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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ダンジョンコアの集会

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666番コア

 ロクコがニヤニヤしていると、650番コア達、三竦(さんすく)みトリオがやってきた。

「あーら? こんなとこで何してるの695番?」
「ぐぇっぐぇっ、ドベのくせになぁんでここにいるんだぁ?」
「だぁよ、身の程をわきまぁえるって言葉、しらなぁいのかぁ?」

 ちらり、とロクコはその声の方を向いて、けどニヤニヤしていた。

「あらあら。そういうあんたたちはココに用があるっての? 何位だったのよ」
「うーわ、なに、キモちわるい顔ねぇ。父様に話しかけられてコアがとろけちゃった? 私はアンタが場違いなところに居るからワザワザ話しかけに来てやったの。私? 321位よ、フフフ、3位上がってたのよぉ?」
「322位だったなぁ、ゲコココ。650番に抜かされたぁ」
「310位だぁよ。このなかじゃぁオイラが一番上ぇぇー」
「やーだ、652番のくせに生意気よぉ? で、695番。アンタは?」

 ……ロクコは、フッ、と鼻で笑った。そして、ドヤ顔で言った。

「210位」
「……ん? ごめーん、もっかい言って?」
「210位よ! ふふふふ、勝った! あんたら全員に勝ったわよ!」
「ゲコ? 万年ドベの695番が200位台とか、幻覚でも見えたかぁ?」
「ならそこの表見てみなさいよ! ちゃーんと書かれてるわ、210位、695番ってね!」

 ロクコは表を指さす。そこには、確かに210位、695番と書かれていた。

「んなぁあ?! ほ、ほんとだぁ?!」
「ウソッ?! ちょっと、これ表示おかしいんじゃない?! 最下位の695番がなんでこんな順位にいるわけ?!」
「もう最下位じゃないもん。210位だもん。そうよ、私のほうが上なんだから! 第、つけなさいよ650番ッ!」
「断固断らせてもらうわよ。アンタが210位なんて、絶対認めない。ていうかアンタだって私ら呼ぶのに第を付けたこと無いクセにナニ言ってんの?」
「あ、そういえばそうだったわね」

 じゃあ第はいいか。とロクコは頭を切り替えた。

「けど、どういうことよコレ。なんで695番ごときが何年もかかってDP貯めた私たちより上になってるわけ? 父上のミス?」
「父上のミス……ということはぁ、考えられなぁい。なら、不正かぁ?」
「ゲコッゲコッ、そうだ、不正だぁ! インチキだぁ!」

 651番コアがゲコゲコと大声で「不正だぁ! インチキだぁ!」と叫ぶ。
 去年まで最下位だったロクコが突如210位に浮上してきているのだ。それも、このランキングは1年間に稼いだ量とかではない。生まれてから今までで貯めたDPのランキングなのだ。……不正を疑うのは当然である。
 そして最下位だったロクコに抜かされたコアたちが、その声に食いつき、注目する。

「でも不正って、どうすればできるんだ?」
「『裏切者』の89番にDP分けてもらったんじゃないの? ダンジョンバトルで八百長して、とか……」
「そういえばさっき第112番に勝った、とか言ってたな……最下位のコアがどうやったら勝てるんだ? ということは、第112番も協力者……?」

 しまった、ざわざわの内容が割と真実に近い。とロクコは思った。
 あれ? ってことは私、不正した? 不正しちゃったの? あ、変な汗でてきた。

「さぁ白状なさい! どんな不正をしたの695番!」
「ち、ちがっ、ふ、ふせ、不正なんてしてにゃいわよ?!」
「うわぁ、露骨に動揺してる。怪しすぎぃるなぁ……にゅじゅるる」

 知らないうちに不正してたのだろうか、ロクコは目の前がぐるぐるしてきた。目頭が熱くなってきた。泣きそう。

(うるさ)いわよ、見苦しい虫けら共」

 凛としたよく通る声。その一言に、場が静まった。
 そこに現れたのは、燃えるような赤髪の少女。

「666番……」
「第、付けなさい650番。それが礼儀というものよ? 私はあなたより上位で、私とあなたは親しくないのだから」

 666番コア。彼女は、600番台でいち早く人化を身に着けた、最も優秀なコアだ。
 第6番コア率いる魔王派閥の末っ子でもある。

「ぐっ、第、666番! アンタも695番になんか言ってやんなさいよ!」
何故(なぜ)?」
「なぜって、インチキで順位抜かされたのよ?!」
「私は抜かされていないわ」

