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>これからは雪天城と同時に更新していきますので、どうかよろしくおねがいします。(2/10)


あの、その


ごめんなさいorz
十四、商売繁盛
私の目の前にごちそうが並んでいました。ビフテキ、お造り、野菜、フルーツ、もう抱きしめたくなるような光景です。
早速フォークで頂こうと思ったのですが不思議や不思議、おいしそうな食材達は私がフォークで狙いを定めた途端にその場からするりと横に抜けていってしまいます。そのうえくすくすと私を嘲笑い始めたのです。再び突き刺そうと狙いを付けますが、刺さるすんでのところでひょいと避けられてしまいます。むむむ、この食材ちゃんは回避性能でも持ってるのかしら・・・。
なんにしても食材ごときがちょこざいな!おとなしく私に食べられればいいものを。私は、いよいよどんな食材でも逃さず口へ運ぶことが出来るという伝説のフォーク、シエロツールによってまずは一番に私を嘲笑ったビフテキをブスリと突き刺し・・・














おはようございます。窓から陽射しが差し込んで、今日もいい朝ですね。朝食の準備でもしようかしら・・・はい?ご馳走が逃げていく話?そんな食欲に駆られた夢を私が見る訳ないじゃないですかーやだなぁもぅうふふ・・・。

「お、目が覚めたか」

ふと耳を掠めるのはガルトの声、寝起きでぴよぴよの私の頭にはそれがいい起爆剤になりまして、びよーんとベッドから跳びはねます。

「なな、なんで私の部屋にあなたがー!」
「何でって、訓練を手伝う為にここを借りてるんじゃないか。・・・ま、とりあえずその様子なら大丈夫そうだな」

・・・あー、そういえばそうでしたね。先日の火山の地獄ですっかり頭から抜け落ちていましたが・・・他に部屋なかったんですかね。

「そうだ、起きたらすぐに中央広場にくるように教官が言ってたな」
「教官がですか?」

恐らく訓練の結果についてでしょう。ナミダもしっかり持ち帰りましたし今回は文句のつけどころもないはずです。

「うーん、とりあえず食べそこねたビフテキを頂いてから・・・」













「おーおーよくきたのシェリア」

朝ごはんを目一杯食べてから重役出勤してきた私とガルトを教官はいつものしわくちゃな顔で出迎えました。既にロザリーとミミリも到着している様子です。

「うぉっほん。今日は無駄話は無しじゃ。早速本題に入ろうとするかの」

そう切り出すと教官は鞄から一枚の紙切れを取り出します。まさか、新しい訓練の契約書とか言うんじゃ・・・



「・・・シェリア殿。貴殿の訓練での成績を認め、ここにハンター育成所ドンドルマ支部の育成過程終了を認定する、以降も貴殿がハンターとして庶民の生活に貢献することを切に願っておるぞ」


手渡された紙には教官が読み上げた言葉がそっくり記載されている他にでかでかと判が押されていました。つまり・・・これはその・・・

「卒・・・業?」
「ああそうじゃ、本当によくやったのお、たった三つの訓練で卒業したのは主で二人目じゃ、素晴らしい!」

やりました、訓練開始から一週間足らずでもう卒業です!不正な献金とか真っ黒な取引は一切ありませんよ、いやいや本当に。それも現役ハンターさんのお手伝いがあったとはいえ卒業最短記録タイらしいじゃないですか!流石私、やはりあらゆる面に才能が溢れていたということですね!

「シ、シェリアが卒業・・・?私もほぼ同期に訓練を始めましたけど、私はまだなんですの?」
「うむ、ロザリエルはちと卒業するには決定力にかけるでの。火山での訓練をこなした点は大いに評価すべきじゃが、なんせまだ二つの訓練しか終えておらん。またシェリアのような目を見張るような活躍もしておらんしの」
「う・・・そ、それはそうですけれど・・・」

やはりハンターとしては私の方が一枚も二枚も上手だったということですねふふん。ロザリーはもう三年くらい教官の下でびしばし指導されるがいいです。

「さてシェリアよ、これで晴れて卒業ということになるが鍛練を怠るでないぞ?その証書をギルドに提示すれば今まで以上の難易度の依頼も請けられるようになる。自分の腕をゆっくり磨いて、焦らず上を目指すといい」
「分かってますよ教官!つまり高い報酬の依頼もバンバン請けられるということですよね!」
「ああ、まぁ、そうともいうかの」

