29 悶々とした気持ち
その日は何事もなく、帰路に着いた。別に何かあって欲しい等とはこれっぽちも思っちゃいない。ただ、普通な帰り道が詰らないだけ。
誰かと帰りたいだなんて思っちゃいない。・・・嘘だな。やっと自分の気持ちに気付いたんだ。・・・先輩もこんな気持ちだったの、かな?今になって解る。
「あー、今直ぐ顔を拝みたい・・・」
暮れかけの薄いオレンジ色の空を見上げ、ぽつりと呟いた。周りに人は居ない。数秒して、今自分が云った言葉が脳内で再生された。
瞬間立ち止り、目を瞬く。・・・俺、今何――――
「―――ちっ、違う違う違うっ!!!俺、別に先輩の顔なんてっ・・・!?」
頭を抱え、俺は叫んだ。
意識し出した瞬間、こんなのって如何よ俺?!ってかそれが普通なのか?!あ、いや、そうなんだな!!もう俺自嘲。
今思えば、俺は恋なんてモノは初めてだ。中学の時は全く興味なんて無かったし、人の恋愛事情ってモンも興味なしだった。
彼女も欲しいなんて思わなかったし、友達が居れば良いしとか思って奴だし。
「・・・何か青春を無駄にしてる気がするな」
肩を落とし、歩き始める。恋愛・・・なんて興味無かったけど、いざやってみれば何か楽しいモンだな。
ルンルンと鼻歌交じりにステップなんて踏みながら家へと帰る。途中、商店街内の肉屋の前でばったりと宝と逢い、肩を並べて商店街を出る。
「ねえ、智一?」
家まで後数メートルの所にある信号で立ち止まった時、宝は俺の顔を覗き込み、声を掛けて来た。
何だか改まった感じの声音に俺は数回目を瞬かせた。そして首を傾げる。
「な、何・・・?」
何故か緊張し、上擦った声が出る。こういう雰囲気は嫌いなんだ!もっと砕けて話そうぜっと俺は何時もこんな状況になったら思うね。
そんな俺の心の内も知らず、そのままの宝は俺の目を覗き込んで来た。顔を見られるより恥ずかしい・・・。
俺は無意識下で目を逸らしていた。もう習慣なんだろうな・・・目合わせるのって嫌いだし。
「何か、良い事でもあったの?」
「・・・ぇ?」
不意な質問に俺は思わず尋ね返す。大きな目をぱちくりさせ宝は俺を見る。だから見るなって。
「・・・何で?」
赤が点っている信号を見つめ横目で宝を見、俺は尋ね返す。
俺から目を離し、宝は持っているスーパーのビニール袋を持ち直した。それから
「んー、何となく智一が楽しそうに見えたから・・・かな?」
にこりと微笑み、俺へと目を戻す。迂闊にもその目と合ってしまい、俺は逃げるように目を逸らした。
何故・・・そんな行動をとったのかはまるで解んない。ただ、何だかコイツには全て見透かされてるんじゃないか・・・そう思ったから。
俺が学校の先輩に―――しかも男に恋をした、なんて事がバレるかもしっれないと思ったからだと思う。
「・・・で?如何なのよ?」
「そうだよ、何か楽しいんだよ!!」
冷やかすようにニヤニヤして問い掛けて来る宝から逃げるように云い、青に変わった信号を確かめてから俺は駆け出した。
その後ろから宝が声を掛けて来たけど、俺は聞こえて居ない振りで猛ダッシュ!!
一度も振り返る事無く、俺は家へと駆け込んだ。
その夜、俺は宝の質問攻め地獄から逃げるように自室へと早々と籠った。
「ちょっと智一!!何が楽しいのよ!答えなさいっ!!」
「煩い!!お前になんか云うかよバーカッ!!!」
そんなやり取りを数十回繰り返し、宝は渋々と云った感じで退散していったのは、夜の十二時過ぎの事だった。
「ったく・・・しつこい野郎だったぜ」
呟き、俺はベットへとダイブ。ぼふと顔面から布団に埋まる。
「つうか・・・明日どうしよっか」
ごろりと寝返りを打ち、よっこらせと上半身を起こす。ボサボサの髪を手で押さえ付け、頬を掻く。
今日、本当はあそこで先輩にヤられる筈だった・・・でも、俺が先輩を拒絶して、結局は無かった事になった・・・?
俺が先輩だったら凹むのは当たり前で、ちょっとの間、好きでも顔を見たくない・・・って思うし。
せ、先輩がそうだったら俺・・・折角先輩の事が好きって思ったのに、伝えられないの、か・・・。
「・・・まぁ、自業自得って云えばそうだけどな・・。うわ、情けないわ、俺」
またぼふと今度は背から布団に沈む。腕で顔を覆い、自嘲気味に笑ってみる。でも、ただ虚しいだけ。
「うわー・・・俺、マジで明日どうしよっか・・・?」
悶々と明日の事を考えている内に、俺は何時の間にか眠っていた。
薄っすらと覚えているのは、夢で俺が先輩に想いを伝えた事、それに先輩は―――俺はそこで目が覚めたんだ。見たかったのに。
そうして、俺は学校―――否、戦場へと足先を向けたのだった。
・・・さて、前回から若干書き方を変えました。どうだろうか?
えっと、本編とは全く話が違うのですが・・・今流行りの風邪つうか、なんかありますよね?
あれの所為でオイラの地域周辺の小中学校が休校になりました!
嬉しいやら、そうでないやらなんですが、まぁ執筆し放題ですよコレ。
皆様も、風邪には十分注意して下さいませ!
ではでは!!
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