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35 夢じゃない!
「・・・っん」

 目を覚ますとそこは、先輩の部屋、ではなく俺の部屋・・・で。目を擦ってみても、そこはどう見ても俺の部屋で。
俺は何度も目を擦ってみた、けど変わらず俺の部屋だった。見知らぬモノも沢山あるけど、俺の部屋だ。

「・・・昨日のは、夢?でも確かに昨日は―――」

 瞬きを繰り返し、一人呟く。
 そう、確かに身体には先輩の感触なんかが残ってる。これが夢な訳がない。でも実際、俺は自分の部屋に居る訳で・・・。

「―――何っ?!まさか此処まで来て夢オチっ?!」

 ぬぎゃああああと頭を抱え、一人奇声を発する。ごろごろとベットの上をのた打ち回り、ふと止まる。

「・・・あり?此処、あったかい?俺、こっちで寝てた、よな?」

 俺の寝ていた場所、少し離れた所に温もりを発見。ぺたぺたと手で触る、確かにあったかい。ついでに臭いも嗅いでみる。

「アレ、先輩の甘い匂い・・・?」

 それからまた部屋へと目をやる。俺は目を瞬かせた。違う。似てるようでまるで違う。
首を捻り目を瞬かせる俺は一つの足音でびくりと身体を揺らした。足音はこの部屋に近付いて来る。

「足音が母さんだったら夢オチ・・・先輩だったら現実・・・」

 呪文のように呟き、ドギマギする心境で扉を凝視する。足音は扉の前で止まり、ノックもなしにドアノブを捻り、そして内側へと押し開けられた。
俺の目の前に現れたのは、物凄く可愛い俺の妹ではなく、はたまた煩い幼馴染のアイツでもなく、口煩いけど本当は俺の事を心配してくれてる素晴らしい母親でもなくて。

「起きてたんだな」

 時たま見せる素晴らしい程の爽やかな笑みでそう云うのは、昨日の午後までは唯の学校の先輩だった俺の彼―――いや、恋人の日野大輔先輩だった。
そんな先輩を見て俺は凄く嬉しくなって、ベットから飛び降りるとその勢いのまま抱き付いた。

「いっ」
「夢じゃなかったっ!!!」

 閉めていた扉に先輩は背中から勢い良くぶつかり、声を上げるのも無視し俺は叫んだ。
本当に嬉しい!昨日のは夢じゃなかった・・・本当に俺は先輩と・・・っ!!!俺の脳内はそんな言葉でいっぱいになった。
 ぎゅうぎゅうと先輩を絞め殺してしまう程力一杯抱き締める。

「ちょ・・・舞、木くる、し・・・っ」

 ペチペチと背中を弱く叩く先輩は本当に苦しそうに唸ったのを見て、俺は我に返り、慌てて離れる。

「ご、ごめんなさいっ!俺、すっごい嬉しくってその・・・」

 あわわと慌てる俺を先輩は咳込みながら、涙目で見上げて来る。うぐ、それもまたイイ・・・

「いや、・・・いい。ゴホゴホっ、オレも・・・まだっ、信じられないし」

 ゼーハーと呼吸を整えつつそういう先輩に、俺はまた抱き付きたい衝動に駆られる。だけど抑える。
息が整った所で先輩は立ちあがり、俺と目線を合わせて来た。

「つうか、夢な訳ねえよな。此処に舞木は確かに居るし」
「・・・そう、ですね」

 柔らかい微笑みで云ってくれる先輩の言葉に俺はこくりと頷いて返す。
そしてどちらともなく目を瞑ってキスをした。それは確かめあうような、濃厚で甘いものだった。
 先輩、俺・・・俺、先輩の事好きになれて良かったよっ!!!








 そして時間は早く過ぎるもので、俺達が付き合い始めて約一ヶ月が経とうとした七月某日。
世間は夏休みだの云いだす今日この頃、何時ものように屋上で弁当を広げて談笑していた俺達の所へ、何時も通りの笑みで日野先輩がやって来た。

「先輩、如何したんですか?」

 水筒を片手に、俺は自分を見下ろす先輩へと問うた。返事は直ぐに帰って来ず、微妙な沈黙が続く。祐樹達も何事かと少し身構えている。
もう一度問いかけようと口を開いた瞬間、

「夏休み、何も予定がなければ、オレの親父の兄の別荘に行かねえか?」
「・・・へ?」

 突然の言葉に、俺含めそこに居た五人が揃って首を傾げた。何度か瞬きを繰り返し、先輩の言葉を脳裏で繰り返して見る。
夏休み、何も予定がなければ、オレの親父の兄の別荘に行かねえか?夏休み、予定がない、オレの、別荘・・・?

「―――べべべべべべべ、別荘っ?!」

 驚きのあまり水筒を落としそうになりつつも俺は叫んだ。
べ、別荘なんて本当に持ってる人いるんだ、なんて庶民的な思考を巡らすのも一瞬、俺は何の躊躇いもなく二言返事で返していた。

「はい!行きます!!」

 そしてそれから色々あって、祐樹達四人も都合が良ければ行かせて貰う事になった。
でも、それが波乱万丈な事件に繋がるなんて、この時の俺は微塵も思っていなかった。って、当り前か。
 その日から俺達は色々連絡を取り合って、日程と都合を確認して、夏休みへと突入した。

To be continued...
はい、まずはですね最後のアレ、綴りあってるんですかね?←ォィ

さてさて、やっと最終話を迎える事が出来ました!!
それもこれも、読んで下さった皆様のお陰で御座います!
では皆様、此処までお付き合い、有難う御座いました!

さて、これの続編で会える日が来ると良いですね・・・つうかやりますよ!此処まで来たら!!w

では、駄文もこのくらいにして―――ご愛読、有難う御座いました!!!
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