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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

聖女の本気

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村の名前と聖女のタイムリミット


 冬の仕事として、ゴゾーのアイアンゴーレム狩りを手伝うことになった。脅威になる魔物が居るので怖い所だが、その分ギルドの買い取り価格が割り増しになっている。もっともダンジョンのことを知ってる俺には怖い事なんて何もないので気楽なもんだ。
 いやぁ、それにしてもちょうど聞きたいことあったから良かったよ。都合が。
 アイアンゴーレムを倒して運んでる最中、ゴゾーに尋ねる。

「ところで、村の名前って結局どうなったんだ、ゴゾー?」
「あ? ……あ、すまん。か、考えてたが言って無かったわ」

 忘れてたなコイツ。

「そうか。いくら俺がお飾りの村長だからって、ひどくないか?」
「……ああ、そういえばお前お飾りだったっけ?」
「そうかそうか、ゴゾーロップラブラブ村か。いやぁいい名前だなー」
「ばッ、いや、ちげえ! ちゃんと……ゴレーヌって名前を考えてだな」

 ちらっとゴーレムを見て今決めたな、おい。
 だがゴレーヌ村か。まぁ悪くない。もうそれでいいやという気分もあるけど、ウチのダンジョンや宿を象徴する「ゴーレム」をもじった感じが良い。……異世界語でもゴーレムはゴーレムなんだろうか? 【クリエイトゴーレム】とかスキル名であるし、可能性は高いな。

「意味はあるのか?」
「……ゴーレムの村ってとこかな」
「適当だなぁ、まぁそれでいいか」
「え!? も、もっと真剣に考えて決めてもいいんじゃないか?!」
「いや、ゴゾーがずっと考えてくれてた素晴らしい名前だ、これ以上はないだろう。……村人を酒場に集めて大々的に発表しよう。ゴゾーにはその名前の意味をみんなに言ってもらうから」
「スマン! 今適当に考えた、勘弁してくれ!」
「ははは、だろうと思ったよ」

 はっはっは、と俺とゴゾーはお互い笑う。

「でもゴレーヌで決定な。語感がいい」
「マジか……」

 こうして名も無き村はゴレーヌ村となった。
 ゴゾーロップラブラブ村よりはよっぽどいい名前だろう。

「そいえば雪降ってきてたけど、冬の備蓄は大丈夫か?」
「ああ、そっちはそっちで出来てる。というか、ケーマの宿の温泉を村の住人に無料開放してるだろ、おかげで必要な薪や暖房の魔道具用の魔石がだいぶ少なくて済むし、かなり余裕があるくらいだってよ。食糧もちょっと古い小麦粉が倉庫にたんとあるぞ。味は少し落ちるが食う分には全く問題ない。というか、ツィーアとパヴェーラの販路が出来て、この村を中継地点にしてるから冬でも商人が通るそうだ」

 つまり、備蓄は万全。万が一に備蓄が尽きたとしても輸入可能ってことか。渡した金貨100枚で道を開拓でもしたのかな。
 洞窟の通行料も入ってくるし、何もしなくても収入が増えるのはありがたい。これぞ投資の醍醐味って奴かな。……あ、しかもうまくいけば金貨も増えて戻ってくるんだっけ?

「ゴゾー……商人ってすげぇなぁ」
「だなぁ。けど儲けてるからってポンっと大金出すお前も大概だぞ」

 最近、聖女がたんまりお金落としていってくれるから金貨100枚が大金だと思えなくなってきたなぁ。
 金貨が増えて戻ってきたら、今度は200枚預けてみるか。

  *

 数日後。聖王国から手紙の返事が来たようだ。
 その中身は……帰国命令だった。

『……帰国命令? 私はまだ何も成していませんよ?!』
『なにやら責任を問う、と書かれています……穏やかではないですね』
『責任? なんのですか?』

 無事にロクコの書いた手紙も届いてくれたようだ。
 ついでにロクコ宛にも一通来ていた。
 こちらへの内容は『戦争をする気はない、誠に遺憾である。こちらの意図した内容ではなく、聖女が勝手にやったことだ。皇帝にはどうぞよろしく』といった面倒くさい言い訳と、『聖女は帰らせる』というものだった。いきなり戦争すると言い出されなくてよかったよ、こっちは責任とれないもん。

『わかりません。喚問を行うので一刻も早く帰れと……追加の資金は出せないそうです』
『ぐ、となればあのケーキは節約すべきでしたか……! けどあの誘惑は抗えませんでしたッ! 貴重な品で、残りは8切れ分しかないとのことでしたし、後悔はありません!』

 うん、ケーキな。1つ奢ってやったら、1切れ金貨10枚だっつってんのに1ホール金貨80枚先払いでお買い上げしたもんな。金欠なのに迷わずだ。スイーツ、恐るべし。
 新鮮な卵にたっぷりの上質な砂糖、濃厚ミルクに混じりっ気のない上等な小麦粉。それを贅沢に使って作ったケーキだ。さらに【料理人】スキル補正もはいっている。こんな山中の小さな村で食べるには、1切れ金貨10枚でも安いのかもしれない。
 お買い上げのあとは聖女自身の持つ【収納】にいれて保存してるから、時間が止まって腐ることも無い。
 尚、ケーキは材料はいくらでも出せるしいくらでも作れるけど、新しく作ってなかったし「あとこれだけしかない」というのは嘘じゃない。

『手紙が届いたこともありますし、ごまかしても滞在はあと3日が限度と言ったところでしょうか……』
『こうなったら、ダンジョンだけでも攻略して手柄を持っていくしかありませんね。村長様には申し訳ありませんが、もはや事後承諾で良いでしょう。あれだけの貴重な品を融通してくださる村長様に報いるため、本気を出しますよ』

 おい、事後承諾でいいかとか何言ってんだこの聖女。
 ……こっちも本腰入れて防衛しないと不味いな。
 俺は聖女の監視をロクコに任せて、リンに話をしに行くことにした。

 リンはぬくぬくと温かくしてやった部屋でごろんと横になっていた。

「おーい、リン。起きてるか。話、ちょっといいか」
『ん? 起きてるぞ。何だ、ケーマ』
「実はな――」

 俺はリンに、あと3日間ほどあの面倒くさい聖女が来ることを伝えた。
 あとはリンに頑張って防衛してもらえれば、それで良い。

「じゃあ頼むぞ、リン」
『ん……』

 そう言いつつごろごろと寝転がっているリン。やる気が感じられないが、冬眠モードとかになったりしてるんだろうか?
 冬眠……いいな、俺も冬眠したいわ。できれば春眠と夏眠と秋眠も。



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