僕ドラ2!僕の平和(かな?)なスクールライフ。(16/31)縦書き表示RDF


僕ドラ2!僕の平和(かな?)なスクールライフ。
作:文月



ギガとギガゾンビ。


ジェドーラが家庭科室へ1人で歩いて行っていると、不意に一年生の誰かとすれ違った。急にゾクリとした寒気を感じて振り返ってみると、そこには細い目でジェドーラを睨んでいた八反田がいた。
八反田は溜息をついてからジェドーラに話しかける。
 「よかったんか、あれで。」

 「…何の事?」


 「とぼけるな。さっきお前、野比のび太と何か話してたやろ。
俺が吸音機つこうて無かったら学校の全員にバレる所やったんやで。感謝くらいしてほしいな。」


冷や汗がジェドーラの頬を一筋伝った。それでも八反田は表情を変える事無く、さらに続けて話を続ける。
 「ジェドーラは野比のび太側のロボットだったんやないんか。」

 「残念ながら今は違う。僕はクロネコ側だ。ついでに言っておくとドラパンも。
…君は一体何者なんだ?」

 「ただの時空警察や。安心しとき、俺はお前等の事件に関わってない。捕まえても得もしないお前等を捕まえるよりは、俺の担当の仕事を進めるわ。」

 「そうか。」

ジェドーラは歩いて行く八反田の小さい背中を見送った。だが、すれ違った時から感じていた彼の恐ろしく冷たいオーラを、ジェドーラは忘れる事が出来なかった。
そして、きっと彼は、ただの時空警察というだけではないのだろうと、ジェドーラは直感的に感じたのだった。


                    ***
涙がやっと治まっても、僕の心はすぐには晴れなかった。
ドラパンとジェドーラのあの急な変わり様が、僕にとっては随分恐ろしくまた同時に訳の分からない物に見えた。それは、王ドラも同じだったようで複雑な面持ちで考え事をしていた。
ジャイアン達は驚きと怒りの表情をあらわにして、ドラリーニョは疑問の表情を浮かべながら僕達はまた、どこでもドアを潜ってノンちゃんの家に帰った。
部屋に帰る間際、ドラリーニョが僕の額ランを引っ張りながら僕に尋ねた。

 「のび太君、ジェドーラ、なんであんなに悲しそうにしてたのかな?」

 「え…?どう言うこと?」


 「だってジェドーラ、凄く悲しそうな顔してたよ?のび太君を叩いた時だって、物凄い嫌そうな顔をしてたもん。のび太君を叩きたくないのに、仕方なくしてるみたいな感じだった。」

 「そうかな…?僕は良く分からなかったけど…。」

 「そうだった!」
むぅと少し頬を膨らませてドラリーニョは言った。まだ僕は意味の分からないままに、ドアをくぐったのだった。
部屋に入ると、丁度小龍が先生と話をしている所だった。ドラえもん達もまだ部屋にいた。小龍は少し喜びの表情を浮かべていて、何か良いことでもあったのだろうかと、僕は思った。
僕達が帰って来たのと、僕の頬が少し赤くなっている事に気付く小龍。

 「兄貴!どうしたんスかそのほっぺた!赤くなってるじゃないスか!」

 「いや、これは別に…大丈夫だよ。それよりも小龍、何かあったの?」

そう僕が尋ねると小龍は少し僕を心配そうに見ながらもポケットからタイムテレビを取り出して、床に置いた。そしてスイッチを入れ、ダイヤルを調節しながら僕に話しかける。

 「さっきタイムテレビ透さんに少しいじってもらったんス。そしたらなんか上手く行きそうなんで、兄貴が来たら一緒に見ようかと思いやして。」

 「上手く行きそうって…?」

 「ドラパンとジェドーラが出て行った時の上手く映らなかった所っス。」

そう言った時、タイムテレビの画面が丁度あの場面に変わった。部屋の中をぐるぐるとフクロウが旋回する、あのシーンからだ。僕も、ドラ達も皆画面の前に集まりその画面をジッと覗きこむ。
先生はあまり興味がないようで煙草を吸いながら窓の外を見ていた。


