第3話 The Third Mystery 後編
うららかな昼下がり、今日もドッボがうまい。
ドッボというのは、スティック状のお菓子で、俺が好んで食している。
最近の熱気で、中のチョコはドロドロだがコレばかりは仕方がないだろう。
俺が2袋目のドッポを開けた時、急に枕谷が入ってきた。
「あぁ、殺人事件が起きた」
また、急だな。
「先生、何年生ですか?」
クラスの女の子の言葉だ。
「あ、いや、学校じゃない。この近辺でな、学校に犯人が潜む可能性があって危険だから、お前ら今から帰れ。なるべく大人数でなぁ」
「お〜、くじら。帰ろうぜ。」
大辻がクルっとこちらを向いた。
※ ※ ※
「しっかし殺人事件とか急だよな〜」
当たり前だ。今日日、予告殺人があるわけないだろ。お前の頭は小説か。
と、心の中で悪態を付きつつポケットを探った。
「ってあれ?チャリの鍵が無い?悪い先帰っててくれ。後で、追いかけるから」
本当に、どこにも鍵がない。
「分かった、じゃ、帰っとくわ〜。」
さらばだ。大辻。
しかし、鍵を無くすなんて付いてないな。1日中机から立たなかったのに無くすなんてな。
事件のせいか、まだ1時過ぎだというのに生徒は1人も見当たらない。
静まり返った廊下を歩き、教室の扉を開けた。
「・・・わぁ!?」
俺は再び驚いた。窓際に亜門が立っていたのだ。
そこは、まごう事なき俺の席の前だ。
「おい、殺人事件だぞ。早く帰れって・・・。」
言いながら、机の周辺を探してみる。
「鍵…探してるの?」
「あぁ、そうなんだ。てか、何でお前知って…。」
言いかけた、俺の前にチャリの鍵がぶら下がっていた。
いや、亜門が顔の前にぶら下げていた。
「あ、悪いな。ここに落ちてたか?」
亜門は質問には答えず
「考えはまとまった?」
「あぁ、俺は猛烈に家に帰ろうと考えたぞ。」
重い沈黙だ。
俺のギャグセンスは亜門に届かず空を斬るだけに飽き足らず、気分を害してしまったのか?
誤ろうと思った瞬間、教室の扉が開いた。
「お楽しみ中申し訳ないんですがねぇ。君たち人質になってくれない〜?」
俺はすぐに理解した。
殺人犯だ。こいつの顔を見ただけでわかる。
こいつは殺人犯の顔をしている。
まったく急だ。今日と言う日は、ここ数日は急すぎる。
非日常的なことばかりだ。3回目は殺人犯だな。
俺は自然に亜門を後ろに庇うと、刀を利き手に持ち替えた。 |