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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

村、そして侵入者

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黒い狼との戦い

 黒い狼は悠々と倉庫エリアを歩いていく。
 徘徊していたアイアンゴーレムが狼に襲い掛かるが、狼はアイアンゴーレムの単調な攻撃をひょいと軽く避け、前足で殴り飛ばす。

 ゴシャァン! と吹き飛ばされてダンジョンの壁に激突したアイアンゴーレムは一瞬で活動停止し、ただの鉄の塊になった。
 しかも、アイアンゴーレムには殴られた跡がくっきりと残っていた。

 ……うちでトップクラスの防御力をもつアイアンゴーレムで、これか。
 ぞっとした俺は、ごくりとつばを飲み込む。
 ニクがここで操るハニワゴーレムは石製のものだ。いくら武装しているとはいえ攻撃が当たればひとたまりもないだろう。

「……誘導! いきます!」

 誘導、と言っていたということは、勝ち目は薄いと判断して『火焔窟』に押し付ける方針で行くつもりのようだ。

「指示は任せなさい! ここは右に誘って。レイは右から弓矢で攻撃! キヌエはニクに続いて襲い掛かり、やられたら次のゴーレムを逐次操作して休ませないように! でもニク、ハニワの換えはないからうまく使いなさいよ?! トゲ山ゴーレムのネルネは後ろからおいたてなさい!」
「了解しました! ゴーレム、ゴー!」
「ロクコ様! ウチはどうしたらええ?!」
「イチカは壁ゴーレムで横道をふさいで、敵の進行先を誘導!」

 ロクコの指示で、ニクのハニワゴーレムに、レイの4脚アーチャーゴーレム、キヌエさんの4腕ゴーレム、ネルネのトゲ山ゴーレム、そしてイチカの壁ゴーレムがそれぞれ行動する。
 的確な指示だ。的確過ぎて俺のやることがない。あれ、これ俺いらなくね?

「アーチャー、3体目やられました! ただし誘導成功! 4体目いきますっ」
「ハニワゴーレム、まだいけそう?」
「もんだいない、です。このまま、マグマエリアまで引っ張ります」

 モニターで確認すると、黒い狼はハニワゴーレムに攻撃を仕掛けていたが、前足パンチは正面から受けずに手に持った盾で受け流し、噛みつきには口より大きい盾を正面から突き付けて防いでいた。そのうえで、剣で威嚇するように攻撃していたが、これは回避されている。
 そこに4腕ゴーレムが邪魔しようとして、軽い体当たりに弾き飛ばされ……あっさりと石の残骸となる。が、まるでわんこそばのように次々と4腕ゴーレムが襲い掛かってきていた。
 同時にトゲ山ゴーレムが後ろから追い立てるが、あまり効果が出ていなかった。石のトゲはあっさりと尻尾に砕かれて無力化され、ただの石饅頭ゴーレムとなってしまった。仕方がないのでそのまま自爆覚悟で体当たりして、そのまま尻尾に返り討ちにされた。
 狼の表情はよくわからないが、イライラしてそうだ。
 そして、敵をすべて倒さないと気が済まないのか、4脚アーチャーゴーレムの弓矢攻撃はよほど鬱陶しいのか、わざわざ殴りに――誘導先へ――来てくれていた。

 これをひたすらに行うことでロクコの作ったマグマエリアへ誘導していた。

「よし、あと1回でマグマエリアへ誘導できるわ! ……ニク、大丈夫?」
「大丈夫、です……まだ、いけます! ……ッ!」

 遂にハニワゴーレムの盾が砕けた。がり、がりっと盾だったものを齧り飲み込む黒い狼。
 石素材の盾で良くここまでもったもんだ。ここまでもたせられたのはよほど受け方が上手かったからだろう。
 直後、前足の薙ぎ払い。これを受けて、すぐに馬部分が仕留められてしまう。ギリギリで上の本体部分は離脱できたが、もう後がない。
 剣でなんとか攻撃を受け流すが、積み重なるダメージをうけて魔剣……ゴーレムブレードだったはずの剣はもはやただの剣になっていた。それでも、鉄装備であるだけあり盾代わりには使えていた。
 ……今思えば盾も鉄製の物を持たせた方が良かっただろう。

「っ、剣ももうもたないですっ、あと1歩……」
「そのままマグマ地帯に転がり込みなさい! ハニワは別に壊してもいいわ!」
「はいっ」

 ロクコの指示に従い、ハニワゴーレムはマグマエリアに続く下り階段に転がり込む。
 壊していいって、ゴーレム作り直すの、俺なんだけどな。いや、別に壊してもいいんだけどさ。
 がしゃん、がしゃんっとボロくなった石製装甲の破片をまき散らしつつ階段を転がり落ちるハニワゴーレム。
 黒い狼もそれを追ってマグマゾーンに入る――かに思えた。突然ぴたっと足を止め、引き返してしまった。

