漸く更新出来ました。読んで下さっていた方には大変ご迷惑をおかけしました・・・
十三、四面楚歌
前回ネルの言葉にのせられ意気揚々と逃亡を開始したのはいいのですが、数分も経たないうちに悲劇は起こりました。
眼前にはそそり立つ巨大な壁、振り向けば空を我が物顔でぶいぶい飛び回るリオレウスさん、顎をガンガンさせながら近寄ってくるうらなんちゃら、口をかっぱっぱさせSF映画顔負けのレーザーを照射してくるアグナコトルさん。背水の陣なんてことわざがありますけど、今がまさにその状況でございます。
「レーザー照射が来る!南東方面だ!」
「ウラガンキンが転がってきますわ!シェリア、そっちにいきましてよ!」
「リオレウスの火炎ブレスなのです、上空に警戒なのです!」
激しい敵の猛攻を殆ど間一髪で避け続けてはいるものの、退路が敵によって塞がれている為どうにも逃げようがありません。
「こ、これでは丸焼きになってしまいますわ!何とかならないんですの!?」
「厳しいな・・・。唯一ベースキャンプへ続く道は完全にアグナコトルに塞がれている。一か八かで脇を抜けようにもリオレウスやウラガンキンの追撃はまず免れないだろうし、どうしたものか」
絶体絶命です。最近何度もこの言葉が脳裏を過ぎる気がしてますが気にしていたら更に意気消沈しそうなのでやめておきます。
ここは脳を働かせて私シェリアがすぱっと解決策を導き出すのが今までの流れ。今回もご多分に漏れず、解決してみせようではありませんか!まずは軽く現在の状況を整理してみましょう。勝利をつかみ取るには状況把握は大事ですよね。
訓練@火山地帯戦力一覧
〇ハンターサイド
・シェリア
(知力高、他はお察しを・・・)
武器:ベータナイフ
防具:なし(私服)
・ロザリー
(財力高、対応力中、体力技術共に激低)
武器:アルギュ=ダオラ(ただし扱えない)
防具:レアルシリーズ
・ガルト
(体力中、技術中)
武器:アッパーブレイズ
防具:クックシリーズ
・ミミリ
(体力低、技術中〜高、矢残量0)
武器:クイーンブラスター
防具:パピメルシリーズ
〇モンスターサイド
・リオレウス
(攻撃激高、強度高、速度高、その他もろもろ高)
・ウラガンキン
(鼓膜破壊激高、攻撃高、強度激高、速度高、とにかくでかい硬いうるさい)
・アグナコトル
(攻撃激高、強度高、速度高、レーザー危険超危険!)
・・・何でしょうねこの歩兵軍対重戦車みたいな状態は。歩兵ならまだ火器があるからいいですよ、こちらはガルトの大剣(大盾?)以外は完全に丸腰、武器もなければアイテムも殆ど使い果たしてしまいました。残っているものといえばネルの爆弾と先の角笛、それに密林で作ったきり余ったままの素材玉くらいでしょうか。ああ、せめて最後にリオレウスの尻尾煮が食べたかった(超弱気)。
「・・・おや?」
背にした絶壁からふわりとした感触が伝わってきて思わず疑問符を漏らします。はてこんなゴツゴツした岩場にこんな感触が存在したかしら?と振り返ってみますと、そこには絶壁を元気に伝って自生する植物の姿が。空腹の私にはなんとも素敵な食料です、しかし残念なことに調理器具を持ち合わせていない為火を通すことができません。溶岩に突っ込んだら・・・流石に焦げますよね。
と、そういえばこの植物見覚えがなくもないですね。確か・・・稀にハンターさん達がおすそ分けしてくれたことがあったような?おひたしにして食べたような古い記憶が走馬灯のように蘇ります。
「・・・あ」
そして、一つの結論にたどり着いたのです。食べられるかどうかを必死に調べ、おかげで得ることの出来たこの植物の情報を、そして活用法を!