 くい、666番コアが指さす先をみると、そこには『180位、666番』の記載があった。
 並み居る先達を押しのけ、200位に食い込んでいる。

「で、でも! こいつは不正で順位を上げたのよ?! そうよ、どうせ89番にDP恵んでもらったに違いないわ!」

 ロクコとしてはハクからダンジョンバトルの準備金や宿代、さらにはチップとしてDPを貰っているので、あながち間違っていないのが実状である。やべぇ、不正なのかしら。とロクコはさらに焦った。

「下らない……ならあなたも『不正』して、同じように順位を上げればいいじゃない」
「ハァア?! な、ナニ言ってんのアンタ! バカじゃないの?!」

 話にならない、と、650番コアは叫ぶ。
 一方、話にならない、と、666番コアはため息をついた。

「バカもなにも。こうして、父上に認められてこの順位にいる以上、それは不正ではないでしょう? 自分ができない手段でDP稼いだから不正? 言いがかりも甚だしい」
「ぐ……そ、そうねぇ、666番も第6番様からおこぼれを頂いてるわけだから、695番のこと強く言えるわけなかったわぁ、ゴメンナサイねぇ、ホホホ」
「……」

 (ザン)ッ! と、650番コアの眼前に、666番コアの振るう赤く燃える魔剣が突き付けられた。一瞬のうちで、650番コアは全く反応できなかった。

(じじ)様を、侮辱するというのであれば……屠殺(とさつ)するわよ?」
「ヒッ?! な、なによ! 殺すっての?! じょっ、じょじょじょ、ジョートーじゃないのさっ!」

 と言いつつも、ずざざざっと退いて651番コア(カエル)の影に隠れる650番コア(ヘビ)。666番コアは、すっとその剣を消し、何食わぬ顔で言った。

「蛇でも弱虫というのかしら? どう思う? 695番」
「えっ、あ、うん、言うんじゃない、かしら?」
「そう。……だそうよ、弱虫?」
「シャアアアア!! 695番のくせに生意気よ?!」
「えっ、ちょっと?! 今の私が言ったことになるの?!」

 ふん、と666番コアは鼻を鳴らす。
 666番コアに挑発を擦りつけられたロクコだったが、なぜか嫌な汗は止まっていた。
 ひょっとして、助けてくれたのだろうか。

「……あら?」

 ふと何かに気が付いて、666番コアはロクコを見た。その目線の先にあるもの、それは、ロクコの左手薬指につけた、ルビーとオリハルコンの赤い指輪だった。

「……695番。素敵な指輪をしているのね」
「え? あ、コレ? えへへ、実は私、マスターができてね? それで、マスターからプレゼントにもらった指輪なのよ」
「へぇ、マスターが……高そうね。それ、私の見立てが間違っていなければ……オリハルコンかしら?」
「え、あ、うん。そうね」
「よく見せてもらってもいいかしら?」
「え、んー、こ、これで見える?」

 ロクコは651番コアの後ろからわめいている650番コアを完全に無視して、666番コアに左手を差し出した。
 すっ、とその手を手に取り、指輪を見る。……傷一つない純粋なルビーの中に内包された、オリハルコンの指輪。666番コアはしっかりと観察した。5千万DPは下らないであろう、下手すれば1億DPにすらなり得るそのお宝を。

「その指輪は、DPにしないのかしら?」
「えぇ?! いや、こ、これはマスターからプレゼントしてもらった大事な指輪だもの、するわけないじゃない」
「でもその指輪をDPにすれば、ランキングでもかなり上位になってたわよね?」

 それこそ、私よりも。と、666番コアはロクコを睨む。
 ロクコとしては、ケーマが少ないDPでサクッと作ったことを知っていたので、そんなに高いDPになるとは思っていない。まぁ、大事な指輪(プレゼント)なのでする気もないけど。

「いや、ないわね」

 ロクコの回答を聞いて、666番コアは手を離す。

「余裕ね695番。さすがに少々……本当にごく少しだけ、あなたを壊したくなったわ」
「やめてよね?! 666番がいうと洒落にならないわよ?!」

 と、ロクコが「666番」と……人間でいうところの呼び捨てをしたような呼び方だったにも関わらず、666番コアは特に咎めるようなことを言わなかった。
 代わりに、にこりと笑う。
 そして、666番コアは言った。

「だから695番。あなたに決闘を申し込むわ」
(いよいよ来週発売かぁ……しみじみ。あ、今回で50万字突破です)
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