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9 注意のちイケナイ幕開け
「・・・」

今現在、俺・舞木智一は生徒会室の前に居ます。
それとクラスの奴等の言葉が気になりましたが・・・あいつ等は冗談好きなようで・・・。
あの後詳しく話しを聞けば、

「ごめんごめん、そんな本気に取るなって! 俺等は健全な男子だ、普通に女が好きだ!!」

なんて。
上級生が殆どアレなんで、アイツ等もと疑ってしまった自分がうざい。
悪い・・・クラスの奴等・・・お前等は良い奴だ。

「んじゃま、お邪魔しますか」

心の整理が済み、俺はこんこんと生徒会室の扉をノックした。
中で声がし、扉を押して開ける。

「キミが舞木君かな?」

入って直ぐ、一番奥の机に着く生徒会長さんらしき人に声を掛けられた。
他には部屋中心の二個あるソファの一つに腰掛ける、副会長らしき人。

「え、ああ・・・はい。 そうです」
「んじゃま、取り敢えずそこ座って」
「あ、はい」

肩に着くくらいの金髪の副会長さんが云い、俺はそれに従い近くにあったソファへと腰を下ろす。
短くはねはねな黒髪の会長さんは椅子から立ち上がり、俺の向いのソファへと座った。
副会長さんは俺の横へと腰掛けた。
腕を肩に回され少し動揺を見せてみる。反応はナシ。少し悲しい。

「所で君・・・」

会長さんはそんな俺に構わず、両手を組んで少し前に身体を傾けた。
その声音が真剣で、何云われるのかなと少し俺は身構える。

「何時も廊下を走ってるよね?」
「へ?」

予想してなかった質問に、俺は素っ頓狂な声を上げた。
 だってさ、ここんとこああゆう事が続いてたんだぜ・・・まぁ、普通で良いんだけど。
心中で思い咄嗟に頭を下げた。

「す、すいませんっ! ・・・で、でもですね―――」
「”でも”・・・何?」
「ぅ゛・・・」

笑顔なのに、声が低く・・・俺の反論の余地を与えないとばかりに会長さんは威圧感を放つ。
俺はその威圧感に怯み、小さく唸って俯いた。
 だって、めちゃこええもん・・・
俯いた俺を見て、会長はふぅと息を吐いてソファの背もたれにもたれた。

「まぁ、君達の追い掛けっこは毎回見させてもらってる、アイツ等も悪いと思うんだけど・・・」

そこで俺は顔を少し上げ、目だけで会長の顔を捉える。
会長の顔は真剣そのもので、やっぱり学園で一番凄い生徒なんだと思い知らされるものがある。

「でもね、アイツ等は君が逃げるから追掛けるんだ。 つまり、君が逃げなければ、追い掛けっこは起こらないって事なんだ。解る?」
「・・・つまり、会長は俺が如何なってもいいから逃げるな、と云いたいんですか?」

会長の問い掛けに俺は問い掛けで返す。
少し考える素振りを見せ、こくんと頷く。

「まぁ、そうなるな。 ドンマイ、舞木」

ぽんぽんと隣に座る副会長が、俺の肩を軽く叩き云う。
暫く瞬きを繰り返した後、ふぃーと大きく息を吐く。そして大きく息を吸った。

「って、何考えてんすか!! 俺が如何なっても良いから逃げるな?! ふざけんなッ!!!!
 こちとら大変なんですよ!!必至なんです!! 如何なっても良いだなんて・・・無責任な事云わないで下さい!!!!」

吸った息を全部吐き出す勢いで、俺は云い募った。
云い終わりぜーはーぜーはーと肩で息を繰り返し、俺ははっと我に返る。
・・・ヤベ、ま、まぁ・・・敬語使ってるだけよしとするか、一瞬頭に過った不安をふるふると頭の端へと追いやるように心中で呟く。
でもちょっと不安が残る俺は、恐る恐る顔を上げた。
目に入ったのは、目をぱちくりする会長。

「・・・僕はそこまで考えなかった。 無責任だったな、すまない」
「会長・・・」

バツの悪い顔で申し訳無さそうに会長は、小さく頭を下げるとぽつりと云った。
俺の想いが通じたのだろう、会長は少し何かを考えてから、頭を少し上げて俺の目を真っ直ぐ見る。
その綺麗に整った顔が俺を真っ直ぐに見詰めて、少しばかし胸がドキンと鳴った。
俺が少し目線を逸らそうと思いだした頃、会長は苦笑交じりに溜息を吐いた。

