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史上最悪の○×ゲーム

作者: 柳 大知

『一ヵ月後、地球上の全ての国の面積を半分にする。東西南北、どこから境界線が引かれるかはそれぞれ違う。どこへ逃げても一緒だ。選ばれた場所にあったものは生物も建物もすべて消え、更地になる。だが、その日まで人間は通常の生活を続けろ。もし経済が混乱などしたら実行を早める。お前達人間に出来るのは、その瞬間何処にいるのか、その選択だけだ。』

 

 こんなメッセージが入った金属の小型カプセルが空から世界中の国に降ってきた。

 各国の政治の中枢はもちろん、TV局、新聞社、それだけでなく普通の家庭でも届いた所があった。

 各国政府は直ぐに悪質な悪戯だと発表し、国民に安全を訴えた。


 しかし現代、こんな珍しい事件は国民の間にすぐに広まる。

 世界中の国にメッセージが届いたという異常性。カプセルに未知の金属が使われていると、分析結果を発表する科学者も現れた。さらに、ある無人島でメッセージそっくりの異変が起きているのが発見されると、これらを知った人々は宇宙人の仕業だと叫び、混乱に陥った。

 

 史上最悪の2択ゲーム。そんな見出しをつけた新聞社もあった。

  

 海上にいれば安全だという噂が広まると、船を持つものは自船を整備し、金持ちは船旅の用意をした。そのせいで船旅の価格は高騰した。

 また、空にいれば安全だという意見もあり、その時間に空を飛んでいる飛行機のチケットにはとんでも無い価格が付けられた。

 

 だが多くの人は実行が早まるのを恐れこれまで通りの生活を送っていた。

 混乱の中で犯罪を犯す者もいたが別段多くは無かった。世界が全滅するわけではない。半分は生き残り、元の生活に戻れるのだ。死を恐れ犯罪を重ねる者は少なかった。

 また世界中の霊能者や占い師が、そこは安全、ここは危険などと論じると。それに従い居場所を変えるものもいた。

 そうしてあっという間に一ヶ月が経った。


 日付が変わった国から異変が起こるという意見を信じるものは、一番最後になるであろう地域に待機し、各国の生存地域の情報を得て、その法則性を探そうと考えていた。

 一方、ごく普通の家庭では、その瞬間を映そうとしているTVの前で家族が身を寄せ合い、祈っていた。

 

 だがおかしい、そのときを迎えたはずなのに、どこの国からも異変の情報は伝わってこなかった。

 しばらくして報じられたのは、宇宙から再びカプセルが降ってきたという一報だった。


 日本の総理官邸にも新たなカプセルが届いた。


「総理、こんなメッセージが…」


『各国政府は今回の騒動で利益を上げた人間からその利益を回収しろ。そしてそれを世界中の貧困層に配れ。もし実行しなければ、従わなかった国を今度は本当に半分にする』


メッセージを読み終えた首相はこういった。


「おいおい、なんだこりゃ、まるでねずみ小僧じゃねえか」



(了)

世界が半分になることを突きつけられるという案はもとからあったのですが、オチをどうしたらいいか分からず一旦ボツにしました。


急にこのオチを思いついたんで書いてみましたが…

実際はもっと混乱するかな…


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― 新着の感想 ―
[一言] オチが なるほどーって感じで、 なんかびっくりですw
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