負けよ、いいわね?」
「ええッ?! ちょ、ちょっとまってくださいハク様! さすがにそれは! せめてキック使わせてください!」
「よーしニク、スキルもガンガン使いなさい。勝てたらご褒美やるぞー」
「かしこまりました。炎よ、弾となりて敵を穿て――【ファイアボール】」
「うわっちょ!? 足元にファイアボールだとぅ?! あっつ! あっついから!」

 それから容赦のない魔法スキルや投擲(とうてき)による遠距離攻撃に対し、ミーシャの【遠当て】による迎撃の応酬。足に執拗な切り付けに、【硬気功】による防御。と、近づいてきたニクにカウンターで反撃。
 そして――

「ほいっさ」
「うぐ! ……う、きゅぅ」

 カウンターで投げられ、地面にお腹から叩きつけられるニク。そのまま、背中を手でぎゅうっと押さえつけられると、立ち上がれず、動けなくなってしまった。
 勝負あり、か。

「ふぅ、どうですハク様、勝ちましたよ!」
「よくやりましたミーシャ。子供相手に大人げないですね」
「ええーー……」

 ニクが立ち上がり、俺のところにやってくる。

「申し訳ありません、負けてしまいました……」
「なに、Aランクのミーシャ相手によくやった」

 元々Dランクなんだし、この結果は順当だろう。俺はニクの頭をなでてやる。
 ニクは心地よさげに目を閉じ、しっぽがぱたぱたと揺れた。

「じゃ、次はケーマさん行ってみましょうか。ミーシャを一歩でも動かせたらケーマさんの勝ちですよ。……勝てたら、666番コアの情報を教えてあげましょう」

 にこっとハクさんが微笑んだ。さてはアメリアさんから聞いたのか。
 ……これ、俺が負けたら本気で情報くれないんじゃないか? ダンジョンバトルで負けたら、ロクコを手元に合法的に置いておけるようになるんだもの。

「……仕方ない、最初に一発撃たせてもらってもいいですか?」
「ま、それくらいは良いでしょう。いいですよね、ミーシャ?」
「正直、そっちの犬耳の方が強いですし、いいですけど。あ、再開前に私も立ち方変えときますね?」

 と、ミーシャは足を肩幅に広げ、腰を落とした。
 安定性抜群だな。と思ったら、さらにどすん! どすん! と四股(しこ)を踏むようにして、足を地面にめり込ませた。……本気じゃねぇかコイツ。
 さ、いいですよ? とミーシャがこちらを見る。
 ……そのドヤ顔、すぐに消してやろう。

「ケーマ、一発で決めなさい!」
「ご主人様、がんばって」
「おう」

 ロクコとニクの声援をうけ、俺はミーシャの正面に立った。
 そして、ぽいっと小さな魔石をミーシャの足元に置き、呪文を唱える。

「土塊よ、姿を変え、従者となりて我に従え――【クリエイトゴーレム】」
「うわぁ?! 足元がゴーレムに?!」

 ミーシャはこけた。俺の勝ちだ。

(ちょっと2巻の作業がヤバい。ちょいと更新間隔が開くかも。遅筆ですまんな……!)
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