「でもまぁ、廊下は走らないように。 早歩きまでなら許すから」
「んじゃま・・・生徒会からは以上だ。 もう戻っていいぞ」

がたりと席を立った会長を見てから、副会長が横からそう云った。
それから強引に立たされてぐいぐいと背を押される。
副会長が扉を開けて、俺は生徒会室から追い出されるように廊下へと出た。
用件あれだけかよ少なッと云う感想が先に頭に浮かんで、消える頃に最後の会長の言葉が引っ掛かる。

「・・・ッ! アレだけ云ったのに・・・走るなってか・・・ひでぇよ、生徒会・・・」

がくしと肩を落とし、俺はとぼとぼと教室へと戻る。
階段を降りて曲がってまた降りて、また曲って降りて降りて曲がって。
後二回、廊下の角を曲がれば俺の教室一年四組に到着、って所で俺はヤツに会った。会ってしまった。
そう、俺のキライな―――――

「ひ、日野先輩・・・」

俺の言葉に日野先輩は薄く微笑んだ。そして俺に歩み寄る。
無表情でも微笑んでても、やっぱりこの人は怖い。何考えてるなんて全く分からないから・・・

「生徒会室で・・・何かあったか?」

俺の前まで来ると、肩に手を置いてから日野先輩は尋ねた。
心配・・・なんてのをしてくれてるのかななんて思ったけど、この人に限って有り得ない。
だから、俺は当たり障りのない言葉で返す事にした。

「い、いえ。 別に何も・・・ただちょっと注意されただけでして・・・」
「そうか、なら良い」

何が良いんだろうなんて思いつつ、俺は「はぁ」と返事を返す。
すると先輩の表情が何時もの無表情に変わり、俺の手を掴んだ。おまけに教室と別の方へと歩き出した。

「あ、え・・・ちょ、先輩?? もう直ぐ授業なんですけど・・・」

しどろもどろになる俺の言葉に何も返さず、先輩はただ歩く。何処に向かってるかなんて全然解んない。
そのまま階段を上がったり降りたりするでもなく、先輩の足は止まった。俺は少し遅れて足を止める。
次いで引き戸をガラガラと開けて、その中へと入って行く。一瞬だけ見えたけど、此処は多目的室らしい。
中は埃っぽくて物が散乱していて、使われていない事が俺でも解った。

「あ、えっと・・・?」

俺が首を傾げて呟くのと同時に、チャイムが校内に鳴り響いた。
先輩はそんなものお構いなしに引き戸を閉める。それから鍵も閉めた、ように見えた。瞬間、冷汗がダラダラ。

「せ、先輩・・・?」
「お前さ、オレに嘘吐いてんだろ」

気が付けば扉の直ぐ横の壁、そこに俺は背を付けて手首を先輩に持たれていた。
何時もの無表情がちょっと今は崩れ、不愉快・・・そんな面持ちをしている。
近い先輩の顔、頬に掛かる息・・・それだけで物凄くドキマギしている自分が居る、気がする。

「う、嘘なんて・・・吐いても何にもないじゃないですか・・・」
「もしくは何か隠してる・・・何かオレに云いたくない事でもあったのか?」
「な、何でそんなに疑うんですか?!俺が先輩に嘘吐いて何があるんですか!?」
「・・・態度で分かる、何か隠してる」

ちゅと音を鳴らして、先輩は額へとキスをした。少し乾燥していて、ガサガサしている。
じゃなくて、俺が何を隠してるって云うんだ!何もない、あった事をちゃんと話したじゃないか!!
と云うか、何で先輩にそんな事云わなきゃなんねえの?ワケ解んねえ!!!!
少しムスっとした表情を作って、口を開く。

「何も隠してなんか居ませんよ、これ本当です」

そんな俺の言葉に溜息を吐いて、真っ直ぐ俺を見つめて口を開いた。

「・・・じゃあ、云うまで帰さない」
お待たせ致しました!! 長いですね・・・すいませんm(_ _)m
この頃、評価や感想があって凄い嬉しいです!! この場をお借りしまして・・・どうも有難う御座います!!!

さて、イケナイ幕開け・・・と云う事で―――次回!!(笑)


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