明日の生活費がかかっているのです、腕を磨くうんぬんの前にお金を稼いで豪華な食事にありつかなければなりません。報酬を武具に使うなんて以っての外ですよ。とりあえず今朝の夢のような食事にありつきたいところですね。


「部屋は明日別の訓練生に引き継ぐ予定じゃ。今日中には退去するんじゃぞー」

・・・あれ?もしかして厄介払い?













かなり駆け足な流れで訓練所を退去させられた私は特別やることもなく、先日のナミダを売却したお金を手にドンドルマの街を放浪することにしました。まーすぐにでも村に戻って依頼をこなしてみるのもいいんですけどね、せっかく訪れた大都会をこれっぽっちも味わってないまま帰るのももったいありません。別に依頼受けるのが面倒とかそういうのではありませんよ?


「お姉様と買い物なのです〜♪」
「・・・で、何でミミリがついてくるのですか」
「ガルトがロザリーの訓練の付き添いで沼地に行ったのです。だからミミリはお姉様の付き添いなのです」
「なのですって、私はテキトーにぶらぶらしようとしているだけですよ?」
「おっと、そいつは感心出来ないニャー」

鞄からひょっこり顔を出すのはネル。重用な時に限って姿を現さない不思議アイルーです(にこにこ)

「そ、そんな素敵な笑顔をしないで欲しいニャ・・・」
「何を言ってるんですかー、笑顔は元気の源じゃないですかー、にこにこ」
「そ、それよりニャ!」
「無理やりスルーですか」
「まとまったお金が集まったなら狩りにいく準備をするニャ!装備が自宅にあってもアイテムなんかは今のうちに買っておくといいニャ」
「あら?なんで家の装備のこと知ってるんですか?」
「ニャ!?そ、それくらいアイルーの情報網ですぐ伝わってくるニャ!」
「・・・ああ、訓練の時にいないと思ったらそんなこと調べていたんですか、にこにこ」
「・・・と、とにかくだニャ!明日のご飯の為にも準備は大事だニャ、アイテムを買いに行くニャー」


アイテムですか・・・。確かにこれから依頼をこなして生計を立てていく手前下準備は大事なことです。幸いネルの言うとおり自宅には父の装備が山のように余っていますから武器は必要ありません。あ、でも防具はサイズが合わないでしょうから買うべきですかね。まぁ村では雪山の依頼くらいしかないでしょうからマフモフを一式揃えれば事足りるでしょうけど。

「ところでそのアイテムとやらはどこに売ってるんですか?」
「街の中央に大きなお店があるのです。ミミリはいつもそこを利用しているのです」
「なるほど・・・では試しに覗いてみますか」






というわけでやってまいりましたのはドンドルマ中央街のハンターズショップ、看板にはでかでかと赤文字で『カトーナノカドー』と書かれています。この店一つでポッケ村が埋まってしまいそうな程の敷地です、流石都会やることが違います。
早速店内に入りますといきなり店員とおぼしき男性の方が営業スマイル全開で近寄って参りました。

「いらっしゃいませ・・・これはこれは街の英雄、ハンター様方ではありませんか!本日はまたどういったものをお探しでしょう?」

初対面にも関わらず英雄扱いしてきますよこの店員さん。

「依頼を請ける為の下準備だニャ、薬や罠なんかあるといいニャー」
「おやおや可愛いアイルー様。さようでしたらあちらの雑貨フロアに当店自慢の価格で全て揃っておりますが、よろしければご案内致しましょうか?」
「あ、えーっと、それじゃ・・・」
「結構なのです。自分で回るのです」

強気の態度のミミリに店員は一歩後ずさり、一礼だけするとそそくさと退散してしまいました。

「・・・随分毛嫌いしてるんですね」
「案内なんかさせたら余計なものまで買わされるのです。買物は自分ですばやく済ませるのが基本なのです」
「そういうものですか・・・」

