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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

勇者、来訪

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勇者とニク

(なんか推敲が足りてないので、後々書きなおすかもです)

 さすがに23億円は搾り取りすぎただろうか。
 俺はテーブルの上に置いたチップとダイスを回収しつつそう思ったが、壊された方のテーブルを見てやっぱりいいかと考え直した。
 ……【クリエイトゴーレム】あっても直すの面倒なんだよな、装飾あるし、強度の問題もあるし。

「しかし、そんなスキルがあるほどに仲間思いのケーマさんが、なんで『ニク』なんて名前を付けてるんですか?」

 勇者ワタルが不思議そうな顔をして尋ねてきた。

「本人の希望だ。元は拾ったときの名前なんだけどな」
「だからといってそんな、卑猥な意味のある名前……」
「ん? せいぜい『肉盾』とか『肉壁』って意味じゃないのか? 俺はそう教わったけど」

 俺がそういうと、勇者はぽんっと、手を叩く。

「あー……なるほど、おかしいと思ったんですよ。それは主に男性冒険者の場合です。この子、小さい上に可愛い女の子だから、絶対別の意味で見られてますよ? まぁ実際スラングなので地域で結構違いもありますが……」

 ふむ? そうなのか。

「じゃあ確認したいんだが、『ニク』はどういう意味だって?」
「ご主人様、『ニク』っていうのは道具って意味です。主に盾とか壁とか」

 俺は勇者に聞いたつもりだったんだがニクが答えた。うん、俺もイチカからそう聞いている。

「…………あー、その、……それでもまちがってないですけど。でもそれは男性につけた場合で、女性では主に「わー! わー! おのれ勇者ー! ご主人様にあだなすのならー! わたしが相手だー!」

 ニクのインターセプト! 勇者は割り込まれた! っておい!

「ニク? ちょっと黙っててくれる?」
「…………」

 しゅん、と落ち込むニク。
 ニクがこれほど大きな声出すの初めて聞いたわ。これはつまり、ニクは勇者が言おうとしている意味を知っているということ。そして、そんなに知られたくないということでもある。

「なぁ、もしかしてだが、かなりよくない意味なのか」
「道具でも間違ってないですよ。ただし性的な意味で、が付きますけど」

 ……俺はニクを見る。
 ニクは、表情だけはいつもの通りだが、顔色は赤く、目端に涙を浮かべつつ、恥ずかしそうにぷるぷる震えていた。
 そんなに恥ずかしいならなんで自分の名前で押し通した?!

「で、一般的にはその意味がすごく有名です。もちろん性的な意味で」
「おい、ニク?」

 ニクは、びくっと震えて、今度はサーッと血の気が引いていった。

「ニク、イチカ連れて俺の部屋に行ってろ。お前らにちょっと話がある」
「は、はい」

 ニクは相当怯えているようで、耳と尻尾が元気なくうなだれたまま、イチカを呼びに行った。
 そんな一部始終を見て、勇者はおそるおそる俺に尋ねた。

「……あの、どうするつもりですか?」
「……叱るに決まってるだろ。あと反省文でも書かせて、お仕置きもだな」
「あ、ずいぶんお優しいんですね。殺すとか売り払うとか言わないで安心しました」

 そんなもったいないことできないぞ、ニクもイチカも、この宿、ダンジョンにとって不可欠な存在だ。
 まぁ、多少は厳しい罰にしないといけないだろうけど、手放す気も予定も無い。

「ああ。あと、新しい名前もつけてやらないとな」
「それがいいかと」

 とはいっても、ご主人様である俺に対して意味を隠してまで貫いていた名前だ、どこがよかったのかは知らないが、気に入ってたのは間違いないだろう。俺も今更ニクの名前を変えるのは面倒だが……かといって『性的な意味で』な道具に使うつもりもないし……

