表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/137

14.知らなきゃいけないこと

「1000年…ですか。」



 それ以上の言葉が出ない。

 私の困惑した様子をメルバさんは静かに見守っている。



(1000年かぁ…すごいご長寿。って、違う!そうじゃなくて、そうじゃなくて…)



 若干混乱しつつも、事実の確認をしていく。



(えっと、エルフのみなさんがこっちに来てから魔力も寿命も伸びた。

 それで、私もそれに当てはまる、と…。)



 そこまではわかる。

 でも、それが1000年ってなると、どうにも信じがたい。



「実感が湧かないよね〜。僕らもそうだった。」



 メルバさんがしみじみと言う。

 そうなんだよね。いきなり寿命が10倍になりましたって言われても信じられない。



「それが本当なら、私、どっちにしろ戻れませんでしたね。」



 苦笑しながら言うと、メルバさんが申し訳なさそうな顔をする。ぐふっ。

 美形の困り顔は威力100倍ですね。というか、そんなつもりじゃなかったんです。



 …だからその麗しい困り顔は勘弁して下さい。

 私が何かフォローしようとする前にメルバさんが口を開いた。



「ごめんね。ホントはあーちゃんみたいに魔法で返してあげられたらよかったんだけど…。僕は「魔法」は使えないから…。」



 あー兄ちゃんは姿も戻してもらったんだっけ。

 でも、魔法がないのは仕方ないし、使えないのも…ん?



「もう気にしないで下さい。それより、あの、メルバさんって魔法使いじゃないんですか?」



「魔法使い?あーちゃんもそんなこと言ってたね。魔法は神様や精霊が使うものだよ。「有り得ないこと」を実現する。

 僕たちが使えるのは魔術。世界の法則に則って現象を起こすんだ。だから僕の場合は魔術使いになるし、世界の法則を超えるものは実現できない。」



 ああ、そういうことですか。

 ラノベによっては「魔法」と「魔術」を明確に区別しているものもあった。



 つまり、「魔法」は奇跡で、「魔術」が私が思っていた魔法にあたるんですね。

 それで、メルバさんは魔術使いで世界の法則には逆らえないと…。



(だから、世界の違うここには魔法はないし、世界の法則を曲げられないメルバさんは帰り道も作り出せないと…。)



 どっちにしてもメルバさんのせいじゃありませんね。

 帰れない理由が具体的にわかって納得すると、胸の中のもやもやしてたものがすっきりした。



 そこまでショックを受けてないのは、昨日には大まかに説明されてるからかな。

 それに思いっきり泣いたし…。



(ううん。違う。…たぶん、クルビスさんがいてくれたからだ。)



 黒一色の横顔が浮かぶ。

 あんまりこっち向いてくれなかったから、横顔の印象が強いんだよね。



「…成る程。そういうことだったんですね。すっきりしました。ありがとうございます。」



「納得出来た?」



「寿命についてはまだ実感がわきません。でも、今の状況は理解しました。不思議ですが、いろいろ教えてもらえてかえって落ち着きました。」



「ふふっ。よかった。…後、もう1つあるんだけどいいかな?」



 まだあるんですか。

 今度は何だろ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=279034186&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