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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

聖女

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料理人

 ロクコがガチャで出した【料理人】スキルを、シルキーのキヌエさんに覚えさせた。
 その効果は……

「料理が上手くなる?」
「さらに、調理時間が一瞬になります。……相対的には」

 キヌエさんが言うには、料理に補正がかかる上に、料理中は料理以外の時間が止まるらしい。なので、本人はちゃんと料理しているのだけど、周りからすれば一瞬で終わるということだった。そして、効果中は料理以外の一切ができないらしい。

「……煮込んでる途中とかも?」
「はい、何もできません。煮込んでいる間に部屋の掃除、とかはできないです。ただし調理器具の片付けならできます」

 それはキツイな。
 しかし、料理限定で時空魔法でもかかるのか?
 とりあえず材料を用意して、どんなもんか見せてもらうことにしよう。レシピと材料をDPで出した。作ってもらうのはイチゴのショートケーキだ。
 試食要員としてイチカとニクも呼んだ。あと呼んでないけどロクコも来た。

「私が出したスキルでしょ? ならちゃんと確認したいに決まってるじゃない」
「いや、言い訳とかしなくても普通に来ていいから」
「……むしろちゃんと呼びなさいよ。のけものにされたかと思っちゃうじゃない」

 拗ねるロクコ。次はちゃんと呼んでやるとしよう。

「では作りますね。まずは下ごしらえから……できました。完成です」
「早ッ! まだ10秒も経ってないぞ?!」

 目の前には綺麗にイチゴのショートケーキがあった。ただケーキだけが現れたわけではなく、不死鳥の殻で作ったオーブンもばっちり使用した形跡がある。
 早速切り分けている。白いクリームと黄色いスポンジ、赤いイチゴが綺麗な層を作っていた。おいしそうだなぁ。

「本当に一瞬だったな。これは思ってたより凄い」
「せやな。ご主人様、キヌエさんをウチにくれたりする予定とかは」
「イチカに? ハハハ、当然ないぞ?」
「ちっ、残念やなー」

 ちなみに宿としてはレイ、キヌエさん、ネルネの3人はロクコの伝手で来たロクコの部下という事になっている。俺の後輩の扱いなのだ。
 ダンジョンに先に来たという点ではイチカの方が先輩だが、イチカは俺の奴隷だ。奴隷に後輩をやるとかできるわけがない。キヌエさんがどうしてもっていうなら別だけど。

「……私の体感では下ごしらえから始めて1時間以上は経過しています。料理以外なにもできないのは普通のニンゲンにはきついかと。私は家事妖精なので平気ですが」
「それは……かなり厳しい制限だなぁ」

 料理が大好きでたまらない人には神スキルなんだろうな。まさに料理人のためのスキルというべきか。好きなだけ料理に時間が費やせる。
 ……自分で使わなくてよかった。睡眠に使えるなら別だったんだけどな。

「ケーマ、これ凄く美味しいわ!」
「甘くて、とろけそうです、もぐもぐ……」

 ロクコとニクは早速ケーキを頬張っていた。良い食べっぷりだな。
 俺も食おう。そう思ってケーキを探した……あれ、ないぞ?

「あ、ごめん。これで最後よ」

 ロクコが最後のケーキのひとかけらをフォークに刺しているところだった。

「おい、マジか。お前ら食うの早すぎだろ。俺も食いたかった……」
「しょうがないわね。ほら」

 フォークに刺したケーキを、俺に向けてくるロクコ。
 ……集まる視線。これは、あれか。あーんって奴か。

「ほら、口開けなさいよ」
「……いや、フォークよこせよ」
「口を開けないならこれは私が食べるわ!」

 どういう脅しだ。しかしケーキは食べたい……くっ、やはりロクコ、頭が良くなってるな。何かが切っ掛けでレベル的なサムシングが上がったんだろうか。

「わかった、こうなったら最後の手段だ……」
「うん、おとなしく突っ込まれなさい」
「だが断る! ロクコよ、この俺がそうやすやすとお前の思い通りになると思うなよ!」

 俺はロクコに背を向けて、キヌエさんに言った。

「キヌエさん、悪いがもう一度作ってくれ」
「はい、かしこまりまし……できました」

 一瞬でできるケーキ。うん、2回目みてもやっぱりすごいぞ【料理人】スキル。

「ニク、イチカ、あれも食べつくすわよ! 手伝いなさい!」
「いただきますっ!」
「ご主人様には悪いけど、ロクコ様の命令やしなーしかたないなー!」

 新たにできたショートケーキを狙って3人が襲い掛かる。
 が、俺はそれをやすやすと許す。許してやった。なぜってそりゃ、

「じゃ、残りのこっちは俺が貰うから」
「ふぇ?!」

 もぐ、とショートケーキを頬張るロクコ。それとは別のショートケーキが3ホールあった。……答えは簡単。指で4つ、と指示してたのだ。うちのオーブンなら1度にスポンジ4つくらい簡単に焼けるからな。
 さすがに追加の4つは食いきれないだろうし。俺も食いきれないから殆どは【収納】にしまっておくけどさ。1つはこの場に居ないレイとネルネへの差し入れだ。

 早速1ピース切り分けたショートケーキにフォークを突き立てる。
 DPで出したケーキの材料が上等だったのもあるけど、キヌエさんの調理の腕も良かったのだろう。懐かしい、異世界に来る前に食べたケーキの味がした。

「美味い。日本の店で売ってるケーキにも引けを取らないぞコレは」
「お褒めに与かり光栄です、マスター」

 にっこりと微笑むキヌエさん。

「ぐ、や、やるわねケーマっ! けど覚えておきなさいよ、この【料理人】スキルは私が当てたんだから、つまりこれは私の功績でもあるんだからねっ!」
「もぐもぐもぐ……」
「はぁ~ん、美味いモンたーんと食えて、幸せやわぁ。こんな砂糖たっぷりの高級品、ヤバすぎやわぁ」

 そうか、砂糖たっぷりの高級品なんだよな、ケーキ。聖女に売りつけてやろう。幾らくらいが妥当なんだろうか? 1ピースで金貨10枚くらい行っちゃうか。
 そんなことを考えつつふと外を見ると、雪が降ってきていた。

 冬、だなぁ。

 ……あ、そういえば村の名前って結局どうなってたっけか?
 おーいゴゾー。このままだとゴゾーロップラブラブ村で確定だぞー?

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