「は?! ちょ、な、なんでよ?!」

 ロクコが狼狽(うろた)える。無理もない、ゴーレムとはいえかなりの犠牲をだしてのこの結果だ。俺だって驚いている。どうすんだ、コレ。
 ……その後、黒い狼は壁ゴーレムの存在に気が付いたようで、くんくんとにおいをかぐようにした後、体当たりで壁ゴーレムを破壊してしまった。

「あかん、ボス部屋のある方に進んどる。止められそうにないで!」
「……ボス部屋で受けるしかないな。アイアンハニワの出番だ。ニク、いけるか?」
「自信は、ないです」

 石製のハニワゴーレムであれだけ善戦ができたのだ、1グレード上のアイアンハニワならそれなりに戦えるはずだ。こちらは盾まで鉄製だしな。

「ロクコ様にお任せした方が……」
「いや、さっきまであの狼と対面してた分、よりよく対処できるだろ。ここはニクに任せる。……頼りにしてるぞ、ニク・クロイヌ!」
「……はいっ、ご主人様!」

 俺はニクの頭を撫でて気合いを入れてやった。

「くるで!」
「アイアンハニワ、行きます!」

 ボス部屋の扉を体当たりで勢いよく開いて入ってくる黒い狼。黒い身体から、黒いオーラのようなもやがごぅと出ている。
 対するはこのダンジョンの最高戦力、アイアンハニワゴーレム。通称はアイアンハニワ。
 鉄製の馬に乗り、鉄製の武具に身を包んだ鉄のハニワだ。

『ガォオオオオオン!』

 黒い狼が吠える。生身で目の前に立っていたらチビってしまっていただろう。
 しかしアイアンハニワはひるまない。これを操るニクもだ。

「スラッシュもどき!」

 馬に乗ったまま攻撃できる特製の大きな魔剣ゴーレムブレードを振りかぶり、剣術スキルの【スラッシュ】を模した動きで切りかかる。
 狼は開幕のこの一撃を軽くかわし、馬上で体勢を崩したアイアンハニワに襲い掛かる。
 しかしアイアンハニワゴーレムはあえて馬上から転がり落ちることで避けた。

「ロクコ様、馬は任せます!」
「わかったわ!」

 馬の操作をロクコに渡し、本体のハニワの操作に集中するようだ。
 基本は先ほどと同じ。盾で防ぎ、剣で叩く。
 そしてここに、ロクコ操る馬の突進が加わった。
 馬とはいえ、こちらもアイアンゴーレムから作った総鉄製のゴーレム。単に体当たりするだけでもかなりの質量、破壊力がある。室内を駆けまわり、勢いをつけて狼に向かって突撃する。
 例えるなら、大型バイクが部屋を縦横無尽に走り回って突っ込んでくるようなものだ。

『グルルルッ……ガアアアア!』

 だが狼は剣術スキルを模した袈裟切りや横薙ぎを躱しつつ、馬からの攻撃も身をかわして避けてみせた。
 通用しないのか、と思ったが回避に集中しているのか攻撃が少なくなっている。
 ……もうひと押しが必要だ。

「ボスの取り巻きを出すぞ。総員用意。装備は弓矢、矢は木だ。タイミングを合わせる必要はない、味方に当たらないようにだけ気を付けて、ひたすら撃て!」

 この取り巻きは普通のアイアンゴーレムだが、武装をしている。武装を換装することで戦術を変え、多くの場面に対応ができるのが特徴だった。
 今回選んだのは木の弓矢。狼へのダメージを期待した攻撃ではなく、注意を逸らすのが目的だ。それにこれなら味方に誤射してもダメージは少なくて済む。こっちは鉄のゴーレムだしな。

 バシュ! と矢を狼目掛けて放ち……バシッと尻尾で払われる。
 これでいい。狼の攻撃はますます少なくなり、ニクの操るアイアンハニワにつきっきりとなった。
 あとは、相手が力尽きるか、こっちの集中がキレるかの勝負だ。

 そう思った瞬間、狼に馬ゴーレムの体当たりが命中した。横から全力疾走してきた鉄馬に()ねられ、狼が消滅した。

「……って違う! 貼り付かれた!?」

 狼は、――いや、それはもはや狼の姿をしていなかった。
 黒いもやの塊が、馬の腹にくっついていた。

「なによこれ?! ウルフ系モンスターじゃないの?! ちょ、馬ゴーレムが……食われてる?!」

 黒いもやは、そのまま馬ゴーレムを包み込み……。質量を無視して体の中に飲み込んだ。
 そして、再び狼の姿に戻る。今度は取り巻きゴーレムが一瞬でやられた。

「……くっ?!」

 ニク操るアイアンハニワがあらためて対峙したが、狼は……噛みつきに対処しようとして盾を突き出したところを、頭を崩してもやになり、左腕ごと盾を取り込んでしまった。次に剣。そして、

「……もうしわけ、ありません……」

 ニクから悲痛な声が漏れる。
 アイアンハニワゴーレムは、なすすべもなく黒い狼に食われてしまった。

(戦闘描写難しいです)
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よろしければ文庫1位のところに以下のように記入してみてください。

タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
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