都会の商売はよくわかりません。これだけお客さんもきて繁盛してるなら接客なんて手を抜けばいいのです。村の雑貨屋のおばあさんなんて呼んでも出てこない方が多いというのに・・・。ま、あの方に関してはもう少し愛想というものを知った方がいいとは思いますけどね。

さて、ハンターと言えばまずは何が必要でしょうか。もしかしたらあなた方の中にも私のような超が累計30個程つくくらいの初心者ハンターがいらっしゃるかもしれませんし、おさらいは大切なことです。勿論私はパーフェクトな女性ですからそれくらいわかってはいますけど万が一を無くすのも立派なハンターの行為だと思いません?そうでしょうそうでしょうそう思いますよね。


「でー、何から買えばいいですか・・・」

すると、今まで私の肩にちょこんと乗っかっていたネルがくるくると空中3回転を決め


「ずばり、まずは罠を買うべきだニャ。アンタのような新米ハンターは大型モンスターと鉢合わせたらひとたまりもないニャ、そこで役立つのが束縛系罠なんだニャ〜」
「そ、そくばくけい・・・?」
「モンスターの動きを一時的に止めることができる・・・落とし穴、シビレ罠が該当するのです。そこの猫の言う通り、対大型モンスターでは心強いアイテムなのです」
「ニャーにはフランネルって名前があるんだニャー!」

ぴょこぴょこ跳びはねるネルは置いておきまして、確かに罠ってやつは重要みたいですね・・・。とはいえあまり数は買えません。確かにリオレウスの涙の報酬額はなかなかのものでしたが、このうち最低でも80%は食費にあてる必要があります。食費が一日700z(ネルの餌代込み)と見積もっても3日持てばいい方ですからね。




「へいいらっしゃい!おやおや可愛いお嬢ちゃん方、今日はまた何をお求めでぃ?」

罠売り場専門フロアに入るや否や暑苦しいことこの上ない声が私達を出迎えて下さいました。肩幅が広くがたいの良いおじ様で、血色も良好。・・・ただ、髪の毛は大分残念なことになっております。

「何って、ここは罠専門フロアなのです。他に何を求めるのですかこのアホ」

ミミリって誰にでもこんな態度してるんですね。

「おうおう誰かと思ったらガルトの連れの嬢ちゃんじゃないか。今日はあいつはいないのでぃ?」
「あいつは訓練の手伝いに行ってるのです。今日はお姉様と一緒に買い物だから邪魔したら承知しないのです」
「お姉様!へぇ、あんたがお姉さんかい。こいつはまたミミリちゃんに似て綺麗だねぇ」
「あら、やだ、そんなことありませんわよおほほ」

軽い誤解を招いてる気がしなくもありませんが、この際どうでもいいですね。

「さ、お姉様。さっさと買って別のフロアも見に行くのです」
「まーまーせっかく来たんだ。ちょうどついさっき新作の罠が届いたんでさぁ、見ていくだけならタダだぜぃ?」
「タイムイズマネーなのです」

ミミリの制止を振り切り、おじ様は雑に梱包された罠らしきものを複数運んでまいりました。包装用紙をまた雑に破り捨てるとそこには見覚えのある形、依然父がよく携帯していた落とし穴と酷似した見た目です。

「ただの落とし穴じゃないかニャ。これのどこが新作なんだニャ?」
「へへっ、聞いて驚くなよ?こいつの内部には大タル爆弾3個分の威力の爆薬がしこんであるのさ。設置は通常の罠と変わらずで、モンスターが引っ掛かると同時に爆発するスグレモノなんだぜ」

ほー、そいつは凄いですね。うまくいけば自分の手を使わずとも大型モンスターを討伐することが出来るかもしれないってことですか。穴に嵌まっている間も攻撃出来るようにするならボウガンの使用が最も効率的でしょうね。ネルの爆弾と組み合わせれば更に強力に・・・

「今なら大特価、なんと2599zで販売だ持ってけ泥棒!!」
「めちゃくちゃ高いじゃないですかー!!!」

真面目に運用を検討していた私が馬鹿らしい・・・。

「おう、ダメかい?そいじゃこっちのはどうだ、400zで大型モンスターを粘着穴へ嵌めるその名もネンチャク落とし穴!普通の落とし穴より効果は割増で値段も手頃ときたもんだ。こいつぁ買わねぇ方が勿体ねぇってよぅ!」
「・・・アンタにしてはまともな品を提示するのです」
「おいおいそいつぁーないぜミミリちゃんよぉ。俺はいつだって大まじめだぜ?こと接客に関してはな」
「どの口が言うのですか、どの口が」