 「始めましてだねぇ。哀れな二人、いや2匹かな…。いきなりで悪いけど、君達にちょっと用事があるんだ。」


 「断る。無断で人の部屋に乱入するような奴に誘われる筋合いは無い。」


 「駄目だよ、君達はオイラに付いて来るんだ。
むしろオイラ達には感謝して欲しいくらいだね。
逆らう事の出来ない、ロボットの悲しーい宿命のおかげで、君達にまとわりつくうっっとーしい害虫達とおさらばできるんだから。」


 「―――!!!」

 「っ…!痛ぁっ…頭が…!?」


 「君達に触れたとき、オイラがあるチップを埋めこんだのさ。
これから君達は、絶えがたい苦痛に襲われる事になる。
もっともそのチップを発動させるにも条件はあるんだ。それが何か分かるかい?ワトソン君。」


 「…!?」


 「オイラはクロネコ。クロネコ達メンバーの声全てを、その小さな小さなチップには保存してある。勿論オイラの声も、薫さんの声もセワシさんの声も皆、皆さ。

そしてそのチップはその声を発動条件としているのさ。登録されている声に反応して、神経と連動したチップが直接…人間で言えば脳に当たる部分にダメージを与える。


でも、オイラ達が話すたんびに反応してもらっちゃ意味が無い。
そこで、だ。
これから君達は、僕等に逆らうたびにダメージを食らうようになる。薫さんがそう設計したのさ。」




 「!」


 「だが…だからと言って…私達が…貴様等みたいな奴に従うと思うかっ!!!」


 「待ちなって。まだ続きはあるんだよ。

ネコ型ロボットに限らず全てのロボットには、ある沢山の決まりごとを打ちこんだ機械を埋めこむ必要があるんだって。そうしないと、自分の身も、人間のみにも危険があるからだってさ。
でもネコ型ロボットは、この前の人間化で色々変わったところもあるみたいなんだけど。

そう、例えばね…。


『ロボットは、自分自身に重大なダメージを受けた時には即急にそのダメージの軽減法を考え、また実行する事。いかなる場合においても自分、そして人間に危険がある場合、最善の対処を取る事。』

つまりね、今の君達は…。」




がくん、と不意打ちのようにドラパンの膝が曲がる。ジェドーラの膝も、特に意識をしたわけでもなく片膝が曲がった。
そして、あのシーンへと画面が変わった。衝撃的過ぎた、二人が忠誠を誓った場面だ。
僕達はずっと黙ったまま、その数分間を見ていた。

―――ジェドーラもドラパンも、これじゃぁほとんど無理矢理入ったようなもんじゃないか…。
 「だからジェドーラ、あんなに悲しそうな顔してたんだね〜。」

ドラリーニョが嬉しそうに微笑んだ。だけど僕には、まだ分からない。
 「だったらなんで二人は…なんであんな事を言ったんだろう。
なんで僕達に、助けを求めようとしないんだろう…。」

 「…多分二人は、裏切れたくても裏切れない状況にあるんじゃないのかな…。

…まさか…

のび太君さっき会った時、手に変な模様とか無かった!?」


 「え…?え、ええ。確かジェドーラの手の甲に変な模様があった気が…。」


 「クソッ!遅かったか……もう二人は手遅れだ…。」

 「手遅れって…一体どうして?」


煙草の煙を1つはいてから、悔しそうに先生はあの模様について教えてくれた。


 「アレは…『消えない烙印』。アレを彫られたものは…その組織に2度と逆らう事は出来なくなる。何故なら逆らえば…その手に強烈な痛みが走るからだ。
それにもし…ギガにチップを埋めこまれたのなら脳へと手からのダメージが倍増して二人に襲いかかってくる。
つまり二人は…もう2度とクロネコを抜ける事は出来ない。
彼等が帰ってくる可能性は…たったの0.0001%にも満たない。」



 「そんな…」




                  ***
 「ギガ?いるかい?」

 「いるよー。何か用かい、薫さん。」

大きな山の中、薫が呼びかけると大きなフクロウが薫の肩にちょこんと乗った。毛繕いをしながらギガは薫に尋ねる。
薫はポケットから取り出した資料を取り出してギガに見せてみた。
 「ホーホー。これはこれは。クローン技術も進歩した物だね、ホホー。
もうすぐ002号も完成かな。」