 ああもう面倒くさい。適当に苗字つけてやるか。人前ではそっち呼べばいいだろ。


 とりあえず勇者に金貨2300枚という莫大な借金を負わせつつ、日本人では? という疑いをはぐらし続けて、勇者の部屋から出ることに成功した。

 壊れたテーブルについてはあとでお手伝いゴーレムつかって運ばせよう。キヌエさんあたりにいってもらうか。

  *

 そして俺の部屋に戻ってきたところで、目の前というか目の下というか、うん、ニクとイチカが土下座していた。
 2人横並びで綺麗にゲザってた。

「ご、ごめんなさい、ご主人様……」
「えろうすんませんっしたーーーー!!!」
「よーし、お前らとりあえず顔を上げようか? 一応なんでこんな事になったのか事情を聞いて置こうじゃないか」

 俺がそう言っても、ニクは頭を下げたままだ。仕方ないので「えへへ……」と苦し紛れに愛想笑いしつつ顔を上げたイチカから話を聞くことにした。

「いやそのー、うん。『ニク』の意味は知ってた。知ってたわ。だからウチ、悪い意味っていったやん。ほら、女の子があんまり口に出すような事ちゃうやろ? 恥ずかしいッちゅーか、そのー、ウチも前のトコで『ニク』って言われてたしー」
「でもそういうのを指摘するように言ってあっただろ?」
「……ていうかご主人様も察してくれて分かってるもんやと思ってたんよ? ほら、ニク先輩毎日のごとく連れ込んでるし……ちゃんとした意味で分かってて『ニク』って言うてるとばかり」

 う、それ言われるとちょっと弱いな。抱き枕にするとはいえ、確かに部屋に連れ込んでたし。
 それから、ニクが恐る恐る顔を上げ、答えた。

「……ご主人様が間違えるはずない、です。だから、ニクとして頑張ろう、と……」
「なら勇者が『ニク』の意味を言おうとしたときに妨害したのはなんでだ?」
「…………あれ? なんで、でしょう……?」

 そう答えたニクは、本気で分かっていないようだった。
 自分でも道理が通らないことをしていたようだ。それはまるで子供が失敗を隠すために嘘をつくのに似ている気がした。
 って、すっかり出来が良いので忘れかけていたが、ニクはまだ子供だったよ。

「あー、せやな。たぶんやけど、獣人の本能的なトコがあったんやろ。獣人は自分の名前をめっちゃ大事にするし、なんか言わせたらヤバイって思ったとか。あと、バレたら捨てられるかもって、体が咄嗟に動いちゃったとか?」

 イチカの補足に、「ああ、それなら理由として通じるな」と俺は頷いた。
 ……敵対するつもりでなかった、というならいいだろう。可愛がってるつもりで恨まれてたらショックだからな。恨まれながら抱き枕にするほどの度胸は俺に無いし。

「とりあえず、捨てる気はないぞ。今まで通りこき使ってやる」

 俺が頭を撫でながらそういうと、ニクは少しホッとしたようだ。

「いいか。俺だって人間だ、知らないもんは知らないし、間違えることくらいある。気付いたら言え。いいな?」
「……はい」
「わかった。もう隠したりせんでちゃんと言うわ」
「んじゃ、今回は許す。……罰は与えるけどな」

 アレだな。強制ルーズソックスorニーソとかいう罰もアリだな。もちろん靴下に対する『浄化』禁止で2,3日履かせてやろう。さらに仕事中はローファー、運動時にはスニーカーもつけてやろうじゃないか。
 クックック、我ながら恐ろしい罰だ。この恐ろしさは同士(足フェチ)にしか通じないだろうけどな。

 あとまぁせいぜい1カ月くらいの間、足踏みマッサージの強要とギャンブル禁止。そして食事の質をこの世界基準に落とす、ってところか。



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タイトル:絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで
著者名(レーベル名):鬼影スパナ(オーバーラップ文庫)
コメント(例):チキンタツタ美味しい! それはさておき一番好きなラノベです
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