「南東より再びレーザー照射だ!・・・って、どうしたシェリア?」
「ええ、まぁ、ちょっといいことを思いついたんですよね」
調合は私の得意分野です。主にモドリ玉調合の成功で確信に至りました、間違いありません。
さて、そろそろ目の前の植物のタネ明かしをしましょうか。このツヤ、質感、どれをとってもこの植物は罠や虫あみなんかの調合で有名なツタの葉です。天ぷらにして食べるのが一般的ですが、個人的にはひき肉を詰めて煮込んだロールツタの葉がオススメです。まぁ私は肉の部分を米虫で代用していましたけど、それでもしなやかなツタの歯ごたえがくせになったものです。
ってそんなことはどうでもいいですね。今回トラップツールは持ち合わせていないので罠としては使えませんし、その辺の骨と調合して虫あみにしたところでこんな火山の奥地では虫なんて採れたものじゃありません。さて、どうしたことでしょう。
・・・以前モドリ玉を作った時に素材玉を調合しました。実はその余りがまだポシェットに残っているのですよ!こんなこともあろうかと天才っ娘シェリアは事前に用意していたのであります!(たまたま調合で余ったのがポシェットに張り付いていたとかじゃないですよ?本当に)
・・・この素材玉がどうした、ですって?ふふふ、実はこの素材玉、ツタの葉と調合することによってツタの葉に含まれる発煙成分が増幅、これひとつでひとエリアの視界を限りなくゼロに近づけることが出来るのです。その名もけむり玉!・・・まんまですね。
「こうやって切り込みを適度にいれつつぺたぺたぺた・・・」
「活け花なんてやってる場合じゃなくってよー!」
「これが活け花に見えますか・・・。違いますよ調合です。この危機を打開する、唯一の切り札といったところですね」
ふふんと鼻を鳴らしたりなんかしてみちゃいますがそんなことよりこのけむり玉に最初に目がいったのはミミリでした。
「・・・けむり玉!流石お姉様冴えてるのです!これがあればこの状況も脱することができるかもしれないのです!」
「この草の塊がか・・・?」
「ガルトはもっと調合の勉強をするのです、ドアホ」
相変わらずのミミリです、まぁこの技術の結晶を草の塊呼ばわりするんですから当然ですね。
「一発勝負です。通路を陣取っているあの溶岩魚をおびき寄せたらすかさずけむり玉を使用、彼の脇を猛ダッシュです!」
「分かりやすい作戦だ、どちみちそれしかなさそうだな」
「今日は厄日ですわ・・・生きて帰れたら豪華ディナーをご披露いたしますわよ!だからなんとしても逃げてくださいまし!」
「それでは、いくのです・・・!」
連絡用以外にもモンスターの注意を引き付ける効果のある角笛、ミミリの唇にそっと触れ、そして私は非力な腕から繰り出される渾身の力でけむり玉を投擲したのです。
ブオォォー・・・
角笛の音が響き、溶岩魚さんがこちらに向かって突撃してきたのとほぼ同時、私の視界は真っ白な霧に遮られ・・・
そこからの記憶は曖昧です。時折聞こえてくる雄叫びや熱線の衝撃音に身を震わせつつ、倒れそうになるまで走りました。喉は熱気に蝕まれ、常に激痛が伴いました。それでも、それでも命は大事なので私は走り続けなければならなかったのです。
視界は霞み、足もふらつき、今倒れようかというまさに運命の選択を迫られていたその時です。
「ここまでくれば大丈夫だな・・・全員無事か?」
「こっちは問題・・・ないのです。全然・・・疲れてないのです」
「に、二度とこんな訓練は受けませんわ・・・」
三人の声です!さらに薄れてゆく視界にその姿とベースキャンプが流れ込んできます。・・・もしかして私達、逃げ切ったのでしょうか?
「シェリアは無事・・・ではなさそうだな。しかしまぁよくここまで走ってこれたもんだ」
「流石お姉様なのです!冷静な判断力、強靭な持久力、私のお姉様は立派なハンターなのです!」
「ははは、ふふ・・・もう、死んじゃう・・・」
その後、翌朝までベッドで寝込んだのは言うまでもありませんでした・・・。
登場人物の装備をどさくさに紛れて書いてみました。ロザリーは前一度紹介していましたね。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。