 「うん、そうなんだ。それで、君にもう1度カプセルに帰ってもらいたいんだけど…良いかい?」

 「オイラは構わないよ、ホホー。」

 「ありがとう。君がいてくれるから、僕達の計画もどんどん進んで行くよ。」

にっこりと薫が笑うと、フクロウは肩から織り、草の茂った地面へと移動した。そこでまた、人間の姿に戻るとギガは大きくあくびをした。地面に腰を下ろすと茂みから続々とギガの周りに集まって来た。タヌキ、うさぎ、鳥やリス。中にはギガの膝の上ですやすやと眠り出すものまで出てきた。ギガは苦笑いを浮かべて薫に言う。

 「ゴメン、もう少し後からでも良い?」

薫は少し呆れたような顔をして返事を返した。

 「良いよ。…君は本当に動物に好かれるね。そのくせ君は動物にだけは優しいものだから動物達は寄ってくる一方だ。」

 「人間よりも、オイラはこいつらの方が好きだな。あ、勿論薫さん達は大好きだよ。なんてったってオイラと良く意見も合うし、オイラを作ってくれたのも薫さん達だし。
でも普通の人間達なんか、大嫌いだよ。」

 「そう。じゃぁ僕は研究室行くから、その子達が起きたらおいで。」


 「うん、分かった。じゃね〜。」
薫は白衣を翻し、木々の奥へと消えて行った。ヒラヒラと手を振りながら見送ると1等のタヌキが上げていない左手をペロペロとなめ始める。くすぐった砂顔をして、ギガはそのタヌキを持ち上げてみた。泥だらけのタヌキを触ると途端に手も汚れてしまったが、そんな事は関係無かった。
黒髪の青年ギガにとっては、彼等と触れ合う事が出来るだけで嬉しかったのだから。




                     ***
 「ギガ…?あの黒い髪の青年の事ですか?」

 「そうだよ。」

煙草の灰をトンと落として、もう1度口に煙草をくわえ、王ドラの質問に先生が答える。
 「彼は元々、ある人間の細胞から生まれた人間さ。ただ問題なのはどこかでちょっと失敗したみたいで、自分が見たり聞いたりした物に自由自在に変わることができるって事。」

僕はふと、ギガという名前で違和感を覚える。ギガ、どこかで聞いた事がある気がする。確か五年生の頃…どこかで…

―――まさか…。
僕はかじっていた爪を口から離し、先生に尋ねてみた。
 「その人間って…ギガゾンビですか?」

そう言うと、先生は驚いたような顔をして肯定した。

 「そうだよ。知ってるんだね。
彼はクロネコを立ち上げる直前に死刑にされた。牢屋に閉じ込められて直、脱獄しようとしたのさ。丁度死にたての良い死体を捜していた僕達にとっては絶好のチャンスでね。
墓に埋められる前にちょっとだけ頂いたのさ、細胞。
不死身といわれたギガゾンビも制限解除した道具にはかなわなかったってトコかな。」

 「何で…死刑になった人間の死体をわざわざ…。」


 「生きている人間の細胞を使うとその人間の意思まで一緒に再生させてしまう。
その点死んだ人間なら持っていた意志も全て失っているから空っぽの状態で生まれる。クロネコにとっては、自分達に忠実で強力な部下が欲しかったのさ。」


ドラパンとジェドーラだけでも強力な駒となるというのに、まだ力を欲しがっていると言うことが、僕にとっては恐ろしかった。力のある者がより多くクロネコに集まれば、僕が死んで僕自身が全く別の人間となってしまう。そして、静香ちゃん達も死んでしまう可能性も確実に高くなって行く。その両方が同時に襲ってきそうなので、余計恐ろしさも増し、僕はブルリと震え上がってしまった。


                   ***
ロンはその頃、未来の世界にいた。ネコの姿もまま、ただぶらりと歩いているだけだった、はずなのに。その足は勝手に、もう1人の自分小龍が住んでいたあの小さな家へと向いていた。特に良く当ても無く、暇を持て余していたロンはその自分の足が進む方へ逆らわずに歩いて行った。
ホースを持って草花に水をまいているのは片腕が義手のイヴ、フワフワと飛んでいるアゲハチョウを目で追いかけているのは幽霊のマリア。
先に気付いたのはマリアで、興味深そうな目をロンに向けながらこちらに浮遊してくる。地面に目転ぶような形でマリアはジイッとロンの目を見つめる。そして不意に大きな声を上げた。


