第5話
今日は満月。
かぐやの屋敷は厳重警戒です。
ぴりぴりした空気が流れて来ます。
かぐやは一人部屋で泣いていました。
--まだ、ここにいたい。
おじいさんとおばあさんや桃太郎といっしょにいたい。
それに、まだ桃太郎に想いを伝えていない。
「帰りたくないよぉ・・・・」
と泣き声の間からわずかにもれました。
「おーいっ。 何泣いてんだ?」
ふすまの外に桃太郎が立っています。
「桃太郎・・・・っ」
「大丈夫だって。剣の腕には自信があるからなっ」
桃太郎はその場にそぐわないような、大きく、明るい声で言いました。
伝えるのは今しかない。
かぐやは大きく息をすいました。
「・・・・桃っ」
とたんにあたりが明るくなりました。
とうとう来た。
どうする?
このまま何も言わずに行くの?
何も言わなくてもいいの?
逃げられないのはわかっている。
ふすまが、音も立てずに開きました。
そこにはとても美しい天女がいました。
---とうとう、来てしまった。
かぐやは言いました。
「私はもうそちらに行かなくてはいけないのですね。」
でも、返ってくる返事はあまりにも意外でした。
「いいえ。あなたはただいまの時間をもって月の国から永久追放します。」
「え? 何故ですか?」
「鬼と接触するのは月の国では禁止されているからです。」
かぐやはあっけにとられてました。
そして、天女は続けました。
「月の人々は鬼の悪の気に敏感で、将来絶対に鬼と接触したものは物の怪に取り憑かれたかの様に狂いだす。
自分自身を忘れて。そして、人を愛しい人をも殺めます。」
かぐやはぽつりと言いました。
「そんなことは無い。みんな、みんな、鬼だけれどもいい人たちだから・・・心は鬼じゃない。」
天女は言います。
「いいえ。」
かぐやが言い返そうとすると、天女が消えていました。
かぐやはショックを消せません。
あわてて外に出るとみんな慌てていました。
「なんなんだっいきなり消えてくぞっ」と言う声。
天女が乗って来たと思われる乗り物が空へへと消えて来ます。
すると、桃太郎・おじいさん・おばあさん・鬼達が一斉にやって来ました。
「よかったっ ずっと此所に居られるなんて。」と桃太郎がいいました。
「さっそく祝わないとねっさっ、宴会の準備を。」とおばあさん。
「ずっと、ずっと、また暮らそうなぁ。」とおじいさん。
鬼達は喜びの舞をはじめました。
「まだ早いって」と笑いながら言う桃太郎。
かぐやは素直に喜べませんでした。
「・・・・・どうゆうこと? 狂うって何? 人を殺めるってどうゆうこと?」
かぐやは動揺してなした。 |