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老賢人の話

始めに戦争があった。

いつ始まったのか

なぜ始まったのか

誰も知らない。


ただ、人々は憎み合った。

父を殺し、母を殺した敵が憎い。

妹を殺し、兄を殺した敵が憎い。


二つの国は同じように敵を憎くんだ。


二つの国の真ん中に老賢人が住んでいた。


老賢人は戦争がなぜ起こったのかを唯一知っている人間だった。


二つの国の長は、老賢人に話を聴きに行きどちらの国が悪いのか判断を仰ぎに行くことにした。



老賢人はこう言った。


「戦争がなぜ始まったか教えよう」


二人の長は頭を垂れた。


「戦争がなぜ始まったか教えてください」


それぞれの長が言った。

ある年の暮れに、二つの国の長が話し合った。


今、老賢人が住んでいる土地がいったいどちらの国の土地なのか。


一人の長は、

私達の国の主な川が流れている老賢人の土地は私達の国のものだ

と主張した。



もう一人の長は

私達の国の誇りである山脈がある老賢人の土地は私達のものだ


と主張した。


その結果、二つの国は老賢人の持つ土地を巡って戦争になったのだ。


老賢人の話を聴いて、一人の長がいった。


私達の国の川はもう200年も前に枯れてしまった。

老賢人の土地はもう、私達の国のものではない。



それを聞いたもう一人の長も言った。


私達の国の誇りだった山は無惨にも200年前に破壊されてしまった。


老賢人の持つ土地は私達のものではない。


二人の長はもう戦争をする理由はないと判断した。


そしてそれを、二つのの国で同時に発表することにした。


二つの国の長は

もう戦争をする理由がないこと

老賢人の土地を自分達は放棄すること


を発表した。







それからすぐに

二つの国の長がそれぞれ変わった。


誰が私達の川を枯らしたのか

誰が私達の山を破壊したのか


戦争をするためだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] はじめましてW3182A 宇宙と書いてそらと言います。小説読ませて頂きました。人は戦争から逃れられないんですね。なにかしら理由をつけて戦争をしたがる生き物ですね。面白かったです。 よければ…
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