 「小龍!何故ここにいる!」

 「え?小龍?」

イヴがホースの水を止めて、マリアのいる方に歩いてきた。ひょいとロンを抱き上げてマリアはイヴにロンを見せた。イヴはどこが小龍?と聞きたそうな顔をしてマリアの方を見た。
ロンは少し考えてから自分の首についている小さな布袋をマリアに見せた。マリアはその中に入っていた動物ビスケットをロンの口に入れてみる。

小さな爆発音がして白い煙が周りに充満し、マリアの手からネコが急に消えた。

 「よう、久し振りだな。マリア、それに…イヴ。」

人間の姿になったロンがひょいとイヴの顔を覗きこむ。イヴは驚いて1歩後ずさるが、ロンはいたって平然とした様子でクスッと笑った。マリアは威嚇した表情でロンの方を見ていた。

 「落ち付きなって。俺はもうお前等は殺さないし、小龍の野郎ものび太達も殺さねーよ。」

 「じゃ…じゃぁ貴方は一体…。」

 「別に。今日だって別に散歩してたらここに来ただけだし。…あぁ、用事はあるっちゃああるかな。マリア、お前の力がまたそろそろ必要になりそうだぜ。」

自分の名前を呼ばれたマリアが、少し警戒心をほどき尋ね返した。
 「私の力?」

 「そうさ。そろそろまたのび太等が忙しくなりそうだ。
何てったって…ドラパンとジェドーラの野郎が裏切りやがったからな。昨日透の奴を刺し殺しかけたばかりらしい。」

 「ドラパンとジェドーラが?ありえない!それに透は…行方知れずになっていたのでは…。」

 「そうよ、…滝沢透の写真はクロネコをいくら追いかけても出てこなかったもの。」

腕組みをしたロンが面倒くさそうに語り始めた。


 「透の奴は俺がクロネコにいたときも1度も姿を現さなかった。多分奥の方にこもって研究をしてたんだろうよ。だが今はのび太側についてる。
ドラパンとジェドーラの件は謎だらけだ。多分小龍が今向こうで調べてるんだろう。ただ、あいつがのび太やドラえもんズを裏切って透を刺したってのはマジの話だ。
ったく…めんどくせえったらありゃしねえ。
で、どうすんだマリアにイヴ。

俺は今から過去に行くがお前等はどうしたい?
こっちで|過去《向こう》の成り行きを見届けるか、向こうに行ってあいつ等の手助けをするか。こう言うことに俺が口出しする覚えもねーが…一応は小龍も関わってる事だ。黙って見てるってのも…気にくわねえ。

で、お前等は行くのか、行かねーのか?」


 「私は行くぞ。」

 「私も…行きます。」

そう二人が言うと、ロンはニヤリと口の端を歪めた。砂の音と共に振り返り、自分のタイムホールのある場所へと二人を連れて行く。タイムマシンで移動している間、マリアはギリッと歯軋りをして前を見据えた。自分の中を走馬灯のように駆け抜けるドラパンの幻影を一つ一つ捕まえて行く。

クールなクセして結構熱い所がある彼は決して弱音を吐こうとはしなかったけど、それでもちょっと気を緩めてしまうと脆い彼があっという間に崩れてしまいそうな気がした。そんな突拍子も無い想いを、マリアは数ヶ月立った今でもしっかりと覚えている。

イヴが思い出していたのは優しいジェドーラの姿。
はじめてあった時はすでにもうフラフラで、立っているのが信じられないほどだった。休む事を進めても、もう動けるの一点張りで決して意見を変えようとはせずに仲間が戦っているんだと必死で一歩一歩を進めていた。一回だけ、未来に来てくれた時に作ってくれたケーキのエッセンスの味が今でも忘れる事が出来ない。


―――分からない。

ドラパンが、ジェドーラが


あんな非道な事を平気で出来てしまうクロネコに味方をする理由が…。


えっと、ごめんなさい。
何がって言うと、この前の前の話で「今日は土曜日」というセリフがあって、なのに今日の2時間目とか調理実習とか訳の分からない展開になってしまって行って…。
本当は土曜日ではなく、ただのび太達が学校を休んだだけであります。
誤解を呼んでしまい、スミマセンでした。
これからは気をつけます…。











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