挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

閑話の章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

146/302

閑話:ロクコの指輪とハク・ラヴェリオ

 こんにちわ、ロクコよ。
 今日はダンジョンコアである私自らが受付に座ってるわ。
 ここのところずーっと聖女が来てたから、安全のために私は宿に出れなかったのよね。まったく、ケーマも心配性なんだから。でも、それだけ私のこと大事に思ってくれてるってことだし……嫌なわけじゃないわよ?
 と、受付カウンターに座って足をぷらぷらさせていたら、なんとハク姉様がやってきた。いつものようにクロウェも一緒ね。

「ハク姉様! お久しぶりです!」
「ふふふ、こんにちわロクコちゃん。スイート、空いてるかしら? 一泊したいのだけど」
「空いてます! あ、食事はいつもので?」
「ええ、ロクコちゃんも一緒に食べましょう? 奢るから」

 ケーマが寝てるけど、久しぶりのハク姉様の来訪だし、気合いを入れておもてなしをしなきゃ。えーっと、スイートは聖女が出てってからケーマに『浄化』してもらったし、大丈夫よね。

 と、ハク姉様が受付にある箱を見て首を(かし)げた。

「……この箱は何かしら、前来た時は無かったわよね?」
「ん? これですか? ふっふっふ……これはレジスターという箱なんです!」
「へぇ、それで、どういう箱なの?」
「えーっとですね。……スイート、2人、1泊っ! 食事、Sランク3食!」

 私の言葉に反応し、スロットの回るところみたいになって料金が表示される。金貨65枚だ。たぶん合ってる。……合ってるわよね?

「と、こうやって料金を計算してくれて、お金を入れると鍵と食券が出てくるんです」
「へぇ! それは便利ね、計算を間違えたりはしないの?」
「人に任せるより確実ですね」
「……欲しいわね、これ。こういうのがあれば仕事が捗ってもっと頻繁に通えると思うのよ」

 キリッと真剣な眼差しでレジスターを見つめるハク姉様。できるダンジョンコアって感じがして、最高にカッコイイ。

「んー、ケーマに、ハク姉様に譲ってもいいか聞いてみますね」
「あら。ケーマさんに聞かなくてもロクコちゃんの独断でできないの? あと、そのケーマさんはどこにいるのかしら。ロクコちゃんばかり働かせて……」
「ケーマなら大仕事した後で、明日まで寝るって言ってたから起きてこないですよ」

 ハク姉様には悪いけど、ケーマのことは休ませてあげようと思う。まぁ、明日には起きるって言ってたし大丈夫、のはず。……起きてくるわよね?

「ふぅん。まぁロクコちゃんが言うならいいわ。で、最近ずーっとこれなかったでしょう? だから今日はいっぱい話しましょう?」
「望むところです!」

 クロウェから金貨65枚受け取り、レジスターに入れると、金ぴかのSランク食券3枚とスィートルームの鍵が出てきた。
 私はそれを持ってハク姉様と一緒にスィートルームへ行く。あ、当然交代要員は用意したわよ? 

「……それで、さっきからずっと気になってたんだけど、それがケーマさんから貰ったっていう指輪、なの?」
「ふぇ? あれ、ハク姉様なんでその、えと、ご存じで?」
「……勇者ワタルから聞いたのよ。あいつ、本当にもう余計なことを……」

 ああなるほど。あの借金勇者か。そういえば私もワタルから聞いたんだったわね。

「でも、ケーマさんにしてはセンスが良い指輪ね。ロクコちゃんに似合ってるわ……うん? なんかその指輪、おかしくない?」
「え? おかしいですか? どこが?」
「……宝石の指輪かと思ったら、中に金属の指輪が入ってるのね。……初めて見たわ、こんな指輪。相当高かったでしょうに」
「ふふふ、まぁそこはパートナー故に、ですね!」
「そうね、こんな気合いの入りまくった指輪を渡すってことは……ふふふ、徹底的にお話しないといけないかしら?」

 なにかしら、ハク姉様から黒いオーラが見える気がする。……きっと気のせいね。

「ねぇ、その指輪、素材は何でできてるのかしら?」
「えーっと、ルビーとオリハルコンだって言ってましたけど」
「へぇ、ルビーとオリハルコン…………オリハルコンの指輪? しかもルビーに埋没してる……? ちょっとまって、それ、何千万DPのお宝なのよ」
「さすがに高かったって言ってましたけど……そんな高いんですか?」
「オリハルコンの指輪、カタログ見れる? まぁ運よくこの山でオリハルコンが取れるとしても相当高いはずよ」

 言われて、『オリハルコンの指輪』をDPカタログで調べる。……えーと、お宝カテゴリの装飾品で、オリハルコン……100万DP?

「あの、100万DPって……」
「ええ。オリハルコンの加工はドワーフの秘伝で、そのドワーフにしてもオリハルコンの剣を作るのに年単位の時間がかかるレベルね。指輪ならもっと簡単に作れるんでしょうけど、DPで交換するにしてもそのくらいが妥当かしら」
「おぉぅ……」

 ケーマ、そんな指輪を一体いつの間に用意したのかしら。あ、でも素材だけで見たら1万DPくらいなのね。ウチの村の鍛冶屋ってドワーフだったわよね、そいつに頼んだのか……や、ケーマなら普通に【クリエイトゴーレム】ね。ルビーもそんな感じにしたに違いない。
 んー、そうなるとハク姉様には言ったらダメなのよね。

「あ、そういえばウチの村にドワーフの鍛冶屋がいますよ。そっちに頼んだのかも」
「……そうだとしても、どうすればルビーに埋没させられるのか、見当つかないわ」

 やっぱり普通はそうなるのよね。……うう、言っちゃいけないもどかしさ。ハク姉様にくらいは言ってもいいと思うのに、【クリエイトゴーレム】のことは絶対に言うな、だもの。

「その指輪、私にくれたら1億DPあげるわよ?」
「…………はっ、だ、ダメですよハク姉様。これはそういうのじゃないんですから」

 危ない、少し心が揺れた。1億DPあればエンシェントなドラゴンだって召喚できるかもしれないもの、仕方ないわよね!
 けどケーマなら指輪のひとつやふたつ位、簡単に用意できるだろうし、そんな安く手に入るものでハク姉様から1億DPも貰うわけにはいかない。

「…………あの男、粛清しなければいけないようね……」
「あの、ハク姉様? ええと、その。なんか漏れてます」
「あらごめんなさい? うふふふ」

 おしとやかに微笑むハク姉様。何を怒ってるんだろう? ……ああ、無駄遣いしたと思ってるのかしら。まぁ、実際そんな高価なもの手に入れるだけのDPはないんだけど。

 そのあとは聖女やリンの話、遊戯室とかの話もした。【トリィティ】って言うのは使い手によって効果が変わるらしい。
 他にも一緒にお風呂入ったり一緒にご飯食べたり一緒に寝たりしてめいっぱい歓待して、村長邸にある私の部屋へ招待したところで、ケーマが起きてきた。

 そしてハク姉様に土下座した。あまりにも自然に、当たり前に。
 ……うん、きれいな土下座だったわ! 情けなさと潔さは満点ね!


 あ、レジスターみたいなのを提供することで何とか許してもらえたみたいよ?
 よくわからないけど、さすがケーマね!


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