ミミリがまともな商品とレッテルを貼るくらいですし、本当にいい品なのかもしれません。メジャーなシビレ罠よりは若干割高になってしまいますが、聞くところによると普通の落とし穴より強力だそうですし、効果対コストはピカイチですね。

「あー、じゃあこれにします。それとトラップツールもあればいくつか・・・」
「へいまいど!嬢ちゃんいい買い物したよ!名前はなんていうんだい?」
「はひ?・・・あー、シェリアっていいまふ」

私が名前を告げた途端、おじさんが突然怪訝な表情になります。あれ、私なにか悪いこと言ったかしら・・・。

「・・・あーすまんすまん!そんな引き攣った顔しないでくれよシェリアちゃん。あんたの名前どっかで聞いたことがあるような気がしたもんだからー、な!」
「え?私はおじさんと会うの初めてだと思いますが・・・」
「どうせ更年期障害かなんかなのです。気にしなくてもいいのです」

私の知り合いにこんなゴニョゴニョな頭の方はいらっしゃらないと思いましたが・・・。

「こんなところにいつまでもいたら何買わされるか分からないのです。さっさと買って帰るのです」
「あーはい、そ、それじゃあこれお代です」
「へい、まいどありぃ!ごひいきにしてくれよお嬢ちゃん!」
「・・・ここの罠は作りだけはしっかりしてるから、また買いに来てやるのです」


その後も薬局で回復薬や解毒薬を、食料品店でウォーミル麦やオンプウオ、ジャンゴーネギなんかを買い込んでお店を後にしました。流石に量が多い上に女性二人(と猫一匹)のため帰路は大分苦労しましたが、なんとか訓練所の私の部屋まで運び終えます。

この部屋、明日から別の訓練生が使うということですから泊まるのは今日が最後になるんですね。・・・短い間でしたけど、やっぱり自分が暮らしていた部屋には愛着を感じちゃったりなんかします。
とりあえず荷物はまとめてネコ便で実家に送るとしまして、私自身はまたネルにお願いして運んでもらいましょうか。あの骨皮車に乗るのは些か憂鬱ではありますが・・・。

「お姉様は明日からどうするのです?」

スープご飯(私が購入した)をすすりながらミミリが聞いてきます。

「実家に帰ってハンター生活になりますねー。なんか、ものすごっく不安ですけど。ミミリはどうするんですか?」
「お姉様についていきたいところなのですが、ガルトがロザリーの手伝いをしてるとかで、ここでお留守番なのです」
「あはは、それは大変ですね・・・」

沼地に行ったとか言ってましたけど、ロザリー連れてじゃ帰ってくるのは一体いつになることやら。

「シェリアのことはニャーに任せるニャ!泥船に乗ったつもりでいるがいいニャ!」
「沈む!沈みますからそれ!」

・・・とはいえ、ここぞというときにネルは頼りになりますからね。一人でハンターとしてやっていくのに比べれば、かなり心強いことは確かです。

「ニャーにかかればドデカいモンスターもどっかーんで一撃なのニャー!」

絶対口には出しませんけどね!



まぁ、という具合で訓練生活最終日を無事終えることができました。明日からいよいよ本格的なハンター生活が始まります。おいしいご飯と優雅な生活のため、私が巨大なモンスターと戦う姿を幻視しながら床につくのでした。
というわけで無事に訓練所編が終了しました。シェリアも少しは成長した・・・とは言い難いですね。

えと、初期からここまで読んで下さっている方はよく分かってらっしゃると思いますが、更新ペースがはちゃめちゃです・・・。現在同時進行中の小説となるべく同じペースで進めたいのですが、やはりどちらかに偏ってしまう傾向があるようでして、うぅ。
今後はなるべく満遍なく執筆を進めていこうと思っていますが、期待しないで待っていただけると幸いでございます。


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